↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒翼のカナエル  作者: 氷花
不死と希望の悪魔編
PR
114/240

捜索

「クリーク様!駄目です!どこにもいません!」

「こっちもですー!見つかりませーん!」

 大勢の人がバタバタと入れ替わり立ち替わり報告していく。しかしその内容はどれも、いな

い見つからないという悪いものばかり。それを聞かされる度にイライラが募る。

「門番の二人も見て無いって言ってるみたいだしねー。本当に何処行っちゃったのかしらね」

 冥界に出入りするためにはたった一つの「門」を通る他無い。しかもその門の前、内側と外

側の両方に一人ずつ門番がおり、常に冥界に出入りする者を監視している。門番は基本的に中

立であり、彼らは上司の命令が無い限り誰の味方もすることはない。逆に、訊けば知っている

限りの事を教えてくれるし、隠すような事もしない。

 その二人が知らないと言っている以上、まだ冥界内にいるはずなのだが・・・。

「どうなっている・・・あの状況でどうやって逃げた・・・?あれも不死鳥の力なのか?」

 あの場に居た者たち全員に、元々小さな身体を屈めた状態で現れたミーニの姿は見えていな

かった。そのため、フェローリアが突然消えてしまったように見えていたのだ。

「クリーク~、どうする?」

「・・・外だ」

 あの状況から一瞬で消える事が出来た以上、門番に見つかる事無く冥界を脱出する事もでき

ると考えるべきだろう。

「奴の住む家は特定できているのだろう?ならばそちらにも人員を回せ!既に外に出てしまっ

ている可能性もある!」

「了解~。私が引き連れて行って来るわねー」

「可能な限り急ぐのだ!」

 クリークは焦っていた。

 あの不死鳥はこちらの目的を、企てる自分の事を知ってしまっている。助けを求められてし

まえば、奴は絶滅危惧種、それを護ろうと立ち上がる者はごまんといることだろう。その者た

ちに囲われてしまえば最早、不死鳥を捕えるなど不可能になってしまう。そうなる前に一刻も

早く見つけ、再び捕らえなければならない。


 とっくに陽は沈み、月が高く輝く中、フリーミは何人もの同志を引き連れ、事前に突き止め

ていた不死鳥の住処に到着した。

 灯りは点いている。もし、中に不死鳥本人はおらずとも、中に居る人物に居場所を吐かせれ

ばいいだけだ。

「みんな~、もう悠長にしている時間は無いから、有無を言わさず襲撃して不死鳥を連れて帰

るわよん!」

 この不死鳥の住処は都合よく人里離れた所に位置しており、襲撃するには易い。大勢の同志

たちが静かに家を取り囲む。

 準備が整い、フリーミが右手を挙げると、全員が突撃の構えを取る。

 そして、右手が振り下ろされた、その時だった。

 一歩踏み出した瞬間、その場の全員が後方へ吹き飛ばされていた。

「な・・・何なの・・・今のは・・・!?」

 腹部を細長い鈍器のようなもので薙ぐように殴られたような痛み。直ぐには立ち上がれず、

上体を起こした状態でこれを行った者を探すも、どこにも視認できない。

 すると、家の中から誰かが出てきた。見たところ、狸種の女で、その手には鞘に納まったま

まの刀が握られている。

「み、皆さんが・・・不死鳥さんを狙っている方々、ですよ、ね・・・?」

 その女はこちらとは一切目を合わせず、おどおどとした様子。この女がやったのだろうか?

フリーミは漸く立ち上がり、答える。

「そうよ。中にいるんでしょう?出してくれない?出してくれないと・・・力尽くで探させてもら

うことになっちゃうわよ?」

 家を取り囲んでいた同志たちが集結し、今度は狸女を取り囲む。

「止めてくれるつもりはないんですか?」

「無いわね。残念ながら」

「ある訳ねーだろ!」「俺たちゃあ揃って不死になるんだよお!!」

 同志たちの士気が高まっていく。その女はおどおどしていた割に、この空気に対し怯える様

子は無かった。それどころか、

「ごめんなさい・・・・・・死なない程度に斬りますね?」

 遂にこちらと眼を合わせ、ゆっくりと刀を抜いた。

 女のその言葉と行動が口火となった。


うおおおおおおおお!!


 一人に対し、地上と空中から一気に襲い掛かった。

「なあ・・・に?これ・・・・・・」

 何が起こったのか分からなかった。またしてもだ。襲い掛かった次の瞬間には全員が、あの

女以外の全員が血を出し、地に伏していた。

 その女が倒れたフリーミの前に立ちはだかる。

「雹蝶種・七魔フリーミ。同、鬼種・七魔クリークの居場所を教えて頂けますか?」

 そう問い掛けて来る狸女の眼はそれまでとは全く異なっていた。圧倒的な眼力。それは強大

な力を有する者の眼だった。

「うっぐぅ・・・・・・知って・・・どうするのかしら・・・?」

「お話で済めばいいと思っています」

 無理だ。クリークが話して理解し、不死鳥狩りを止めるはずがない。

「そんなので・・・・・・済むわけないったら・・・げふっ!」

 まだ出血は続いているようだ。身体の力が抜けていく感覚がある。

「教えて頂ければ、直ぐにでも医療施設へお運びする用意があります。ここにいる方々全員の

命が掛かっていると思い、発言して下さい」

 選択肢は無い、か・・・

「・・・冥界の・・・鬼の口・・・とても明るい洞窟、よ・・・・・・ううっ!」

 そう言うと、その女は見透かされそうなほど鋭い眼で見つめてくる。

 思わず息を呑む。大丈夫、嘘は吐いていない。そう言い聞かせて自身を落ち着かせる。

「分かりました。では、直ぐに運びますね」

 女が笑顔を見せると、何処からか音も無く何人もの黒装束を纏う集団が現れ、女の元に速や

かに整列する。

「では皆さん、お願いしますね」

「了解致しました、先生!直ちに遂行いたします!」

 一団は統率の取れた動きで敬礼すると、速やかに全員を運んで行った。


「ベリコちゃん、私、これから親玉の所に行ってくるね!」

 家の中に戻り、ポンポコがベリコに伝え、足早に出発しようとすると、

「私も行きます」

「え?どうしたの?どこにも行かないって言ってたのに」

「私も一度は捕食者たちと話をしておきたいと思いまして」

 そう言うベリコの顔を見てもしやと思う。

 もしかして怒ってる?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。