子供達の対戦記
たまにはバスケ書かないと怒られる気がして。
元は4話だったものを一つにしたので長いです。
周達が暮らす町、F市悠里ヶ丘。
そこにはいわゆる「お金持ち」な方々が住んでいる豪邸がいくつか存在する。
とはいえ特にその土地を古くから支配してきた名家、というわけではない。
ただ「お金持ってるから豪華な家建てようぜ」みたいな感じで建てられただけである。
凪さん家の豪邸もその一つ。
祖父が事業と株で大成功を収め、父親がそのお金を元手に事業を起こして経営が上手く行っているのだ。
この家の父親は目立ちたがり屋なところがあるので「どうせなら豪華な家に住もう!」と豪邸を建てたのだ。
ただそれだけ。
なので古くからこの土地に住んでいるという訳ではないし、使用人はいるが家にプールがあったりするわけではないし、娘の春華もいわゆるお嬢様学校ではなく極普通の共学に通っている。
そんな中、本当に古くからこの土地に住んでいて、使用人がいて家にプールもあり、娘もお嬢様学校に通っているという、代々土地を治めてきた一家の一つ。
佐田本家がある。
兄姉が共に名門校で優秀な成績を収めている中、現在家で一人読書に励んでいる少女が一人。
一見金髪かと思える綺麗なブラウンのロングヘア、水色のワンピースを身につけた少女。
まだ小学生であろうか。
とはいえ小学生が読むには少し難しそうな本を読んでいる。
コンコン、とドアがノックされ、部屋に一人の女性が入ってきた。
「結佳お嬢様、失礼いたします」
「・・・・・・あ、梢恵さん」
本に集中していた少女がパッと顔を上げる。
そして時計で時刻を確認し、少しばかり残念そうな表情を浮かべる。
「お嬢様、運動の時間になります」
「はぁ・・・・・・」
ため息一つ、そして本を閉じるとのっそりと立ち上がる。
「お嬢様、そのようなお顔をなさらずに・・・・・・」
「分かってるわ・・・・・・グチを言うくらいいいでしょ?」
そういうと少女はクローゼットから別の服を取り出す。
「お手伝いいたします」
「いいわよ。
準備が終わったら行くから、外で待ってて」
「・・・・・・かしこまりました」
少女の言葉を受け、部屋の外で待機する使用人、梢恵さん。
そして少女は部屋の中で着替え始める。
お嬢様と言うのは幼い頃から色々勉強やお稽古事で忙しいイメージがある。
結佳というこの少女も例に漏れず。
とはいえ、先ほどの読書も決して何かをサボっていたと言うわけではない。
前述の通り、兄姉が優秀な成績を収めている中、彼女も十分優秀と言える成績だ。
稽古事は兄姉に比べれば少し少ないが、その分読みふける本の量が多い。
決して親からの指示ではなく自分が好きで読んでいるのだが、それによって得た知識は中々のものだ。
そんな中、彼女は身体を動かすことが苦手だ。
外に出る事自体は嫌いではない。
むしろ家族や使用人のいないところで友達とお出かけするというのも好きな方だ。
ただ運動が苦手なのだ。
お買い物で歩き回るのはいい、だがグランド上を走るのは苦手。
いわゆる「運動音痴」なのである。
「お嬢様」
梢恵さんがドアをノックしながら声を掛ける。
準備にしては時間がかかりすぎているような。
「お嬢様、失礼いたします」
ガチャリ、とドアを開けた。
成績優秀で読書が大好き、他のお稽古もそこそこ腕がいい結佳。
それだけに運動が苦手と言うのが両親も目に付くらしい。
露骨に嫌がったりボソッと漏らしたり、というのは無いが周りも結佳もそれを感じている。
それゆえ使用人、特に付き人の梢恵さんは彼女の日々のスケジュールに運動を組み込んだ。
