その②
夕食は煮魚をメインに据えた和定食だった。主菜に魚が多いのは病院食がそうだったからと明かすさくらだが、どうも様子がおかしい。隆俊が帰宅してからずっと彼の顔色をうかがうような素振りをしている。
「――その、なにか怒らせてしまうようなことしましたか」
そう声を掛けても「別に」と返され、余計不安になるさくらの表情は暗くなり、ソファで寛いでいた隆俊はそこでようやく自分に非があったのだと気付く始末だった。
「悪い。別に怒ってない。ただ気になることがあったんだ。すまん」
「そうなんですか。良かった」
「ちょっと未那から説教食らってさ」
「わたし――のことですよね」
2人にとってお荷物状態なのはわかっている。それが原因で隆俊が未那に責められるのは胸が痛む。理由がわかっているからなにも言えずに黙り込んでしまう。そんな彼女に溜息をつき勝手に勘違いするなと否定する。
「確かにさくらのことで小言を言われた。でもおまえのせいじゃない」
「どういうことですか」
「未那から『さくらの両親は心配してないのか』って聞かれた」
嘘は言っていない。現状、捜索願が出ていない可能性が高いのだ。だからと言ってこの段階で未那から聞いた話を伝えるのは性急すぎると思う。なんとか本人から自発的に聞き出したい。
「ウチに来て2週間、いや3週間か。いい加減親が心配してもいいんじゃないかって」
「心配……捜索願ってことですか。そうですね。出てもいいはずですよね」
「ん? まるで出さないって言ってるみたいだな」
「出さないんじゃなくて出せないんですよ」
未那の言っていた通りなのか。さくらの言い回しからはそう推測できるがいったいさくらはなにを隠しているのだ。言い難いことなのか下を向いたまま口を閉ざすさくらに説明を促すわけにもいかず沈黙が2人を包む。
出来れば話したくないのだろう。沈黙を続けるさくらからはそう感じ取れ、言いたくなければそれで構わないと助け舟を出す。悪い奴ではないのだ。いつか言いたくなった時に話してくれれば良い。さくらが口を開いたのはそう思った矢先だった。
「――両親には悪いと思っています」




