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主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?  作者: 玉響なつめ
第九章 だからいやだっつってんじゃん

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 贈り物なんだからもらった後は好きにしていい、はさすがに暴論である。

 わかっている。


 もしも私がシリウスからもらった贈り物を勝手に売り飛ばしたらシリウスは怒るより先に相当落ち込んで面倒臭いことになるからね! 知ってる!!


 まあそれはレアケースなんだけど、贈り物だからこそ売り飛ばしたらマズいものとかもあるわけよ。

 特にプライドの高いお嬢様相手だと……おっと、この場合は正真正銘お姫様だったわ。ハハッ。


「まあ、シリウス様ったらわたくしが差し上げたブローチもタイピンもつけてこられないだなんて、カーリーン悲しいですわ」


 今日はなんの因果か……っていやノクスの本邸にシリウス共々呼ばれて来たら、案の定カーリーン王女に絡まれてしまった。

 ちなみに公爵様からのご用事は単純に大物の魔獣を仕留めてその皮がとても優れているので娘のアナベルと、息子の嫁(予定)の私でお揃いの防寒具を作りなさいとデザイナーさんを呼んでくれていたってわけ。


 いやあ、こんな高級な皮のコートとか、庶民出身の私とアナベル(いや彼女は生粋のお嬢様なんだけども)は震えちゃうね……!

 でも娘と将来の義娘のために張り切ってくれたらしい公爵様(パパン)の気持ちを考えれば受け取る一択だよ!!


 ちなみにシリウスが対抗意識でそわ……っとしていたのを察した公爵様、にこやかに「お前は妻のために良い肉でも狩ることだ。ああ、孫が楽しみだなあ」と笑顔で言われてあっさり「そうですね」とか返していた。

 うん、さすがに息子の扱いが上手いね……でもまだ結婚してないから子供は気が早いんじゃないかな?

 別に私としては形式に拘らないけど、貴族(そっち)としては色々ひっかかるんじゃないの?


 まあそんな感じで家族の会話(?)を終えて帰るときに捕まったってわけ。

 私が大人しくシリウスの後ろにいるのをいいことに、カーリーン王女はシリウスめがけ一直線。

 いっそあっぱれである。


「婚約者のいる身ですので、装飾品はお断りしております」


「まあ、残念だわ! わたくしの色がシリウス様にはお似合いでしょうに」


 シリウスが苦々しげに、それでも最低限礼儀作法に則ったお辞儀をしたがカーリーン王女は不満そうだ。


 この国じゃあアクセサリーの類いは親しい仲で贈り合うもんだしねー。

 それを他国の王女様が知らないとは言わせない。

 だって万が一にもまかり間違って相手国の王族にアプローチと勘違いされたら困るんだから、そのへんについてはどこもセンシティブな情報として特に王侯貴族が注意してるところだからね!


 いっけなーい★うっかりうっかり~★

 って感じで接点に持ち込む……っていう下策もあるわけだけど、下策も下策だから……。


 そんなことした日には『なにあの国、国交を持とうとした相手の文化も知ろうとしてないの……?』って目で見られるわけよ。

 王侯貴族の未婚の令嬢子息なんて、政略に搦めた結婚が前提だからある意味資源。


 その資源に気軽に手を触れられると思うなよ?

 触れてくるやつは気が知れねえぞ?

 ってな感じ。


 まったくお貴族様ってのは大変である。

 ちなみに庶民はそんなことあんまり気にしない。

 気に入らない別れた相手からの贈り物は質屋に入れたりなんかもする。


 ひゅー! つよーい!!


「まあ……折角似合いのものを選びましたのに。そういえば婚約者の方は随分と落ち着いた色合いのチョーカーをお召しなのね? まるで首輪みたいでお似合いですわ!」


 ほほほと高笑いするカーリーン王女に、私は遠い目をするしかできない。


 だってこれ、シリウスが選んだヤツだし。

 実際、首輪も同然だし。


 といってもこの地方では婚約相手にチョーカー贈るのが主流なんだって知らないのかよ……と、本来なら私の身分的に黙ってなきゃいけないのについ口に出してしまいそうだった。


 いっけなーい★私ってば平民平民~★

 ……はあ、めんどうくせえ。

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