1.13 眠れない夜
全ての魔物を解体するのはあまりにも時間がかかるため、俺は当座の資金の資金としてオークを3体だけ売却することにした。
受付に戻ってギルドカードを出すと、金貨が大量に入った革袋が出てきた。
同時にギルドカードもランクアップした。
新しいギルドカードには、飛竜とオークキングのスタンプが押されている。
「この絵は何ですか?」
「それは高位の魔獣を討伐したとギルドが認定したときに押されるスタンプよ。単独討伐だと、スタンプの周りが丸で囲まれるの。本当ならAランク相当の実力なんだけど、未成年はFより上には上げられない規則なの、ごめんねぇ」
ネイと呼ばれていたギルドの受付嬢は、先程より明らかに愛想がいい。
「ところでさっき解体場の人が、契約してる商会がどうこうって言ってたんですけど、冒険者と商会がどんな契約をしてるんですか?」
「あぁ……、それね……」
ネイは言い淀んだ。
「商会と契約して、集めた素材を優先的に納入する約束を交わしているの」
「どういう利点があるんですか?」
「契約のときに現金をもらえたり、商会が持っている装備を借りられるみたいね」
「あまり僕には関係なさそうですね」
「そうね。ところでルネ君は街の子じゃないわよね? お父さんやお母さんはどこにいるの?」
「ところでルネ君は街の子じゃないわよね? お父さんやお母さんはどこにいるの?」
子供が一人で街を出歩いているなんて、この世界では明らかに怪しいのだ。
完全に失念していた。
「わかりません」
「分からないってどういうこと?」
「こういうことです」
俺は神父に書いてもらった文書を渡した。
「あの村から来たのね……」
「ご存知なんですか?」
「えぇまぁね。変わったところだとは聞いているわ……」
「確かに変わってますね……」
「ところで泊まるところはあるの? お金があるなら宿屋でもいいけど、ギルド支部なら無料で泊まれるわよ?」
「本当ですか! じゃあ宿泊させてください」
「二階の一番奥の部屋を使って。家族に会えるといいわね」
今生の親は平気で暴力や労働搾取する人間だから絶対に会いたくないとは言えず、愛想笑いでごまかすのが精一杯だった。
もしかしたらギルド支部長のメンツを潰した腹いせに、夜中に暗殺されるかもしれない。
今夜は眠れそうにない。