しかし結佳は「苦手なものは苦手」とばかりに、他のお稽古とは違って嫌がる。
それを半ば無理矢理取り組ませているのだ。
ゆえに、彼女が今回のように準備と偽ってお出かけの準備を整え、
脱出用のロープを部屋のベッドに固定してこっそり抜け出す、何てことも稀に起こる。
「・・・・・・またですか・・・・・・」
これが初めてではないので軽いため息で済む。
とはいえ放っておくわけにはいかない。
ポケットから携帯電話を取り出すと連絡を入れる。
「SPさん?梢恵です。
お嬢様が屋敷を抜け出しました・・・・・・ああ、そうですか、既に見張っていましたか、ご苦労様です。
・・・・・・はい、適当に時間を見て連れ戻しに行きますので・・・・・・はい、お願いします」
ピッと電源を切る。
佐田本家お抱えの優秀なSPは既にお嬢様の脱出に気づき、複数人で見張りに付いていたようだ。
それが確認できれば一安心。
どこへ行ってもすぐに連れ戻せる。
のだが。
梢恵さんは、ん~っと伸びをすると自室に向かった。
「・・・・・・久しぶりにゆっくり出来そうですね」
優秀なSPがいると使用人も助かると言うものだ。
「ふぅ・・・」
適当な公園のトイレで、脱出用の運動着から普段着へと着替えを済ませる。
先ほどの水色のワンピースに、ピンクのリボンが付いた白い帽子を被る。
髪型もロングからツインテールに変化し、気取ったサングラスを掛けている。
変装のつもりだろうか。
「・・・・・・これでよし」
鏡で軽く確認すると運動着をまとめたカバンを片手に遊びに出かける。
とはいえ、今回は特に行きたい場所があって脱出したわけではないし、遊びの約束があったわけでもない。
「今日はどうしようかな?」
そんなことを考えながら暑い日差しの中を自由気ままな旅に出るのだった。
いつも周たちと練習をしている子供達の中の一人、園田修也君の特徴といえばメガネである。
少し大きめに見えるそのメガネを、くいっくいっといじるのが癖のようだ。
今もそんな仕草をしながら辺りをキョロキョロ見回している。
何をしているのか?
手にはバスケットボールを抱えている。
いつもは周が持ってきたボールを使っているのだが、これは彼が自宅から持ってきたボールだ。
周は現在家族と旅行中、その間いつもの練習はお休みということになっている。
まぁ、自主練習したければどうぞ、という一言つきであるが。
そして彼がいるのはいつもの公園。
となれば練習をしにきたのだろう。
だが何故に辺りを見回しているのか。
「やっぱり、皆と同じ練習ばかりをしていたんじゃ皆より上手くなれません。
ここは休みの間もきっちり練習をして・・・・・・せめて恋二君くらいにはならないと」
なにやらブツブツと呟きながらコソコソと公園内へ。
と、なにやら物音が。
「ん?・・・・・・これはもしかして・・・・・・」
さっ、ささっ、と金網に囲まれたいつものコートに近寄る。
それに合わせて物音も大きくなる。
ひょいっと中を覗き込むと。
「・・・・・・皆さん来てたんですか」
「おう、修也、来たか」
「やっぱり修也くんも来たんだ~」
「来ると
思ってた」
「・・・こんにちは」
そこにはいつもの子供メンバーが集合していた。
どうやら考えることは一緒のようだ。
しかも自分が一番最後とは。
照れ笑いをしながらコートに入っていく修也君。
「皆さん、結構練習を?」
「いや、少し前に来たとこだ」
修也君の質問に恋二君が柔軟しながら答える。
「一番乗りは?」
「恋二君だよ」
その質問には愛奈ちゃんが答える。
「はぁ・・・相変わらずバスケ大好きですね、恋二君は」
「おうよ、しかも今、周はいないんだぜ?
