↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PAINT IT BLACK  作者: ねずお あきとし
ブラック・ロータス編
3/9

部活選び

■ 2024年4月12日(金) 清流高校


新しい高校での最初の問題から四日が経った。


授業の終わり近く、森重先生がパンフレットの入った箱を開けた。


「部活の勧誘は月曜から始まる。だから、この学校にある全部の部活の一覧を配る。人間的に成長するために大事なことだ……特に、ろくな道を歩んでない奴らにはな」


明智が蓮を見た。蓮も見返した。まるで、その当てつけが自分に言われたかのように。


蓮は利用可能な部活をざっと見た。


(サッカー? そこまで得意じゃない。バレー? 仙台に来たけど、別にそれが理由じゃない……)


どの部活に入っても、結局は何かと目立ってしまう。


「手芸部……へえ。手芸部が二つあるのか。漢字が少し違うけど、意味は同じだよな? きっとタイプミスだ……」


先生は、生徒が話し合って入る部活を決めるために十分間を与えた。


「黒さん、もう入る部活決めましたか?」と明智が尋ねた。


「正直、まだだ……手芸部にしようかな」


(そうだ、それが一番目立たずに済む方法だ)と蓮は思った。


「お前は?」


「水泳部にしようかと」


「じゃあ、女子目当てか」


明智はすぐに顔を赤らめた。


「な、な、なんでそんなこと言うんですか、黒さん!」


「他に理由があるのか?」


時間はあっという間に過ぎた。


「よし、今日はここまでだ」と森重が告げた。「入口に全部活のブースが出てる。一番興味を持ったところに入りなさい」


◇


明智と蓮はブースの並ぶ通路を歩いた。サッカー部が一番新入部員が多かった。野球部も同様で、やはり国の看板スポーツだ。


「結構な人数だな、お前もそう思うだろ?」と蓮が言った。


「はい。清流は県内でもトップクラスの人気校ですから、みんなここで勉強したがるんです……まあ、正直なんでかはよくわかりませんけど」


「あれが水泳部だろ? 先に行って入ってきていいぞ」


「いえ、やめときます……黒さんが入るところにします」


「本当にいいのか? 絶対退屈だぞ」


一人の男子生徒が近づき、蓮を遮った。背が高く、黒髪の根元が明らかに金髪で、眼鏡をかけていた。


「何か用か?」と蓮が尋ねた。


「君、新入生だよね?」


「ああ……」


「もう入る部活は決めてる?」


「ああ。手芸部に」


「奇遇だね。ちょうど君を誘いたいと思ってたところだ」


男子生徒は手芸部のブースを指さした。彼には他に二人、明らかに筋肉質な男たちが付き添っており、ミシンと出来たての服が並んでいた。


蓮は少し考え、指さされた方を見て、また男子生徒を見た。


「ほ、本当に君たちが手芸部なのか?」


「もちろん! 裁縫が大好きなんだ」


「でも……なんで隣に別の手芸部があるんだ? なんであっちは女子ばかりで、君たちは男ばかりなんだ?」


「ああ、それはね……俺たちは男子用の手芸部なんだ。うん、そういうこと」


(男女で部活を分ける学校なんてあるのか?)と蓮は戸惑いながら思った。


男子生徒はそれ以上の説明もなく、蓮と明智をブースへ押し込み、入部届けを手渡した。


「月曜に俺たちの部活に来てくれ、歓迎するよ!」


「ああ……わかった……」


蓮は振り返って自転車を探しに行こうとした。


「また月曜な、新入生!」


明智は蓮の後を追おうとしたが、蓮はすでに人混みの中に消えていた。


◇


「東条(とうじょう)部長、あの人がこの前見た人ですか?」とブースの一人が尋ねた。


「ああ。一週間経って、もう疑いの余地はない。屋上の件も見た……どうやら今年は面白くなりそうだ」


「修吾(しゅうご)くん、あの子は誰?」と、近くを通りかかった手芸部部長の一ノ瀬(いちのせ)結衣(ゆい)が尋ねた。


「この部活に刺激を与えてくれる奴だよ、結衣ちゃん。さて、みんな、勧誘を続けるぞ。行くぞ」


「はい、東条部長!」


◇


■ 2024年4月15日(月) 清流高校


月曜日になった。蓮は家を出た。


「授業が終わったら部活が始まる……まずは順調な滑り出しだと思うけどな」


その日は早く着いた。そして、清流高校の入口で、手芸部の部長である東条が待っていた。


「君は……部長さんだよな?」


「ああ、東条修吾だ。でも東条先輩でいい。君の名前は?」


「黒蓮。よろしくお願いします、東条……先輩」


「よし! ついて来い。まだ正式に入部してないのはわかってるが、うちの活動は早くから始まるんだ」


蓮は東条について部室へ行き、予想通り、いかつい顔をした屈強な男たちが、なぜかプロの仕立て屋のような繊細さで、ジャケットやマフラーなどを縫っているのを目にした。


「座ってくれ、黒くん」


「はい……何をするんですか?」


「決まってるだろ? 裁縫だ! なあ、みんな?」


「はい、東条部長!」


東条は箱からいくつかの物を取り出した。


「黒くん、まずこれをやってみてくれ。この糸を針に通せ」


「はあ……簡単ですけどね」


東条は針と糸をテーブルに置いた。針を手に取ると、蓮は何かおかしいことに気づいた。


(これは何かの冗談か……?)


