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2/13

2‐入学

 高等魔導学園の入学式が終わり、Aクラスの教室に入ると、

 昨日の実技試験の噂がすでに広まっていた。

 初級魔法を無詠唱で相殺し、中級魔法を術式ごと消したという話。

 最底辺男爵家の三男という肩書きと噛み合わず、周囲の視線は好奇と疑念で揺れていた。


 レイフは気にせず席に座る。そのとき、鋭い足音が近づき、金髪の少女が目の前に立った。


 ストラング公爵家の令嬢、エリナ・ストラングだった。


「昨日の試験、どういうつもりなの」


 開口一番、喧嘩腰だった。周囲の生徒たちが息を呑む。


「初級魔法を無詠唱で相殺、中級魔法を術式ごと消すなんて普通はできない。

 それを簡単にやってのけた。何か隠してるでしょう?」


 レイフは淡々と答える。


「隠しているつもりはない。最低限の動きをしただけだ。」


 エリナは眉を吊り上げる。


「その態度が気に入らないのよ。男爵家の三男のくせに余裕ぶって」


 周囲がざわつく。エリナは学園でも特別な存在だ。

 その彼女が露骨に敵意を向けている。


「いいわ。あなたが本当に実力者なのか、私が確かめる」


「確かめる?」


「放課後、訓練場で私と戦いなさい。もちろん、逃げないわよね?」


 挑発的な視線。昨日の試験を見て感じた違和感を、彼女自身の手で暴こうとしているのだろう。


 レイフは静かに頷いた。


「構わない」


 エリナは満足げに背を向ける。


「あなたの正体、私が暴いてあげる」


 教室が一気に騒がしくなる。


「エリナ様が挑むなんて……」


「スケルド、終わったな……」


「いや、昨日のを見る限り……」


 レイフは窓の外を見ながら、小さく息を吐いた。五千年後の世界は、初日から騒がしい。

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