この隙に成長して見返してやるんだ!」
そう言って握りこぶしを作り、天を仰ぐ恋二少年。
彼の心にも周のように情熱が溢れていた。
「お~、気合入ってるね~、恋二君は」
「・・・最近出番なかったし」
「出番とか
いわない」
「そーいえば、周以外の大人組は?」
「・・・来てないみたい」
「これから来るかもしれませんね」
今度は恋二君の質問に、真美ちゃんと修也君で答える。
大人組とは周、俊介、麗奈、竹内、まろんの五人を言う。
高校生組にするとまろんが外れてしまうので子供達はそう呼んでいるのだ。
もっとも子供達としてはまろんを子供組に入れたいところだったりするのだが。
ともかくその答えに再びにやりとする恋二君。
「なるほど、じゃあ今日は俺たちだけの秘密の特訓日ってことだな」
秘密の特訓日。
なんとも情熱溢れる言葉である。
それはまるでこの日差しのように熱い言葉だった。
「よし!じゃあ練習始めるぞ~!」
「「「「おー!!」」」」
恋二君の気合の入った掛け声をきっかけに、五人は子供達だけの練習を始めたのだった。
「ん~、何かないかしら?」
運動が嫌で豪邸を抜け出してきたお嬢様、結佳は暇つぶしにとぶらぶら歩き回っていた。
しばらく商店街を歩いていたのだが知り合いにも会わないし面白いものも見つからない。
仕方無しに商店街を出て街中を歩いているのだ。
とはいえ、さすがに飽きてきた。
何か珍しいモノでもないかときょろきょろしていると。
「・・・・・・ん?」
ふと立ち止まったのは一軒の家の前。
極普通の家なのだが、彼女の目に留まったのは一匹の犬であった。
少し大型のようだ。
首輪を付けられたその犬が、その家の敷地内ですやすやと眠っていたのだ。
「へぇ~、かわいい」
触れたらいいのだけれど人の敷地に入るわけには行かず、結佳はその場でしゃがみこんで犬をじーっと眺めていた。
と、犬がピクッと反応して目を覚ます。
そしてこちらと目が合った。
「あ、起きた」
呼んだらこっちに来るかな?触れるかな?などと思っていると、向こうから近寄ってきた。
ただし、ウーウーと唸りながら。
「え・・・・・・?」
すすっと後ずさる結佳。
犬はズンズンと近寄ってくる。
「だ、大丈夫よね・・・・・・首輪してるし・・・・・・鎖もついてるし・・・・・・」
当然その鎖も杭に打ち込まれて・・・・・・とは行かなかった。
その鎖に連れられて、杭がカラカラと音を立てて着いてきたからだ。
「う、嘘・・・・・・」
スッと立ち上がって壁を背にしながら距離をとろうとするが、犬も同じだけ動くので距離が開かない。
ふと、その家の門に何かシールのようなものが張ってあるのが見えた。
「・・・・・・猛犬注意・・・・・・」
気づくのが遅かったようだ。
「い・・・いやああああああ!!!」
「ワンワンワン!!」
バッと走り出す結佳。
追いかけてくる犬。
追いかけっこが始まった。
と、ドンッと誰かにぶつかった。
「おい」
「ご、ごめんなさあああああいい!!」
声をかけられた気がしたがダッシュで逃げる。
「・・・・・・なんだアイツ、人にぶつかっといて・・・・・・」
「お、おい・・・あれ」
「なんだよ・・・・・・」
と、ぶつかられた彼らにも追いかけてきた犬が目に入ったようだ。
「こっちくるぞ!」
「な、なんでだよ!!」
「と、とにかく逃げろおお!!」
「ぜー・・・ぜー・・・はー・・・はー・・・・・・」
声も聞こえなくなったし、後ろを振り向く。
どうやら追っ手は撒いたようだ。
まさか運動が嫌で逃げてきたのに走らされる羽目になるとは思わなかった。
「はー・・・はー・・・・・・ふぅ・・・・・・」
と、一息ついて気がつく。
「・・・・・・ここ・・・・・・どこ?」
どうやら大分遠くまで走ってきてしまったらしい。
適当な電柱を見つけて住所が書いてないか探してみると隣町になっているようだった。
「・・・・・・も、戻らなきゃ・・・・・・」
振り返ってはたと気づく。
もしこの道を戻ってまたあの犬に出会ったらどうしよう?
遠回りする?それにしては道が分からない。
そもそもこの道をどうやってきたのかも覚えていない。
犬から逃げるのに必死だったから。
「ど、どうしよう・・・・・・」
近くに人がいれば自分の住所を告げて道を聞くことが出来るかもしれない。
しかしもしその人が悪い人だったら?
