ちょっと真面目な過去話 竹内祥吾
「ふぅ・・・・・・」
ベンチに座ってジュースを飲む。
別に何か運動をしていたというわけではない。
ただ歩き回っていて喉が渇いた気がしたから飲んでいるだけ。
悠里ヶ丘高校に入って一ヶ月半、俺は部活に入るでもなく勉強に勤しむでもなく、ただのんびりと過ごしていた。
元々バレー部だったんだが、諸事情でやめて以来やっていない。
スポーツといえるものも特にやっているわけではない。
なので、休日はとても暇なのだ。
もちろん高校生であるということを考えれば、塾に通って勉強をするもよし。
何かの資格を取るべく努力をするもよし。
なんとか連盟に所属してスポーツをするもよし。
家に篭って本を読んだり、ゲームをするのもまた高校生らしいだろう。
やることはなにかとある。
だが俺はそのどれもやる気にはなれなかった。
そして、そのやる気になる何かを探して、こうして歩き回っているのだ。
もっとも歩き回って出会える何かならとっくに出会っていただろう。
何かこう・・・・・・よっぽどの偶然がない限り。
「・・・・・・竹内?」
「ん?」
名前が呼ばれた気がして横を見る。
と、こちらを向いている男二人組み。
見かけた顔だ。
「・・・・・・竜崎・・・と、滝田か?」
「おおお、やっぱり竹内だ」
「久しぶり」
声をかけてきたのは中学で同じクラスになった竜崎と滝田だった。
卒業して以来だから実に・・・・・・いや、一ヶ月半しか経ってないか。
「久しぶりって程でもないが久しぶり。
何してんだ?こんなところで」
「ああ、まぁ、ちょっとな・・・・・・」
俺の言葉に竜崎が言葉を濁す。
なんだ?なんか悪いことしてるんじゃないだろうな?
そう思っていると滝田が口を開いた。
「なぁ、竹内ってバレー部だったよな」
「ああ」
「確か途中でやめたって聞いたけど・・・・・・なんでだ?」
「・・・・・・」
正直語りたい話じゃない。
「・・・・・・企業秘密だ」
「なんだそれは。
もしかして触れちゃまずい話題だったか・・・・・・?」
む、勘違いされたか。
「いや、そうじゃないんだが・・・・・・。
話したくはないな・・・・・・その・・・・・・恥ずかしい的な意味で・・・・・・」
「なんだそりゃ、さっぱりわから・・・・・・」
と、そこに竜崎が割って入る。
「ああ、そういえば噂に聞いてたんだが・・・・・・。
あれ本当だったのか?お前が女に振られ・・・」
グシャッ!とでっかい音がした。
自分の手を見るとジュースの缶を握りつぶしていたらしい。
まだ中身が入ってたのに、勿体無い。
「・・・・・・スマン、やっぱり触れちゃまずかったか。
悪気はなかった」
「・・・・・・いや、こちらこそ」
竜崎の言葉に謝り返す俺。
とりあえずジュースは捨てた。
「なぁ、竹内。
お前バスケやらないか?」
「・・・・・・バスケ?」
滝田の言葉を思わず聞き返す。
なんだって元バレー部の俺をバスケに?
「実はこれ・・・・・・」
そういって紙切れを渡される。
紙切れというかチラシか?これ。
「・・・・・・市内バスケットボール大会?」
ああ、そういえばこいつらバスケ部だったっけか?
大会で上位に食い込んだって話は聞かなかったけど。
「ああ、バスケットの試合やるんだって。
面白そうだからメンバー探してたんだけど」
そう言って滝田が竜崎の方を見る。
「あ、ああ、お前くらい背が高ければそれだけで有利かな~とは思うけど・・・・・・」
「でも俺、バスケなんて体育くらいでしかやったことないぞ」
俺がそういうと滝田が俺の肩を叩く。
「またまた。
学年別体育大会でバスケに出て活躍したくせに」
「・・・・・・あれはバレー部がバレーボール競技に出ちゃダメって言われてたから・・・・・・」
「でもあの活躍は見事だったぞ。
バスケ部の俺が言うんだから間違いない。
なぁ、竜崎」
竜崎に話題を振る滝田。
「・・・・・・まぁ、そうだな。
正直いてくれればありがたい」
竜崎はあまり乗り気ではないようだが、そう言った。
そう言えば、こいつとはあまり仲がいいほうじゃなかったな。
悪かったというわけでもないが、何かと意見が割れていた気がする。
しかしまぁ、そうまで言われりゃやる気がないなんて言ってられないな。
「・・・・・・そうだな。
いいぜ、大会出てみようか」
「ホントか?そりゃよかったぜ!これでメンバー決まりだ!」
滝田が大げさに喜ぶ。
「そうと決まれば早速練習だ」
「練習ってこれからか?」
「ああ、予定あったか・・・・・・?」
「いや、ちょうど暇だ。
練習に付き合わせてくれ」
「そうこなくっちゃな!」
こうして俺は滝田、竜崎と共にチームを組み、バスケの大会に挑んだ。
そして、白髪のあの女に出会うのだった。
「ふぅ・・・・・・」
ベンチに座ってジュースを飲む。
別に何か運動をしていたというわけではない。
斉藤のヤツが旅行に出かけるとかで数日空けている間、練習したい者は集まり、休みたい者は休めと言われたので今日は休んでいるというだけだ。
あいつらと練習を始めてもう二ヶ月以上になる。
いい仲間にめぐり合えたもんだ。
「・・・・・・竹内?」
「ん?」
名前が呼ばれた気がして横を見る。
と、こちらを向いている男二人組み。
見かけた顔だ。
「竜崎と滝田」
「やっぱり竹内か」
「久しぶり」
あの時同じチームを組んだ竜崎と滝田。
あれ以来会っていなかったな。
「お前、まだバスケやってんのか?」
「ああ、やってる」
竜崎に聞かれて返事をする。
思えばあの時こいつらが誘ってくれなかったら、こうしてバスケをしていることもなかったかもしれない。
「一応礼を言っておく」
「ん?何?」
「あの時、バスケに誘ってくれなかったら、あいつらと出会ってなかっただろうな、と思ってな」
俺がそういうと滝田はフフッと笑った。
「そんなこと気にすんなよ」
確かにそうかもな、気にする方が珍しいかもしれない。
「それよりお前、この間試合に出てなかったか?」
竜崎がそういう。
この間・・・・・・というと、あの全日本主催とか何とかいうアレか。
「ああ、出たぞ」
「やっぱりな、見てたぜ」
マジでか・・・・・・。
「・・・・・・みっともない負け試合だったな」
「ハハ、相手は大学トップクラスだろ。
みっともないと思うだけ立派だよ」
俺の言葉に竜崎は笑って返す。
普通は仕方ないと諦めるところだろうか。
俺にはよく分からん。
ただ、何も出来ずに負けたのが悔しくてたまらなかった。
今でもそうだが。
「いつかリベンジするのか?」
竜崎に聞かれた。
「ああ、もちろん」
当たり前のように俺は返事をした。
「なら、頑張れよ」
竜崎はそう言って俺に背を向けた。
「おう、次は負けねぇ」
俺もそう言ってベンチから立ち上がる。
足は自然といつもの公園に向かった。
耳を済ませるとボールの音が聞こえる。
「今日もやってるな」
俺は仲間に入れてもらうべく、コートに入っていった。
そんなに深い過去でもなかったですが。
まぁ、ちゃんとした話にはなったかな。
本編では素っ気なさすぎたかもしれません、ごめんなさい。




