第6話:限界の突破口、物理攻撃()
「凶暴化なんか聞いてねぇよ!」
それもそのはず。このゲー廃は説明書とかを見てはいないし、攻略サイトなども見ていない。説明書にはもちろんこのことは書いてあったし、攻略サイトのボス攻略にも凶暴化込みでの攻略が書かれていることだろう。ここでゲー廃としての謎の自身が裏目に出るとは。
「でもやることは同じ、切ればいいんだろ切れば!」
でもどうすんだこれ。凶暴化…だけじゃなさそうだな。なんか色も赤くなってるし、あとちょっとでかくなった? スライムごときが本気出して赤くなるとか思わないって。とか言ってる場合じゃない、攻撃来てるって!
「アブナーーーーーーーー!! 目の前過ぎるでしょうが、しかもちょっとかすったぞ! あんまダメージは受けなかったけど」
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状態異常:火傷を受けました。
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「や け ど?」
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状態異常:火傷
与ダメージ20%Down
攻撃の度に現在の最大HPに応じた割合ダメージ(10%)
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「はぁぁぁぁぁぁぁぁ????」
(割合ダメージは卑怯でしょうが! しかも攻撃の度にとか…ふざけんのも大概にしろよユニフォエール!)
ネルネルラのOVERLIMIT状態時の効果は3つ。自身の属性を炎属性に変化(攻撃時に火傷付与)、地面に吸収された自身の体を操って岩属性攻撃、そして腕を切る事でのダメージを無効化。正直やけくそ強化、だから魔の第一ステージと呼ばれている。
「ちょっとまた波来てます、来てます来てますよ~~!」
目の前に迫る土の壁、厚さも六法全書くらいあるので壊せなさそう。というか壊そうものなら火傷の割合ダメージを受けてしまう。採掘用ドリルでも持って来いってことですか? だがそんなものは持ち合わせてないし、前と同じように上に飛べば頭がごっつんこでアリさん状態。じゃあ横に跳べばいいね。
「行くぞムーンジャンパー」
過去に来る前にしっかりとスキルの説明を見たのが効いた。ムーンジャンパーは次のジャンプが3倍になるスキル。別にジャンプは縦方向などと指定されていない。なら横にも跳べるはずだ。
「ほらね! カードゲームでもここら辺怪しいところあるからな、ちゃんと読んどいて正解だったぜぉぉぉぉぉ!」
急に自分の立っている地面が急に動けば誰でもこんな反応にもなるさ。さっきあれだけ腕を切りに切りまくったのだ。今はステージ全域がネルネルラの領域内、自分だけの世界だ。攻撃するたびにダメージを食らって、領域全土が相手の敷居。こんな無理な状況でも俺は落ち着いてゲームができる。俺はユニフォエールが無理なことを強いるゲーム会社ではないことを知っているからだ。ならば何か攻撃回数をそこまで必要としないクリア方法があるはずだ。
「あれじゃね?」
赤く染まったネルネルラの中、体内で眩い光を放つ赤い星。先ほどまでのネルネルラにはなかったもの。おそらくコアだ。生物が心臓と呼ぶもの、または脳とも呼ぶもの。それのスライムVer。あれを壊せばネルネルラを殺せるはず。
「でもどうやって壊せってんだよ! ムーンジャンパー!」
いろいろな方向から腕やら土やらが飛んでくるのをどうにか回避しつつ対処方法を熟考。攻撃のパターンは土攻撃が増えただけだから対処可能。問題はコアをどう壊すかだ。先ほど一回だけ試したが、一閃を使った一撃で腕が切れなくなっていた。だから本体も一撃ではコアまで辿り着けない。そしてもしコアに辿り着いてもそれは敵の至近距離、瞬殺確定。これ詰んでね~? あいつを殺すにはあいつの攻撃範囲外であいつのコアに攻撃を入れる必要がある。
「いやあるじゃん、遠距離攻撃できるじゃん!」
そうだ、この方法なら行ける。そして思いついたら即決行、死んだらまた最初からやればいいだけ。一か八かでも試す意味はある。まずはネルネルラに近づく、そこからだ。
「そうと決まれば」
高く積み上げられた土の壁を蹴って空中から向かう。下から無数の赤い手や土が飛んでくるがお構いなし、すべて弾いてしまえばいい。警戒すべきは土の波が来た時、あれは避けないと多分死ぬ。
「ジャストカウンター!」
しっかりと攻撃を弾きながらスキルのクールタイムに目を向ける。ムーンジャンパー再使用可能まであと3、2、1…行くぞ!
「ホップ、ステップ、ムーンジャンパー!」
そして強く土の壁を蹴ってネルネルラに直で突撃。凄まじい速さで地面へと射出されたが問題はなし。衝突地点はネルネルラだった。
「はいセーフ!」
地面衝突の衝撃はネルネルラがすべて吸収してくれた。俺の重みで潰れてネルネルラに少しの隙が発生した。俺はその瞬間を見逃さずに狙いを定めて打刀を抜く。
「五月雨突き!」
よっしゃ狙い通り決まったぜ。5回の突きによってネルネルラの一部が吹っ飛んだ。ちょっと体に飛んで気持ち悪いが気にしてられない、今はここを離れなければならない。じゃないとハチの巣状態だからな。
「ひょーっひょっひょ! 痛いでちゅね~wwwコア丸出しだから空気が染みるってかwww」
心なしかさっきより攻撃が激しくなった気がする。ネルネルラくんカンカンで真っ赤っかですやん、さっきからずっと真っ赤ではあるが。そしてまたムーンジャンパーのクールダウンが終わる。これがネルネルラへの決着の合図。
「命を奪うムーンジャンパー!」
常識は疑ってかかるべし。別に一閃は攻撃スキルじゃあない、次の斬撃武器の攻撃にダメージ補正と当たり判定強化がかかるスキルだ。斬撃武器なら何でもいい。そしてこの判定は俺ではなく武器本体に掛かる。でもこんな高所からじゃ攻撃は当たらないって? 別に射程は腕の長さとは誰も決めちゃいない。一閃を発動した後、打刀を空中に放り出して右手に力を込める。
「いっちょ受けていきなネルネルラ、俺の思い付きの一撃をな。ロックフィスト!」
思いっきり打刀の持ち手を殴った。そうすると拳の威力で打刀は勢いよく射出される。最近のゲームはしっかりと物理法則と物理演算が組み込まれている。なら自然の法則を使って遠距離から物理で殴ればいいってことさ。飛んで行った打刀はみごとネルネルラのコアへクリーンヒット。その体は静かにピクセルへと変わり、ドロップアイテムと刃が砕けた打刀だけが残った。
「っしゃおらぁ! やってやったぞ~~~~~~!」
とかやってる場合じゃない! 俺HP2しかないんだってば! 早く街に行って回復薬なり薬草なり買わなきゃ!
「ダッシュダーッシュ!」
「ねぇ」
「なにー」
「クロノスって今何やってると思う?」
「さぁ…そろそろ夏休みの時期だし友達と遊びに行く予定でも立ててるんじゃないかな。もしくは真面目に宿題をしてるんじゃない?」
「じゃあこれ見て」
二人は静かに青白い画面の一点を見つめる。クロノスという名前の載った一点のみをまじまじと。
「これってさ、そういうことだよね」
「そういうこと」
「来るの遅いってクロノス。ようやくこっちの世界にお出ましかな?」
自分自身あまり戦闘描写を書くのが得意じゃないんですよね…一日つきっきりで講義をしていただきたいくらいだよ。