家はお金持ちだし、身代金を要求するには丁度いい身分だろう。
「すみません、道を聞きたいんですけど・・・・・・」
「ん?家はどこだい?お嬢さん?」
「○○町です」
「そうかい、それならすぐそこだ、案内してあげよう」
「い、いえ、道を教えてもらえれば・・・・・・」
「はっ、そうかい、じゃあね・・・・・・」
「あ、そんな・・・・・・お願いです、道を教えてください」
「じゃあ、おじさんについてきな」
「は、はい・・・・・・」
「へっ、こんなにあっさりついてくるとはな」
「んーんー!!」
「身代金も手に入ったし・・・・・・、もうお嬢さんに用はないな」
「んー!!」
「じゃあな」
グサッ
「なんてことになったら・・・・・・!」
どんだけ具体的な妄想してんだ、お前は。
しかし、そう考えると気軽に人に話しかけるわけには行かない。
ではどうすればいいか。
「そ、そうだ!私と同じくらいの子供なら・・・・・・」
「あの、道を聞きたいんですけど・・・・・・」
「あ、うん、いいよ」
「○○町なんですけど」
「○○町?う~ん、ちょっと分かんないなぁ。
あ、お兄ちゃんなら知ってるかも。
ちょっと着いてきて」
「あ、はい」
「へっ、子供を使っただけでこんなに簡単に釣れるとはな」
「んー!?んー!」
「さ、さぁ、この子はおびき寄せたのよ!
あたしは家に帰して!」
「そうだな、身代金も手に入ったし・・・・・・何ていうと思ったのかい?
一人だけ助かろう何て悪い子だなぁ。
悪い子には・・・・・・おしおきだ!」
「い、いやああああ!」
グサッ
「んー!!」
「さぁて、お嬢ちゃん、この現場を見られたからには生かして帰せねぇなぁ」
「んー!!んー!!」
「あばよ」
グサッ
「なんてことに!!」
もはやきりが無い。
少女は深い疑心暗鬼に捕らわれていた。
どうする?このまま疑い続けて道が分からなければ・・・・・・。
「お嬢ちゃん、道に迷ってるのかい?」
「え?ち、違います・・・・・・」
「本当に?じゃあ、お嬢ちゃんのお家はどっち?」
「こ、この先にあります」
「その先は行き止まりだよ」
「え!?そ、そんな・・・・・・」
「はは、嘘だよ。
そんな嘘も知らないなんて、この辺慣れてないでしょ」
「・・・・・・!」
「俺が案内してあげるよ、こっち来な」
「い、いやぁ!」
「暴れるな!」
「むぐっ!?んー!」
「よし、イイトコのお嬢様の身代金となりゃもう一生遊んで暮らせるくらい請求できるぜ」
「んー!んー!」
「そ、それもやだ!!」
じゃあもう勝手にすればいい。
「そ、そうだ!スポーツ選手よ!」
ふと、妄想力豊かな結佳お嬢様は唐突に叫んだ。
「スポーツ選手は人に夢と希望を与える純粋な心の人がなれる特別な職業よ!
そんな人が悪い人なわけないわ!
そうよ!誰かスポーツやってる人を探しましょう!」
どれだけ不思議な偏見を持っているのか知らないが、ともかく少女はスポーツをやっている人に道を聞こうと決めたらしい。
ザザッと対峙する二組。
長身の大紀君とメガネの修也君。
リーダー格の恋二君と最近少しおどおどする癖が治ってきた真美ちゃん。
現在ボールを持っているのは恋二君。
彼からヒュッとボールが放たれ、真美が受け取る。
すぐに修也がマークに付く。
「こっちだ!」
恋二の姿を確認すると真美がバウンドパスを出す。
受け取る相手には丁度いいが、カットしようとすると姿勢を低くしなければならないので止めるのが難しいパス。
だが長身の大紀は上手く姿勢を低くしながら手を伸ばし、ボールをカットした。
「あっ・・・」
「ちぃ!」
大紀は即座にドリブルで攻め込んだ。
とっさに真美が止めようとするが修也が妨害する。
何とか修也をかわして大紀を止めに行きたい真美と、何とか真美を足止めしたい修也。
二人の攻防が始まった。
同時にゴールに攻め込む大紀とそれを止めようとする恋二の戦いも始まった。
修也を抜こうと、前へ後ろへ、右へ左へ、ステップしてターンする真美。
真美を止めようと、両手を広げ後ろへ押していきながらも、自分と大紀の距離が離れすぎないように調整する修也。
恋二を抜こうと、立ち止まってドリブルをしながら様子を伺う大紀。
恋二より長い手足で、ボールを奪おうとする恋二からボールを遠ざける。
大紀からボールを奪おうと、足止めしながらちょくちょく手を出し、しかし抜かれる隙を作らない恋二。
大紀よりもすばやい動きで翻弄しつつ手を出していき、少しずつ大紀を下げさせる。
やがて大紀は観念したのか後ろを向いてボールを持ち直し、修也にパスを出そうとする。
とっさに手を構える修也とそのボールを奪おうと狙う真美。
が。
くるっと再び向きを正面に戻した大紀はシュートを放った。
「!」
恋二が気づいてとっさに飛ぶが間に合わない。
大紀が放ったシュートはリングを目指して飛んでいき、そしてリングを通過した。
「大紀君、修也君チームの勝ち~!」
愛奈の声が高らかに響く。
「あーもー!引っかかっちまった!」
がぁーと暴れながら頭を掻き毟る恋二。
「・・・あれは仕方ないよ」
「僕だってパスが来ると思ってましたし」
「たまには
一矢
報いないと」
皆でそういうが。
「分かってるよ!分かってるけど!いや、分かってるからこそ!
