表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
9/13

9‐第一試合

 王都武術魔道会場は、朝から熱気に包まれていた。


 観客席はすでに満員で、

 王都魔導高等学院と聖シャマシュ高等学院の生徒たちが

 それぞれの応援席に分かれて声を上げている。


「……すごい人の数」


 エリナが小さく呟く。


「大丈夫。落ち着いて」


 レイフは隣で静かに言った。


 エリナは深呼吸し、拳を握りしめる。


 アナウンスが響いた。


『第一試合——

 王都魔導高等学院、エリナ・ストラング

 対

 聖シャマシュ高等学院、ミリア・フェルナ』


 エリナはゆっくりと競技場へ歩き出す。


 対面に立つ少女、ミリアは、

 淡い雰囲気を纏っていた。


 柔らかな雰囲気の少女だが、

 その周囲の空気は澄んでいて、

 まるで聖域のようだった。


「よろしくお願いします、エリナさん」


 ミリアは微笑む。


「怪我をしても、すぐに治しますから安心してくださいね」


「……敵を治すつもりなの?」


「はい。私は回復系ですから」


 観客席がざわつく。


「回復しながら戦うのか……?」


「いや、試合の終わった後だろ?」


 エリナは構えを取った。


 審判が手を上げる。


「——始め!」


 エリナは地を蹴った。

 魔力を纏い、一気に距離を詰める。


「はっ!」


 拳を叩き込むが——


 ぱあ、と黄緑色の光が弾け、

 エリナの拳は柔らかな壁に阻まれた。


「……っ!」


「ブレスシールドです」


 ミリアの周囲に淡い光の膜が展開されていた。


 エリナは後退し、距離を取る。


 ミリアは静かに手を前に出した。


「ブレスフラーレ」


 黄緑色の光が一点に集まり、

 閃光となってエリナへ向かう。


「くっ……!」


 エリナは横へ跳び、光を避ける。


(当たったら……ただじゃ済まない……!)


 観客席ではレイフが腕を組んで見つめていた。


(ミリアの術式は綺麗だ。

 だが……密度が低すぎる)


 つまり——


 “壊しやすい”


(エリナ……気づけるか?)


 ミリアは再び光を集める。


「ブレスフラーレ!」


 その瞬間。


 エリナの瞳が鋭く光った。


(……あそこ!

 術式の中心が薄い……!?)


 エリナは地を蹴り、

 魔力を拳に集中させる。


「はあああっ!!」


 発動までの術式組み立ての瞬間、

 拳がミリアの術式に触れた——


 ぱんっ!


 黄緑色の光が弾け、

 術式が崩壊した。


 観客席がどよめく。


「魔法の術式が……壊れた!?」


「どうやって……?」


 ミリアは驚きに目を見開いた。


「……術式が…破壊……?

 そんな……どうして……?」


 エリナは息を切らしながら答えた。


「あなたの術式……中心が薄かった。

 そこを狙っただけ」


 ミリアは一瞬沈黙し、

 やがて微笑んだ。


「……すごいです。

 でも、まだ終わりません」


 ミリアは再び光を集め始める。


 その瞬間——

 レイフの目が細くなる。


(ミリア……今のは悪手だ。

 術式を壊された直後は誰でも隙が生まれる)


 エリナもそれを感じ取っていた。


(今……!)


 エリナは地を蹴り、

 魔力を右腕へ集中させる。


「フレアショット!!」


 黒い閃光のような魔力が、

 一直線にミリアへと走った。


 ミリアは驚き、術式の構築を中断する。


「っ……!」


 防御が間に合わない。


 魔力の弾丸がミリアの胸元に直撃し、

 彼女の身体が後方へ大きく弾き飛ばされた。


「きゃっ……!」


 ミリアは地面に倒れ込み、

 光がふっと消える。


 審判が駆け寄り、手を上げた。


「ミリア・フェルナの戦闘不能を確認。

 ——勝者、エリナ・ストラング!!」


 会場が一気に沸き上がる。


「すごい……!」


「神聖魔法相手に勝ったぞ!」


「術式を壊して……そのまま一撃で……!」


 エリナは肩で息をしながら、

 倒れたミリアへ歩み寄った。


 ミリアは苦しげに笑いながらも、

 しっかりとエリナを見上げる。


「……負けました。

 あなた、本当に強いんですね」


「ありがとう。

 あなたの魔法も……すごかったよ」


 二人は軽く手を取り合う。


 その光景を見ながら、

 レイフは静かに頷いた。


(エリナ……よくやった)


 こうして、第一試合はエリナの勝利で幕を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