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第2話:いつも通りにやってもね~

「ただいま~って返事なし?」


ふと机の上を見ると一枚のメモ書きが置かれていた。「父と母と姉は今からヨーロッパ巡りに行ってきます。帰ってくるのが夏休みよりも後になるかもしれないのでお小遣いを置いておきます。計(・)画(・)的(・)に使ってくださいね」と書かれていた。なんでいつもあの人たちは旅行したがるかね、俺とは大違いだな。でもしばらく一人の時間が過ごせるってことは…昼夜逆転生活しても怒られねぇってことだな、よし!




「さて、本当は先にご飯食いたいんだけど…ワクワクって抑えられないよね~………」


リアルダイブ型のゲームなんて初めての体験だからどんな感覚なのかとても気になる。


「えーっと? まずはゴーグルをコンセントにINして、電源をつけて…あ、使う前に少し実機のアプデがあるタイプね? はいはいはい、そんじゃアプデ待ちの間にシャワー浴びてくっかな」




「えーっと、ここにゲームのディスクを入れて? あとはこれを頭につけるだけと。なんか久しぶりすぎて怖くなってきたな…。でもここでビビっててもしょうがねぇか。そんじゃせいぜい俺を楽しませてくれよOVER LIMIT ONLINE様よ!」


……LODING


……SAVE


……CONECTING


……SUCCESS


「うわまっぶしいけどすっげぇ!」


目を開くとそこには無数のデータがずっと行き来してる感じを出してるオシャンティな…ほんとにオシャンティかなこれ…とりあえずデータの海のような世界が広がった。地平線には何もなく、ただ平面が続くだけ。


『ようこそOVER LIMIT ONLINEへ。まずは名前を入力してください」


「うわびっくりしたぁ。急に喋んのやめてくんね?」


名前か、名前なんて統一一択だろ。クロノス…っと。時間を司る神が弱いわけないだろう。かのゼウスでもさすがに時間の流れには勝てないはずだと信じている。全能神とも言うから突破してくるかもしれないがね…。


『次にこの世界でのあなたの容姿を創造しましょう』


「出たよこの手のゲーム定番のキャラクリタイム。でもな~いつも適当に作ってたら似通ったのになっちゃうんだよな~…あ、いいこと思いついた」


(髪を長く、目は気分で青に、身長を高めにして顔とかも整えて、ちょちょっと声の高さも上げて…最後に性別を女の方にすれば…)


「はい完成、高身長の清楚お姉さん! 我ながら恐ろしい出来だな、これなら存分にネカマができるぞ!」


(まぁネカマをやる意味があるかと言われたらないが、使える時が来るかもしれないしな)


『創造が完了しました、最後に役職を選択してください』


「いや役職多いな! 右のバーが超ミニマムじゃねぇか。でもどうすっかな、やっぱり定番の剣士か?」


剣士:剣と盾のみ装備可能。剣の攻撃力50%UP


「それとも魔法使いか?」


魔法使い:魔法のダメージ30%UP。物理攻撃ダメージ50%Down


「もしくは戦士か?」


戦士:体力10%UP。戦斧の攻撃力20%UP


「いや定番すぎるな、逆にあんま見ないもんはねぇのか?」


トラッカー:遠距離武器(弓、銃、投擲槍等)のダメージ20%UP。遠距離武器での攻撃命中時に対象に標的状態を付与。次の自分の攻撃が標的状態の敵に確定で命中する(二回の攻撃の度に一回発動可能)。


ジャンパー:跳躍力20%UP。空中での攻撃の際、ダメージ30%UP。


フォーミュラ:移動速度300%UP、攻撃のダメージ150%DOWN。


「変わった職業も結構多いんだな。てかフォーミュラってデバフとバフ釣り合ってなくね? でも、やっぱ汎用性を考慮してこれにするか」


『職業:ブレーダーが選択されました』


ブレーダー:刃のついている武器(剣、刀、ダガー等)使用時にダメージ8%UP、耐久度100%UP。刃の鋭利度が落ちなくなる。


「結局剣とか刀こそが武器で正義なのよ! かっこいいし」


『世界へのリンク準備が整いました。安定した場所に座るか、寝てください」


「そんじゃ新作のお手並み拝見と行こうか。きれいなグラフィックを期待してるぞ~」


おっと危ない。現実の世界が見えてないのにどこかに座れとか寝ろとか無理だと思う。あ、最初から寝たり座ったりして始めればよかったんじゃ…早く気づけばよかったな。


『You can go beyond your limits.』


「え、なに? うわまた眩し!」


━━TIPS━━

ようこそオバリミへ! ここからあなたの冒険が始まります。冒険に出るもよし、のんびり気ままに暮らすもよし。あなたが思う最高の生活を楽しんでくださいね!


「ははーん、さすがはユニフォエール。ここまでのクオリティで仕上げてくるとは。俺も四か月前に買ってリアタイしたかったなー! もーほんとやってくれたなユニフォエール!」


目の前に広がる生き生きとした草原、透き通った水のような空、優しく肌を撫でるこの風。ここから俺の冒険が始まる…らしいが実感はない。


「ひとまずゲームを始めたら最初にやることはメニューを見ることだよな」


=====

ステータスを表示します

クロノス Lv.1

職業:ブレーダー

HP:50 ATK:10 

DEF:10 MAG:10 

AGI:10 HAR:5 

POT:30


スキル

一閃

ロックフィスト


武器

右手:石の剣

左手:なし

その他:なし


装備

頭:なし

胴:質素なシャツ

腰:簡素なパンツ

足:なし

=====


「なんだこの見たことないステータス」


=====

HAR:HARDNESS、堅性。受けたダメージから数値分のダメージを無効にする(DEFの後に適用される)。


POT:POTENTIAL、可能性。可能性は無限にあるもの。

=====


「片方は確定ダメカだけど、もう一つの説明適当過ぎねぇかおい。何だぁこのフレーバーテキストみたいなの、初心者には最初くらいご丁寧にご説明してあげないと分からないでしょって」


と、文句を言っておきながらも風景やステータス画面のグラフィック面は合格。100点満点に近いレベルで描かれている。空に浮く雲の形は一つ一つ違うし、地面に生えてる草もそれぞれが風に揺られて別々に動く。これだけで細部までしっかりと作りこまれているのが分かる。最近はソシャゲしかやってなかったからな、なんか久しぶりにしっかりとしたゲームをプレイしている気がする。さすがはユニフォエール、やすやすと想像を超えてくるな。


「現在地がここで…街がここか。えっとこっちが北だから? こっから左か。そんじゃまぁ感覚を掴みながら向かっていきますか」


そして俺は草原を一歩、また一歩と歩き始める。ちなみに装備の着心地はあまりよくない。うっすいシャツと短めのパンツみたいなズボンそれと安っぽい出来の石剣だけ。これもこれでなんか昔ながらの味があるけど…もうちょっと、せめて女アバターならスカートくらい配ってもよかったんじゃないかな。

OVER LIMIT ONLINEの総プレイヤー数は約4000万人ほど。そのうちの外国人の割合は4割で、前作のプレイヤー人気が海外でも高いことでこっちに流れてくる人も多いとか少ないとか。ただサーバーの本拠点は日本にあるため、回線がめっちゃ強いか日本に住んでいない限りはカックカクのカス画質になるため、このゲームをプレイするために日本に移住する外国人も少なくないと言われている。

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