1.10 市門
「これがガゼッツローゼンの街かぁ」
俺はワイバーンやオークが跋扈する大山脈を踏破して、無事に大陸北側では南端にあるガゼッツローゼンに辿り着いた。
市壁は石造りで、丸い塔を壁で繋いだ構造だ。
前世であればカーテンウォールと呼ばれていた気がする。
さてこの世界では、身分によって利用できる門が違っている。
北門から、商人と思しき荷馬車が頻繁に出入りしている。
大山脈やその南側で狩りをした冒険者は、主にこの街で獲物を売却しているらしい。
そのため、辺境にありながら経済活動は活発なようだ。
一方で南門は冒険者が利用できる門で、ガラの悪そうな人々が大勢たむろしている。
ちょっと通りたくないが、仕方ない。
「おい坊主、一人で街に入るのか?」
列に並んで市門を通ろうとすると、衛兵が話しかけてくる。
「そうです」
「入街税は《《金貨》》一枚だぞ。ここでちゃんと払えよ」
「えっ?そこの壁に入街税は《《銀貨》》二枚って書いてあるじゃないですか」
「字が読めるのかよ。だとしても金貨一枚って俺が決めたんだ文句あるか!? お前みたいな汚い子供はお呼びじゃないんだよ!」
とんだボッタクリ衛兵だ。銀貨二枚だけ公庫に収めて残りは自分の懐に収める算段なのだろう。公務員まで汚職に手を染めるなんて……。正直かなりムカついた。
「入街税はこれでいい?」
「「「「「「「「「「ぎゃーーーーっ!!!」」」」」」」」」」
俺はインベントリーからワイバーンの死骸を取り出した。
突然現れたワイバーンに、衛兵のみならずむくけつき冒険者たちまで悲鳴を上げた。
「これで文句はないよね? 通らせてもらうよ。冒険者ギルドはどっち?」
「入ってすぐの一番大きな建物だ……」
腰を抜かした衛兵に許可を得て、俺は晴れて街に入った。