この悔しい思いが・・・あーもー!!
次は抜かせないからな!!」
なにやら一杯食わされたのが悔しいらしい恋二。
騒いで暴れて、そしてコートを後にする。
「あれ?どこ行くの恋二君?」
「ちょっと水飲んでくる」
愛奈に聞かれてそう答える恋二。
と、なにやら足音が聞こえる。
タッタッタッ
何だ?大人組の誰かが来たのか?と思って金網の外を見ると同時に、駆け込んでくる少女が見えた。
少女は恋二を見つけるなりその後ろに隠れる。
そして叫んだ。
「た、助けてください!」
「・・・・・・は!?」
状況が分からない恋二は少女に振り向くしか出来なかった。
「スポーツ選手・・・スポーツ選手・・・・・・」
などと呟きながら歩き続ける結佳お嬢様。
だがどれほど歩いてもそれらしい人は見つからない。
ときどき走っている人や自転車に乗っている人がいるが、こちらに気づく様子は無い。
子供に夢を与える純粋な心の持ち主しかなれないスポーツ選手ならば、こんな困ったオーラを放っている子供を放っておくはずが無い。
つまりあれはスポーツ選手ではなくただの急いでいる人なのだ。
というのが結佳の認識だった。
まぁ、少女だし、夢を見るくらいはいいのだが。
あまりにその認識に捕らわれすぎるのもどうかと思う。
「むむ、いないわね、スポーツ選手・・・・・・。
こんな町外れじゃなくてもっと都会で練習してるのかしら?」
それは間違っていないかもしれないが、そもそも探す相手を間違っているという考えにはいたらないのだろうか。
「はぁ・・・・・・疲れちゃった・・・・・・どこかで休憩しようかしら」
ふと見るとそこには丁度公園がある。
ここで休むとしよう。
それに公園ならば何らかのスポーツをしている人がいてもおかしくは無い。
そう考えて結佳は公園内へと入っていこうとした。
と。
「あ、あれじゃないのか?」
「ん?あ、あれだ!」
「え?」
ふと声がしたので振り向く。
すると学生服を着た男三人がこちらに走ってきた。
中学生くらいであろうか。
困ったオーラを放つ自分に向かって走ってくる中学生三人。
これこそ、彼女が待ち望んだスポーツ選手の姿だった!
そんなバカな。
「あ、あの・・・・・・」
しかし困っている自分に手を差し伸べようとしていると思った結佳は中学生達に道を聞こうとする。
が、どうも様子がおかしい。
「はぁ・・・はぁ・・・、とうとう見つけたぞ、ガキ」
「ガキ?」
子供にそんなこというなんて、スポーツ選手らしくも無い、と結佳は思った。
「なんですか?」
「とぼけんな!さっき俺たちにぶつかって行っただろ」
「挙句に犬に追い回されて・・・・・・散々な目にあったぜ!」
「犬に追い回されて・・・・・・?」
そういえば犬から逃げるときに誰かにぶつかったような?
もしかしてそれから自分の代わりに犬に追いかけられたのがこの人たちなのであろうか?
「あ、あの・・・・・・それはどうも・・・・・・」
「どうもじゃねーよ!こっちは文句言ってんだよ!」
ドンッと足を慣らす男。
思わず目を瞑る。
「あの・・・・・・じゃあどうすれば・・・・・・」
「まぁ、どうするかは別にしてさ、とりあえず場所変えようか」
男の一人はそういいながら結佳に手を伸ばす。
え、これってまさか・・・・・・。
スポーツ選手の殻をかぶった人攫い!?
