1‐転生
~この現代の魔法について~
階級はSからG級まで存在する。
魔法は初級、中級、上級、帝級、神級、次元級がある。
現代では帝級が使える人が最上位のS級になる。
基本上級までしか使える人はいないが、
神級は使える人がいない。古代文明の話で生きている中で見た人は存在しない。
レイフが生まれるまでは。
次元級は現代の誰も知らない主人公しか理解し扱えない魔法術式だ。
初級魔法は名前だけで発動できるが、
中級からはだんだん詠唱が長くなっていく。
だがイメージを術式として覚えれば思考するだけで魔法が展開できる。
それを現代の人間は知らない。
――我が名はアーケ・マギアス・マギア。
古代文明マギア魔導王国を築き上げた王にして、魔法体系の創造者である。
さらに強い世界にするため、研究が進んであるであろう未来へ行くために自ら転生魔法を発動した。
転生魔法の場合、5000年の時を跨ぐことになる。
「次に目覚める世界は、我が文明を超えているだろう」
そう期待しながら、意識は闇に沈んだ。
◆ ◆ ◆
「……あ、あぁ?」
目を開けると、視界はぼやけ、身体は小さく動かない。
――スケルド男爵家三男の赤子として転生したのだ。
父はオルヴァン・スケルド、母はセラ・スケルド、
長男はアーヴィド・スケルド、次男はロキ・スケルド、
そして俺、レイフ・スケルドの5人家族らしい。
周囲は質素な部屋、粗末な家具。
魔力の流れも薄い。
まだ赤子の体での魔力制御に慣れず、膨大な魔力を漏らす。
「この魔力量…レイフ……君は、うちの希望だよ」
母の声が震えていた。
後に知るが、私は”男爵家の中でも最底辺”と呼ばれる家に生まれたらしい。
◆ ◆ ◆
幼少期。
私は生まれて数日の頃から魔力操作を自然に行い、三歳になる頃には庭の石を浮かせていた。
「レ、レイフ……石が……浮いてる……?」
母と父は目を丸くし、震える声で私を見つめた。
「……現代では、浮遊魔法も使える者がいないのか」
思わず漏れた独り言に、両親はさらに驚いた。
「レイフ……あなた、いったい……」
私は小さく息を吐き、家族にだけ真実を告げた。
「しょうがない、正直に言おう。
俺は五千年前の古代文明マギア魔導王国
初代国王にして魔法の創造者、
アーケ・マギアス・マギアの転生体だ。」
両親は信じられないという顔をしながらも、
私を恐れず、ただ抱きしめてくれた。
「……誰にも言わないでくれ。危険だから」
「もちろんよ、レイフ。」
この世界で、まだ俺の秘密を知るのは両親だけだった。
◆ ◆ ◆
五歳。
俺は平民の子どもたちとよく遊んでいた。
「レイフ兄ちゃん、また光の魔法見せて!」
「危ないから離れていろ。……ほら」
私は小さな光球を作り、子どもたちの頭上でふわふわと漂わせた。
浮遊魔法は使わない。
あれは“古代魔法”であり、外では絶対に見せられない。
平民たちは驚きながらも、私を恐れず慕ってくれた。
◆ ◆ ◆
十歳。
剣術の授業が始まった。
俺は古代魔法の一つ、”無属性魔法による身体強化”を最低限だけ使い、
父と木剣で模擬戦を始めた。
「レイフ、動きが速すぎる……!」
「いや、まだ基礎です。古代ではこの身体強化に加え、
転移なども使う人がいましたからね。」
「身体強化なんて聞いたことがないぞ?それにワープ?とはなんだ?」
「転移は一瞬で移動する魔法のことです。」
「そんな魔法があるんだな…」
オルヴァンは驚いた顔をして言う
「周りに転生者ということを勘付かれないようにな。」
「はい。」
だが剣は授業だけ。
私は基本的に魔法で戦うつもりだった。
◆ ◆ ◆
十六歳。
私は高等魔導学園へ入学した。
初日の実技試験。
内容は――”試験官との模擬戦”。
「次、レイフ・スケルド。男爵貴族の最底辺……か」
試験官はあからさまに見下した目を向けてくる。
「手加減はしないぞ。せいぜい頑張れ」
周囲の生徒たちも笑っていた。
「最底辺の家の奴だろ? どうせFかD級だよ」
そう、現代では上位からSからG級までのランクがあるらしい。
私は深く息を吸い、構えた。
「始め!」
試験官が炎の魔法を放つ。
「フレアショット!」
俺は同じ魔法を――”無詠唱”で放った。
「(フレアショット)」
炎と炎がぶつかり、相殺される。
「なっ……無詠唱……!? そんな馬鹿な!」
試験官は焦り、次に中級魔法を詠唱する。
「我求む、根源たる炎の力を。フレアバースト!」
爆ぜる炎。
俺は静かに手をかざした。
「術式無効化」
空気が震え、炎は向かっている途中に霧散した。
「な、何だ今の……!? 魔法が消えた……!」
俺は淡々と炎の矢を無詠唱で何本も作り始める。
「続けるか?」
試験官は青ざめ、震えながら手を上げた。
「……A級判定。間違いない……!」
会場がざわめく。
「最底辺の男爵家なのに……A級……?」
その中で、金色の髪の少女――
”ストラング公爵家の公爵令嬢、エリナ・ストラング”が鋭い視線を向けてきた。
「あなた……何者ですの?」
俺は微笑んだ。
「それは……信頼できる相手にしか話さない主義でね」
エリナの瞳が揺れた。
――五千年後の世界。
どうやら、退屈はしなさそうだ。




