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8/13

8‐対戦相手

 王都武術魔導会場に到着した瞬間、

 レイフとエリナは思わず足を止めた。


 巨大な白い建造物は、まるで神殿のように荘厳で、

 入口からは淡い黄緑色の光がふわりと漂っている。


「……神聖魔法の気配が強いね」


 レイフが静かに呟く。


「うん……なんか、空気が違う……」


 エリナは緊張した面持ちで会場を見上げた。


 レイフたちが通う”王都魔導高等学院”は物理魔法の名門だ。

 対する聖シャマシュ高等学院は、神聖魔法の最高峰として知られている。


 会場の中央には、すでに多くの生徒が集まっていた。

 その中には、聖シャマシュの制服を着た生徒たちもいる。


 彼らの周囲には正の魔素特有の黄緑色の光が淡く揺れていた。


「……あれが、神聖魔法の学院……」


 エリナは小さく息を呑む。


 レイフは冷静に周囲を観察していた。


(術式の密度……魔力の流れ……

 やっぱり現代の神聖魔法は浅いな)


 そんなことを考えていると、

 会場の壁に大きな紙が貼られているのが目に入った。


「レイフ、あれ……トーナメント表だよ!」


 二人は人混みをかき分けて近づく。


 そこには、


 王都魔導高等学院と聖シャマシュ高等学院の名前がずらりと並び、

 対戦カードが記されていた。


「……あった。私たちの名前」


 エリナが指差す。


【第一試合】

 王都魔導高等学院 エリナ・ストラング

 VS

 聖シャマシュ高等学院 ミリア・フェルナ


「ミリア……聞いたことある。

 回復系の天才って噂の子だよね……」


 エリナの声が震える。


「大丈夫。エリナなら勝てるよ。

 相手が回復系なら、攻撃力はそこまで高くない」


「……うん、頑張る」


 そしてレイフの名前を探す。


【第三試合】

 王都魔導高等学院 レイフ・スケルド

 VS

 聖シャマシュ高等学院 ルシアス・エルネス


「ルシアス……?」


 エリナが首をかしげる。


 レイフはその名前に、ほんのわずか反応した。


(……エルネス。

 聖家系の名だな)


「レイフ、知ってるの?」


「いや、ただの偶然だよ」


 レイフは軽く笑ってごまかした。


 ◆ ◆ ◆


 トーナメント表を確認したあと、

 二人は学院が用意した宿へ向かった。


 王都の宿は広く、

 窓からは夜の街並みが見える。


「……緊張して眠れないかも」


 エリナがベッドに腰を下ろしながら言う。


「大丈夫。明日は俺もいるし、エリナはちゃんと強い」


「レイフが言うと、なんか安心する……」


 二人は軽く明日の作戦を確認し、そのまま夜を迎えた。


 ◆ ◆ ◆


 翌朝――――


 宿の外はすでに人で賑わっていた。

 大会の旗が風に揺れ、

 王都全体が祭りのような空気に包まれている。


「行こう、エリナ」


 レイフが声をかける。


「うん……!」


 二人は再び会場へ向かう。


 会場の前にはすでに聖シャマシュの生徒たちが集まっていた。


 その中心に立つ一人の少年がレイフの方をじっと見つめている。


 淡い黄緑色の光をまとった、

 整った顔立ちの少年。


「……あれが、ルシアス・エルネス」


 エリナが小さく呟く。


 レイフは静かに目を細めた。


(やっぱり……ただの相手じゃなさそうだ)


 こうして、


 対抗戦の初日が幕を開けようとしていた。

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