表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルコアル精霊譚  作者: 鏡読み
17/26

第四章「王都潜入」 2

 大まかな段取りはマティーニの話した通りで行くことになった。

 ただし偽装商隊を作るにあたって、奪った違法薬物だけを堂々と持っていくわけにはいかない。

 そこで私たちは 以前耕した畑からとれた馬鈴薯を積み、それを売る名目で王都へ入ることにした。王都の商業区に入った後は馬鈴薯を売りつつ、その資金で王都に滞在、貴族との接触を図る予定だ。


「さて、こんなところだろうか」


 馬鈴薯を積み込みが終わり、私は汗をぬぐった。

 廃墟の村の教会前、私たちは荷馬車の準備を行っている。準備している荷馬車は6台。それぞれに馬の御者が2人、8人は余裕で乗れる馬車の中には4から5人の人員が搭乗し、義賊団全員が参加することになる。

 余ったスペースには麻袋に詰め込んだ馬鈴薯と調理器具と塩と油、あと王都につくまでの食料と水、応急処置ができるように馬車用の木材や、傷薬などの積み込むものは多い。

 念のため積荷を確認し、問題がないと判断した私は作業が完了したことを進捗を管理しているマティーニに伝えた。


「分かったわ。ほかのところも遅れはないしお昼まで休んでて」

「わかった」


 そういわれて落ち着ける場所を探して村を歩くことにした。

 歩きながらあたりを見ると、あちらこちらで私よりも年上のもの、下のもの、荷袋を担ぎ荷馬車に積むために運んでいる。

 私たち新規の人間以外、全員がマティーニを助けたいという想いのもと集まった義賊団。ギムレットが貸してくれた本には国のための国という記述があった。何かの象徴のために動き、働く。まさにこういうことを言うのだろう。

 もし私がダイキリの部族に戻り、長になれた時、マティーニのように皆をまとめることができるのだろうか。少し考えてみたが答えはわからない。


「これはギムレットではないが、私も人をもっと学んだほうがいいのかもしれないな」


 思わず呟き、私は少し鼻を鳴らし笑った。

 

「ああ、いたいた。あんたなんてところまで歩いているのよ」


 気が付けば大分歩いていたようだ。村の外の畑まで歩いてきてしまっていた。

 マティーニの声がかかり、私は立ち止まり振り返った。

 少し驚きに声が上がってしまった。彼女の手には私の杖が握られていた。


「マティーニ、なにかあったのか。それにその杖は」

「ええ、あなたの杖でしょう。出発したら渡す機会はないでしょうし、今のうちにね」


 そう言い、マティーニは手にした杖を差し出された杖を私に差し出してくる。

 私はそれを受け取る。

 少し重いが手になじむように加工されたサングリアの杖。

 その重さを久しぶりに実感した。


「感謝する」

「いいのよ。それとこの間の件、悪かったわ。感情的になりすぎた」


 先の会議中に精霊術を使ってきたことだろう。マティーニは謝罪した。

 素直に非だと思うことは詫びることができる。実際にはなかなか難しいが彼女はそういうところをいともたやすく行っていく。正と負を見極め、認め、実行する。彼女が義賊団で信頼されているのはこの辺りがゆえんなのかもしれない。

 私は謝罪の言葉は無用と返すことにした。


「謝らないでくれ、私こそ無遠慮だった」

「それじゃ、そういうことにおくわ。貸し借り無用、正直あんた損よ?」


 何が愉快なのかカラカラとマティーニが笑う。


「しかし、わざわざ杖と謝罪のためにこんなところまで。積み込みはもう終わったのか?」

「積み込みは終わったわよ。そうそう、お昼よ、お昼。シャンディたちが露店の試食もかねてお昼を振舞うからあんたも声かけようと思って。大分探したのよ」

「それは、すまなかった」

「とにかく行きましょう。午後は休息を取って、明日の早朝には出発よ!」


 彼女に連れられ、私は教会前に戻ることにした。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