と勘違いした結佳はとっさに走り始めた。
その判断は結果的に正しいのだが。
「あ、待て!」
「逃がすかよ!」
三人は揃って結佳を追いかけてきた。
逃げるにしてもこの辺の道は分からない。
仕方無しに結佳は公園内に逃げ込んだ。
誰か人がいれば助けを求められると思ったからだ。
しかし、公園内には誰もいない。
すぐ後ろには追っ手。
どうすればいい!?
ふと何か物音が聞こえた気がした。
とっさにそちらに走り出す。
すると公園の奥には金網で仕切られた場所があるようだ。
そこに誰かいてくれることを祈って逃げ込もうとする。
そしてそこから出てきたのが恋二、というわけだ。
「た、助けてください!」
結佳は出てきた人にとっさにそう叫び、その背中に回りこんだ。
「・・・・・・は!?」
恋二が意味が分からないという叫びを上げる。
と、その直後に中学生の男たち三人が走ってくる。
「とうとう追い詰めたぞ!」
「おいガキ、そいつを出せ」
とうとうこんなところまで追いかけてきた。
何とか守ってくださいと思っていた結佳だったが、同時に気になる発言が。
「・・・・・・ガキ?」
おそるおそる目を開けると、自分がしがみついていたのは自分とあまり年が変わらなそうな少年だった。
・・・・・・しまった、人選誤った。
そう思って金網内の別の人に助けを求めようとしたがあいにく中には似たようなのしかいなかった。
結佳は絶望した。
そう、絶望したのだが、恋二は意外にもまともに対応してくれた。
「ちょ・・・なんなんだよ、あんたら」
「なんだとか関係ないだろ、そいつを渡せ」
手を伸ばしてくる中学生、だが恋二は後ろの少女をかばうように手を広げ、少女を下げさせる。
「・・・・・・邪魔すんのかよ」
「女の子が男三人に追われてるなんて、普通じゃないですね」
敷地内にいた修也がそういいながら近寄ってくる。
他の子供達も同様だ。
中学生とはいえいかにも怖そうな印象を受ける男三人がいるというのに、だ。
「ちっ、なんなんだよ、ガキがまとまって・・・・・・」
「今バスケの練習中なんだ、邪魔するんならとっとと消えてくれ」
ブツブツ文句を言っている男に対して恋二がそういった。
「ちょ、ちょ・・・・・・」
思わず結佳が恋二を引っ張る。
「・・・なんだよ、話しを合わせろよ」
「そ、そうじゃなくて・・・・・・怖くないの?」
「別に」
なんで?と思って振り向くと他の四人も同じようだ。
「別にねぇ~」
「それほど
怖くない」
「・・・似たような人たち見慣れてる」
「あは、そうですね」
平然と答える四人の子供達。
実は麗奈が面倒を見ている不良達、ちょくちょくここにも顔を出していたのだ。
「作者の人が描写してないだけでね~」
うるさい、ごめんなさい。
ともかくそんな事情があって、彼らはそこいらの、ましてや悪ぶっているだけの中学生なんぞに恐れはしないのだ。
「ふん、バスケの練習だぁ~?」
男の一人が中をのぞく。
中はコートになっており、ゴールとベンチがあるのは以前から説明していたとおり。
「どうせ小学生レベルだろ?」
「俺たち中学でバスケやってんだ」
「あの練習に比べりゃこんな屋根も砂のコートでのバスケなんて練習にもなりゃしねぇよ」
そう言って彼らは笑った。
完全に見下されている、しかもバスケで。
そのことにムッと来た子供達だったが。
「・・・・・・あんたら中学のバスケ部?」
恋二がそう聞いた。
「ああ、そうだぜ」
男の一人が答えると、恋二がずいっと前に出る。
「・・・な、なんだよ」
「丁度よかった、バスケやってけよ。
中学生レベルがどれくらいなのか興味あったんだ」
恋二の言葉に、はぁ?と返しつつも彼らは上着を脱ぎ始めた。
「まったくめんどくせぇ・・・」
「でもまぁ、すぐ済むだろ?小学生相手だし」
「違いない」
恋二の挑戦を中学生はあっさりと受けた。
ただし、中学生が勝ったら大人しくその女の子を渡せ、という条件でだ。
恋二たちが勝ったら中学生達は大人しく帰れ、だ。
