1.7 帰還者郷里に容れられず 2
「ちょっと待ってください。ルネ君はヴォルフらと違って追放刑の対象ではありません」
異を唱える者がいる。
神父様だ。
数年前にこの村に赴任してきた。
だが実家が貴族ということで、この村では嫌われている。
「この者は魔術を使っていました。魔術を使う者は誰であれ追放する。それが村の掟です」
神父の追求にもかかわらず、村長は考えを変えなかった。
「こんなに幼い子を追放するなんて、正気ですか?」
「魔術師に年齢は無関係です。なんと忌々しい!」
忌々しいって何だよ。こんなに便利なのに。
「あの、どうして僕が魔術師だと追い出されるんですか? とても便利ですよ」
俺は思わず質問してしまった。
「なんと忌々しい! この村では誰も魔術を使えず、お前だけが魔術を使える。お前は不平等の象徴なのだ!」
「はぁ……」
世の中には色々な人がいる。
頭のいい人も、頭の悪い人もいる。
足の速い人も、足の遅い人もいる。
魔術を使える人も、魔術を使えない人もいる。
人それぞれ個性がある以上、平等なんて不可能だ。
ルネの記憶から、頭のおかしな因習村だということは知っていた。
だがここまでおかしいとは……。
こりゃ出ていくしかない。
「そもそも僕の名前はルネですが、ヴォルフなる人物の息子ではありません。僕はたまたま通りがかった迷い子です」
「「「「「えっ!?」」」」」
村長と神父を含め、村民の驚きの視線が俺に刺さる。
「子供を殺すような親なんて不要ですから。というわけで僕はここの村民ではありません」
「そうかそうか!」
村長は勝ち誇った表情で、神父を睨む。
「日暮れが近いですから、この子は教会に泊めます。それでいいですね!?」
神父は慌てて俺の発言を制止する。
まだ俺が喋ってるんだぞ!
「まぁ、それくらいなら……」
「ルネ君、行きましょう」
俺は神父様に引きずられるように、教会へと向かうことになった。
ルネの記憶を辿っていて、この村はおかしいと思っていた。
村民が家にやってきて、こっそり私物を持っていないか頻繁に検査していたのだ。
だがようやく理解した。
おかしな習慣は、過激な平等主義のせいだ。




