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主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?  作者: 玉響なつめ
第八章 なんていうか、蚊帳の外とも言い切れず

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「って宣言しちゃったから万が一にもカーリーン王女なんぞ選んだら私はとっととどっかに去るからそのつもりで」


「安心しろ毛一筋ほどもあり得ないから」


「いやさすがに相手は王女なんだからな? 恭順しろとは言わんからもう少し手心は加えろよ? 送り返すまでは」


「送り返すまでは面倒事起こすなって意味なだけですよねそれ」


「当然だろう」


 サフィアン王子もいい性格してるよね、ホント……。

 要は対応間違えると暴れるだろうから、送り返す前にキズでもつこうもんなら向こう(相手国)から苦情が来るのでそれは避けろ、と。


 それもこれも穏便に解決する……ためではなく、迷惑料をせしめるのにキズを理由に値下げ交渉されたらたまんないって意味なんだぜこれ。


「しかしルーラント・クレイか……出国の際にやつだけ事故に遭ったことにはできないのか?」


「物騒なこと言い出したぞ、止めろよセレン」


「無事に送り返せばいいだけなんだから余計な手間は増やさなくていいよ、シリウス」


「だがセレンに求婚した」


 心が狭いとは思わないが、あれは求婚って言うのか?

 どちらかというとヘッドハンティングじゃない?

 公爵夫人っていう地位と権力を与える代わりに私の特殊技能を国家のためにゴリゴリ使えって話だったんでは?


(まあ人によっちゃあどんな形であれ愛が芽生える可能性はゼロじゃあないだろうしねえ)


 そう考えれば求婚……なの、か……?

 ロマンスの欠片もないが、政略結婚とさほど変わらんしね。


 家同士の政略結婚はお互いの家の権力がこう……相乗効果になったりするのを見込むけど、今回の場合は能力を見込んでの……ってやつだからね。

 そういうのも少なくない世の中、何が起こるかわかんねえな……。


「いやあ、まさか国家をまたいで公爵家の人間から求婚される元・暗殺者とかものすごく珍しい状況に自らが置かれる日が来るなんて誰が想像したかなあ……!」


「現実逃避を止めてくれないか」


「サフィアン王子最近厳しい」


「シリウスが暴走したら頼みの綱がお前だけだという悲しい現実を考えると、そうならざるを得ない」


「扱いが酷い」


 シリウスは知らんぷりだし。

 とりあえずご機嫌取りにシリウスの膝に乗っておいた。

 めっちゃ頭撫でてくるけどまあ一応なんとかなったか?


「しかしルーラント・クレイの狙いがセレンとなると、カーリーン王女がどの程度理解しているかは別としてもあの二人は協力体制そのものはできているんだろう」


「最初から何かしらの計画はあるってことですかねえ」


「基本はやはり正攻法だったんだろう。シリウスに対しても、セレンに対しても。ただそれが上手く行かないとなれば、今度は搦め手か……あるいは二人とも連れて帰るか、か」


「さすがにそれはないんじゃなあい?」


 だってカーリーン王女はシリウスを夫にして権力を握りたいのだ。

 しかしながら王国に舞い戻り、女王になりたいのかと問われるとそこまでの気概はない。

 というかその気概があるならとっくの昔に母国で弟が立太子するまでに対策とってたろうからね!


 権力はある程度欲しいしチヤホヤもされたいけど後ろ指指されるのはいやっていう、わかりやすいお姫さまだなあ……。


 でもだからこそ、シリウスと私をワンセット(・・・・・)で連れ帰っちゃうと彼女の立つ瀬が無いのではないか? と思うんだ。

 しかしながらサフィアン王子は小首を傾げた。


「それの何が問題なんだ? 国益になるなら、行き遅れ王女の面子如き塵芥も同然だ。王族ならばその程度の考えは持つべきだろう」


 あの王女は自分が切り捨てられる側と微塵も思っていないから滑稽だと鼻で笑うサフィアン王子。

 出たよ腹黒王族。

 

「世界中の王族が『みんながみんな腹黒だと思うなよ』って思うよ、きっと」


「そうだな、サフィアン王子は特にそういう面では悪い方向に物事を捉えがちな性格だから」


「お前ら好き勝手言うよな」


 まあじゃあ、次は搦め手だか実力行使か、そういうのを仕掛けてくる可能性があるってことよね。


「……でもそう考えたら、カーリーン王女は私のことが邪魔なんだからやっぱり暗殺者の手配じゃないの?」


「その手配をするのがルーラント・クレイだろ。なら誘拐か」


「あー……じゃあシリウスは媚薬とかその辺?」


「あり得るな。念のためサフィアン王子もお気をつけください」


「そんな馬鹿な手を使わないと信じたいところだな、同じ王族として。……だが気をつけるとしよう」


 国家間の問題で、これ以上厄介ごとが増えないようにね!

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