第二話
「・・・・・・んで、来週の日曜日に試合?」
「そうそう」
麗奈の言葉に答える周。
今しがた先ほどの男とのやり取りを全て説明し終えたところだ。
もっとも説明したのは俊介だったが。
「しばらく試合してなかったし、いい機会でしょ?」
「そりゃそうだけど・・・・・・でも平気かい?」
コートを見ながらそういう麗奈。
そこには先ほどまでいなかった小中学生くらいの子供達10人近くがワイワイ騒ぎながらバスケをしている。
先ほど男に注意を受け、OKを出してしまったから仕方ないのだけれども。
「こんな状況で練習できるのかい?」
「できるよ、ほら」
周はそう言ってボールを持って立ち上がると、ドリブルをしながら人ごみの間をすり抜けていく。
ススススーっと軽く一周してくると戻ってきた。
「ね?」
「・・・・・・まぁ、あんたがそういう練習でいいんならいいけど・・・・・・」
「でも実際仕方ないですよ」
二人の会話に俊介が入ってくる。
「体育館ならまだしも公園ともなると貸し切って使うわけにも行きませんから。
今までの使い方が悪かったんです。
元々本格的な練習には向いてなかったんですよ」
「じゃあこれからどうするんだい?」
麗奈がそう聞くとさすがの俊介も頭を抱える。
「ん~・・・・・・今のところなんとも」
「だよねぇ・・・・・・」
麗奈もベンチに座って空を仰ぐ。
と、ぽーんとボールが飛んできた。
受け止めようとすると横から竹内の手が伸びてきて受け止める。
「ほれ、人にぶつけるなよ」
「ありがと~」
投げ返してやると子供にお礼を言われる。
ふと、別の子供達がやってきた。
「お兄さんバスケ強い?」
「ん?あぁ・・・まぁな」
「ねぇねぇ、一緒に練習しよ?」
「ああ、いいぞ」
やったーと喜びながら竹内を引っ張る子供達。
竹内もまんざらでもなさそうだ。
「・・・・・・んー・・・・・・よし、久しぶりにやるかぁ」
と、周が何かを思いついたのか子供達に声をかける。
「三人一組で私と勝負しよー!
使うのはコート半分ね!
私に勝ったらジュース奢ってあげるよ!」
「え?ホント!?」
「やったー!」
「誰が勝負する?」
「オレオレ!一番!」
「じゃあ俺も!」
はしゃぐ子供達の輪に入っていく周であった。
「3VS1かぁ・・・・・・恋二君たちとやってた時は2VS1だったのに、思い切ったことするなぁ」
その様子を見ながら俊介が呟く。
その言葉に麗奈も口を開いた。
「そうだねぇ、あたしが入ったばかりの時もやってたけど・・・・・・。
そういえば少しずつやらなくなってったねぇ。
いつからやらなくなったんだっけ?」
麗奈が思い出そうと頭を捻らせるがすぐには出てこない。
「私が入ったときにはやってませんでしたよ」
ふとまろんがそういう。
その言葉に俊介がぽんと手を叩く。
「そうだ、竹内君と出会った市内大会の練習をし始めたころからだ。
竹内君が入った後は2VS2がメインだったし」
「ああ、そうだそうだ」
麗奈も思い出したようだ。
確かにあれ以降子供と組んだり同じくらいの実力同士で戦うことはあったが、1VS複数というのはやらなくなっただろう。
おそらくチームプレーを意識し始めたからだ。
「一人一人の実力やテクニックよりも、パス回しや連係を重視するようになりましたからね」
「必然といえば必然ですね」
俊介の言葉にまろんも賛同する。
「となると・・・・・・久しぶりに個人の実力アップを目論むのもいいかもしれないね」
麗奈はそう言って立ち上がり柔軟を始める。
「・・・何するんですか?」
「ん?ちょっと走ってくる。
まぁ、適当に時間見て帰ってくるよ」
麗奈はそういうとコートを囲う金網から走って出て行ってしまった。
「・・・・・・そうだね、今までと同じじゃダメか。
丁度いい機会だし新しいことを始めようか」
「どうするんですか?」
俊介の言葉に首をかしげるまろん。
その時、コートから歓声が上がった。
どうやら周が最初の1チーム目を下したらしい。
「やっほ~!私の勝ち!」
「わぁ!やられた!」
「このお姉ちゃん強いぞ!」
「次行け!次!」
その様子を笑顔で見送りながら、俊介は竹内の方に行った。
「竹内君」
「ん?どうした?」
「1VS1やろうか」
俊介の言葉に竹内は一瞬驚いた表情を浮かべるが、すぐにニヤッと笑った。
「いいぜ」
そしてボールを借りると、コートのもう半分を使って二人で向かい合った。
「はぁ・・・・・・」
残ったまろんはどうしたものかと考えた挙句、ぽんと手を叩いて周の方に向かった。
「次誰が行く?」
「じゃあ俺!」
「それじゃ俺も!」
「えっと・・・後は・・・・・・」
子供達が二人コートに立つのが見える。
あと一人を決めかねているようだ。
まろんはそこに入る。
「私が入ります!」
「え!?ま、まろんちゃんはむしろこっち側じゃないの!?」
その言葉に周が抗議する。
こっち側とは挑戦を一人で受ける側ということだろう。
しかしまろんは笑顔で返す。
「1VS1じゃ周さんに勝てませんけど・・・・・・、今日は皆の力を借りてやっつけたいとおもいます!」
そういうと周は少しムッとして、そしてすぐにニヤ~っと笑った。
「ほほう、私をやっつけるとは大それた事を・・・・・・。
その野望!打ち砕いてあげるわ!」
「望むところです!」
望んじゃダメです。
ともかく各々上を目指してまずは一歩踏み出したようだ。
周たちに試合を申し込んだ男、名を高橋展也という
彼は今電話をかけていた。
「おう、吉田か。
野伊の連絡先分かるか?
・・・・・・ああ、スマン。
それからお前、今度の日曜日時間あるか?
いやなに、バスケをやらないかと思ってさ。
OK?そうか、助かる。
ん?いや、そんな大それたことじゃない、ただの遊びさ。
楽しめるかどうかは実際やってみないと分からんよ。
じゃあ来週頼んだ。
あと連絡先ありがとな」
ブツッと電話を切る。
「・・・・・・さて、何人集まるかな」
彼はやがてまた別の場所に電話をかけ始めた。
同刻、走っていた麗奈はふとあることに気がついた。
「・・・・・・そういえば来週の日曜日は何時から試合なんだろうね?
あとで周に確認取らないと・・・・・・俊介の方が確実かな?あはは」
周たちも試合を持ちかけてきた高橋も、共にそのミスにまだ気づいていなかった。
結局電話の最中にそれに気づいた高橋が再び周たちの元を訪れて解決となった。
時間設定するのは素で忘れてました。
まぁ、せっかくだしコイツのせいにしてそのまま話進めようぜ(