針は熱かった。まるで火から直接出したかのように。そして糸は、ガラス繊維でできているかのように、触ると切れそうだった。


「さあ、黒くん、簡単だろ?」


(もう少しでキレるところだ……でも、部活に入らないで目立つよりマシだ)


針が少しずつ冷めていくのに気づいた。絶好のタイミングを待ち、蓮は糸を正確に、一発で通した。


「できた。これで合格だろ」


「よし、みんな」と東条が他の者たちに向かって言った。「蓮は一切表情を変えなかったな?」


「はい、東条部長。どうやら新入生はかなりストイックなようです」


「ストイックとは言わないが、まあいい。どうでもいいさ」


「そろそろ授業に戻る時間のようだ。黒くん、この包帯を巻いて、指を隠しておけ」


「ありがとう。じゃあ……授業が終わったら戻ってくればいいんだな?」


「その通り。入部届けを忘れるなよ!」


蓮は授業へ向かった。明智はすでに教室にいた。


「手芸部から呼ばれなかったか?」


「いいえ、でも後で入部届けを出します。黒さんは呼ばれたんですか?」


「ああ、でも……まあ、どうでもいいさ」


(新入生の試しってやつだろう)と蓮は思った。


◇


授業が終わり、二人は手芸部へ向かった。


「新入部員だ! 手芸部へようこそ!」と東条が告げた。


「でも、朝もここに来ましたけど……」


「本当か? おかしいな、今日君を見た記憶はないんだが」


(また冗談かよ……)と蓮は思った。


「入部届けを出してくれ」


蓮と明智は入部届けを提出した。


「明智裕太(あけちゆうた)です、よろしくお願いします、部長!」


「あけっち、よろしくな。東条先輩と呼んでくれ」


「はい! 東条先輩!」


「松田(まつだ)、今日はお前が作業の監督を頼む、いいな?」


松田――不良の面構えで、金髪を雑に染めた男――がすぐに応じた:


「はい、東条部長!」


東条は床のマットを持ち上げ、秘密の地下室を隠すハッチを現した。


(これが仙台の普通なのか……?)と蓮は思った。


東条は扉を開け、先に下りた。


「クロちゃん、あけっち、ついて来い!」


「こ、こ、これは……監督されてるんですか?」と明智がどもった。


「どうでもいい。行こう」


三人は部室の地下へ下りた。明智と蓮は、良い意味でも悪い意味でも驚いた。


手芸部は、実のところ、訓練場だった。床の中央には円が描かれている。サンドバッグ。ウェイト。そして二年生と三年生で溢れていた。


「全員、注目!」と東条が叫んだ。


全員が手を止め、集まってきた。


「こちらが新入部員だ:明智裕太と黒蓮。盛大な拍手を、みんな!」


全員が拍手し、新入りに近づいた。ためらいなく、一人が口を開いた:


「東条部長、人を見る目は信じてますが……そこの震えてる子、本当に部長が勧誘したんですか?」


「もちろん。彼も俺たちの一員だ、なあ、あけっち?」


明智は状況に圧倒され、ただ頷くことしかできなかった。


「で、もう一人は? 傷のある奴。なんでその傷があるんだ? 強がってるのか?」


「それは挑発か?」と蓮は冷静に尋ねた。


「黒くん、牟田(むた)くん、喧嘩の時じゃないぞ……いや、そうか?」と東条が割って入った。


「俺は構わない」と牟田が答えた。「で、新入りのお前は?」


「争いは避けたい。正直、こんなのは予想外だった……ここはただの手芸部だろ! 東条先輩、俺は上にいて、これ全部から離れててもいいですか?」


「自分が何に足を踏み入れてるか分かってると思ったんだがな、黒くん……俺はお前が強いのを知ってる」


「なんで俺が強いと分かるんです? 筋トレしかしてません。喧嘩なんてしたことない」


「俺の目は誤魔化せない。この前見たんだ。犬と一緒だったろ?」


(パンのことか……?)


「四人のチンピラを一発ずつで片付けるのを見た。お前は強い奴だ、そうじゃないと言い張ってもな、黒くん」


「四人のチンピラを一発で!?」と明智が叫んだ。「屋上の扉を壊した時から強いとは思ってましたけど――」


「明智さん、黙れ!」


「扉のことも、とぼけるなよ」と東条が面白がって付け加えた。


「じゃあ……逃げ場はないってことか」


「お前の実力を見せてもらいたい、新入り」と牟田が笑いながら言った。


「どうだ、黒くん? 入部の儀式の準備はいいか?」


「今朝のは儀式じゃなかったのか?」


「ああ、あれはただの冗談だ。ははは!」


(くそ、とんでもねえところに来ちまった……)


牟田は床に描かれた円の中に入り、蓮を待った。その蓮の過去が、彼の望みとは裏腹に、再び彼を追いかけていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。