7/10
噂
それからしばらく経った日のことだった。
噂が流れた。僕の学年全体に。
「――おい聞いたか?畠中と桐渓の噂」
「聞いたぜ。畠中が桐渓のこと好きなんだろ?」
「ありえねえよな。格が違いすぎるっつーか」
「ていうか、畠中に桐渓さんはもったいねえよ」
どこもかしこも、僕の噂で持ちきりだ。
一体誰がこんな噂を流したか分からない。
なんでバレたのかも分からない。
バレるようなことした覚え無いのだが……。
俯いて足早に廊下を歩いていると、桐渓さんとバッタリ会った。
「あ……」
向こうも僕に気付いたらしい。何も言わずに、僕を見た。
「お、おはよう……」
こんな噂が流れてるのだから、声をかけない方がいいのかも知れない。
でも、一言でもいいから喋りたかった。
「おはよう。畠中くん」
来ないと思っていた返事が返ってきた。
それだけで、僕の心臓は高鳴る。
そのまま桐渓さんは、僕の横を通りすぎた。
人の噂も七十五日。こんな噂、すぐに消えて無くなると思ってた。
でもその考えは、甘かったんだ――。




