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予想通り途中で魔獣に襲われつつ、大型の危険なのは基本的にシリウスが間引いていることから私でも簡単に対処できたのは本当にありがたい。
私も弱くはないけどさ、決して強くもないのでね(ここ大事)。
まあそりに乗っけた王女様は乗り心地が最悪で、後であっちこっちぶつけたとこが痛むかもしれないけど……そこは安全に帰ってこれた代償と思って許してもらいたいもんである。
お金もらってるわけでなし、割れ物を運ぶように……なんて丁寧じゃなくてもいいでしょこの際。
「ってなわけで、この人のことを本邸まで送り届けて」
「承知いたしました」
人里まで行けば、そこには巡回の騎士たちがいる。
シリウスと共にいる私のことはすでに彼らも知っているから、あとは引き受けてもらえるから安心だ。
「……丁重にね。公爵家のお客様だから」
まあ言うまでもないとは思うけど……念のため。
ところが私の一言に、彼らは苦笑を返してきたからちょっと困ったものだ。
北部の騎士たちは、割と……こう言っちゃなんだが、中央と呼ばれる王都の騎士たちに比べると緩い感じがある。
公爵様やシリウスを前にするとしゃきっとするけどね。
なんというか……こう、実力主義? っていうかね?
わかりやすくこう……カーリーン王女を面倒くさがっている感じがね?
「薬が効いてるのはあとせいぜい一時間ってくらいだから、今のうちに運んだ方が静かだよ」
「承知しました!」
おっとすごい勢いで運び始めたな……私の時以上にどっか打ち身になってないといいけど。
(それにしても拍子抜けだったな)
予想としてはいくつかあった。
カーリーン王女がごねにごねまくっている間に魔獣が突進してきたので家の中に匿うようにして、王女を迎えに来た人が無理矢理中に入ってくるってパターン。
カーリーン王女を囮に私ごと魔獣に襲われたことにして亡き者にしようパターン。
王女を追い返すことに成功したとしても、帰り道で魔獣に襲われたとしてその責任追及パターン。
それと、送ること前提で帰り道に暗殺者がいるパターン。
どれもこれもあり得そうだと思ったんだけど、この町に来るまでに魔獣に襲われたとしてもそれは別に特殊なやつでもなんでもなかった。
だからただの自然の弱肉強食で襲ってきただけだと思う。
そしてこの町に着いてからも妙な視線なんてものはないし、いつも通りの穏やかな町そのもの。
(……ってことは私の方はオマケで、シリウスの方に今頃何かあるのかな?)
本当に、裏で何が起きているんだろうねえ……別に知りたくもないけど。
知ったところで私になにかできるわけじゃないし。
「あ、でも折角町まで来たんだから買い食いでもするかなあ」
「俺抜きでか?」
「うわあ! シ、シリウス!? いつの間に……」
「お前がこの町に来たって報告がきたからな」
にっこり笑うシリウスの爽やかな笑顔のことよ。
でも私、正直思ったね。
ヤンデレに実力と権力と財力が全部揃うとただただ、怖いな……って。




