↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒翼のカナエル  作者: 氷花
不死と希望の悪魔編
PR
108/240

フェローリアvsミーニ

「どうしてこんな事になってるの?」

 遅れて家から出てきた赤髪のエンジュは、心配そうに向かい合う二人を見つめる。

「何か思う所があるらしい。これもあいつらのためだ、今はやりたいようにやらせるのが一番

だろう」

 そう言うヒサメの表情は楽しそうに見える。

「お姉ちゃんは見てみたいだけでしょ?」

「え?・・・い、いいだろ!わくわくするだろこういうの!」

「本当にお姉ちゃんはしょうがないなあ」

 フェローリアの準備運動が終わり、いよいよ戦闘体勢に入る。

「二人共、準備はいいな?・・・・・・始めろ!」


 先に動いたのはミーニだ。ミーニは真正面から突っ込み、そのまま掴みかかる。対するフェ

ローリアはその両手を受け止める。

「力比べか・・・!」

「んんん・・・!へへへ・・・」

 ニヤリと笑みを浮かべるミーニ。それを見たフェローリアは何かを感じ取る。

「ミーニ、お前・・・」

「んんんー!」

「こんな、ものかあ!」

 一瞬ミーニが押すが、直ぐに押し返される。ミーニはその力を利用し、フェローリアの腹部

に両脚を掛け、思い切り蹴り飛ばした。

「ぐうっ!」

 フェローリアは少し吹き飛ばされ、雪上に倒れる。

「勇かんなる兎の戦士!『ブレイブ・ラビッツ!』」

 その魔法により、ミーニの両手両足を覆うように兎の頭部を模した縫いぐるみのようなもの

が装着される。

 右腕右脚を後方へ大きく引く構えを取る。

「来るか・・・!」

 迎え撃つ体勢のフェローリアに対し、ミーニがそのままの体勢で一歩、二歩と駆け、そして

三歩目を踏み出した瞬間、その姿が消えた。

「何!?・・・下か!」

 地を這うような低い体勢で懐に潜り込んだミーニは勢いそのままに、引き絞った右腕を撃ち

出す。

「ラビット・ファイア!!」

 その拳、装着された兎の顔面がフェローリアの鳩尾を的確に捉えた。

「がぁっ!!」

 フェローリアは吹き飛び、仰向けに倒れた。

「今のは完璧に入ったな」

「ミーニちゃんって、本当に飲み込み早いよね」

「ミーニは強くなりたいって、本気だから」

 『強くなる』そう決意したミーニは、魔王グリムとの戦い以降、ヒサメたちに懇願し、学校

の授業のない日だけだが、戦闘の手解きを受けるようになっていた。

 時の兎は元々持っている魔力の量が非常に少なく、魔獣族の中でも最低クラスである。その

代わりなのかそのせいなのか、強力な時間を操作する力を使えるのだが、当のミーニはそれを

使わずに強くなりたいという事で、その少ない魔力を何の魔法に費やすべきかが重要だった。

 一時的に効果を発揮するだけのものは効率が悪い。長時間効果を得続けられるものと言えば

やはり、強化系統の魔法が一般的で汎用性も高い。しかし、元々非力でもある兎のミーニが単

純な肉体強化系の魔法を使用した所で、その恩恵は高が知れている。それらを踏まえた上で、

ミーニが北の三姉妹と共に考え出したものが今まさに使用している魔法である。

 この魔法にも肉体強化系と似た効果がある。普通のものと異なる点は、力を込めればその分

の力をある程度まで溜め込むことが出来る点だ。力めば力むほど兎のぬいぐるみの部分に力が

蓄積され、非力なミーニでも少しの時間を要しはするが、強力な一撃を放つことができるよう

になるのだ。そしてこの強化魔法には更なる効果があるのだが・・・・・・

「く・・・いってぇ・・・・・・けっこう威力あるな・・・」

 フェローリアは腹部を押さえながらよろよろとしながらも立ち上がる。

「ほう、立つか。あいつ、中々根性あるな」

「さあ、あなたも見せてよ!」

 ミーニはフェローリアが立ち上がったことには驚きもせず、構える。

「言われなくてもやってやるさ!!」

 駆け出すフェローリアに対し、ミーニは再び右腕右脚を大きく引く。

「ラビット・ファイア!」

 今度は一歩も踏み出さず、構えの状態から一気に懐へ潜り込む。

「うおおっ!?」

 フェローリアは寸前の所でそれを回避する。そしてその動きに順じ、蹴りを放つ。

嘴炎しえん!」

 突き出すような蹴りをミーニは後方へ飛び退く形で回避する。だが、

「炎!?」

 その足先からは炎が放たれていた。

「くっ!・・・うう・・・!」

 その炎をミーニは咄嗟に左手の兎で受け止め、右手の兎で打ち払った。

雛炎すいえん弾!」

 すると直ぐに正面と上空から無数の火の玉が襲い掛かって来る。

 この数を防ぐのは無理。ミーニは火の玉が来ないだろう地点へと回避するが、

「!!」

 火の玉はその後を追尾してきた。幾ら回避しようとも追尾は止まない。

「・・・だったら!」

 ミーニは一方向へ向かって一気に跳ねて移動し、火の玉との距離を離した所で立ち止まり、

足に力を込める。体勢を低くし、いつでも蹴り出せる様に保ったまま火の玉の動向を伺う。

 距離を離された火の玉は最短距離を辿り、ミーニへと向かう。

 初めは前と上からだった火の玉が今はその全てが前方のみになっていた。

 ミーニはそのまま引き付け、一定の距離まで来た所で一気に地面を蹴る。向かったのは前方。

火の玉へ向かって跳ね、右脚を突き出す。

「ビッグ・イーター・ラビット!!」

 ミーニの右足の兎が突如巨大化し、大口を開ける。向かう勢いと迫る勢いにより、大口を開

けた兎のその口内に次々と火の玉が飲み込まれて行く。そして直ぐに全ての火の玉を食べ切っ

てしまった。

「あの兎、あんな事もできるのか・・・!」

「あれだけの火の玉を一度に操れるなんて・・・フェローリアさんってやっぱり強い・・・!」

 二人はしばし睨み合う。

 そんな中、フェローリアがふと口元に手をやる。そしてその手が離れた瞬間、

「ヘクトブレス!!」

 フェローリアの口から放たれたのは、竜のブレスそのものだった。

「え!?」

 予想外の攻撃に驚き、一瞬反応が遅れたミーニは咄嗟に右足を突き出す。

「ブレス・オブ・ラビット!!」

 すると右足の兎の口からも炎のブレスが放たれた。

 互いのブレスがぶつかり、大爆発を起こす。近距離にいたミーニはその爆風に巻き込まれて

吹き飛ばされてしまう。

「ミーニぃぃぃ!!」

 雪の上に仰向けになったミーニの視界に、足に炎の爪を携えたフェローリアの姿が映る。

「おれはお前とおおおおお!!」

 フェローリアはそのままミーニ目掛けて落下する。

「ともだちになりてええぇぇぇ!!」

 そして、鋭い爪の鳥の足のようなそれを突き出す。

「不死のぉ・・・鉤爪ぇぇぇ!!」

 地面に勢いよく激突し、砂埃のように雪が舞う。

「・・・・・・フェローリア・・・さん・・・・・・」

 爪はミーニを避けるように地面に突き刺さっていた。

「ミーニ。おれは不死鳥だ。お前と同じ絶滅危惧種のな・・・」

「・・・ふし・・・ちょう・・・」

「同じ絶滅危惧種のお前と、ともだちになりてえんだ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。