まぁ、正直なところ悪ぶっている中学生達もそういうノリが嫌いではないのだ。
「じゃあ、コート入るぞ。
こっちは三人だけど制服着てて動きづらいから同じ人数でいいか?」
「ああ、いいぜ。
そうじゃないと実力差が分からないし」
中学生の言葉に恋二はそう返す。
その言葉に中学生達は笑った。
「ハハ、そうだな、たっぷり実力差を分からせてやらないとな」
そう言って軽くワイシャツの襟元を緩めると三人ともコートに入った。
「じゃ、誰から行く?」
「ちょ、待って!」
気楽に始めようとしている恋二に、結佳は声をかけた。
「何でそんなに平然としてるのよ・・・・・・相手は中学生よ?」
「ああ、知ってる」
「何でバスケなんか挑んでるのよ!勝てるわけ無いでしょ!?」
「そうか?」
「そうでしょ!だって中学生よ!?あんたたち私と同じ小学生でしょ!?」
「そうだよ」
「じゃあ、あたしやってみた~い」
「ああ、じゃあ愛奈と俺と・・・・・・」
「待ちなさいって!」
一人やたらと心配している結佳を放っておいて、子供達は話を進めてしまう。
そんな結佳の肩をポンッと叩くのは大紀だった。
「大丈夫、
心配
いらない」
「心配に決まってるでしょ、あ~も~・・・・・・」
観念したのか大人しくなる結佳。
そこに真美もフォローを出す。
「・・・大丈夫だよ、私達、普段強い人たちと練習してるから・・・」
「ああ、はい、そうですか、はい」
投げやりな返答をする結佳。
観念したというよりはヤケになったというところか。
結局メンバーは恋二、愛奈、修也の三人で決まった。
「はは、そっちの少しでかいのは出さなくていいのか?」
中学生の一人が大紀を指差してそういう。
少しでかい、というのは彼らもそう身長が高い方ではないからだ。
比べたら並びそうなやつもいるが、プライドの関係上あえて見下しているようだ。
「ああ、まぁ、様子見て交代ってことで。
あ、交代はOK?」
「ああ、構わないぞ。
一度にコートに入るのが三人までならな」
「そりゃどーも」
恋二が交代を確認してコートに入った。
交代がダメだとコートに入っていない大紀と真美にあとで文句言われたかもしれないな~、などと思いながら。
「ボールは?」
「お前たちからでいいぜ」
修也がボールを差し出しながら言うと中学生達は太っ腹にもそういう。
彼らにとってははるか格下とバスケをするのだからそれくらいのハンデはどうということはない。
「じゃ、行くぜ」
恋二がコート真ん中からドリブルを始める。
そして修也と愛奈が左右から少しずつ上がる。
「ハハハ、じゃあご待望の中学生レベルを味合わせてやるよ、小学生」
そういいながら恋二の真正面に陣取った中学生が近寄る。
「はいはい、そりゃどうも」
恋二はそういいながら、スッと姿勢を低くし、キュッと加速した。
「え?」
ヒュッと歩を進めること二歩半。
それだけで目の前の中学生は恋二に置き去りにされた。
「な・・・」
「おい・・・」
後ろにいた二人が「なにやってんだよ」とばかりにフォローに行くが。
「愛奈」
「OK、修也君、パス」
「はい、恋二君」
「ん」
ヒュ、ヒュ、ヒュッとパスが回り、更に一人置いてきぼりにして恋二がゴール下に。
残るは一人。
「こ、こいつ・・・!」
ムキになって止めようとするが、ススッとステップを踏み、恋二は回避する。
そして綺麗にレイアップを決めた。
「むむ、少し甘かったか、周ならきっと二歩で抜いたな、うん」
「恋二く~ん、そういうのはせめて周お姉ちゃんと同じくらいの身長になってからでいいって俊介お兄さんも言ってたじゃない」
「ま、いいじゃん。
向上心は常に持って、って周も言ってただろ?」
「あはは、確かに」
余裕で雑談をする恋二たち。
ふと、思い出したように中学生達に向き直った。
「がっかりさせないでくれよ、中学生レベル」
「くっ・・・・・・このガキ・・・・・・!」
そこから、一方的な展開が始まった。
もちろん恋二たちによる中学生への一方的な攻撃展開だ。
「くそ・・・こいつ!」
ダダダム、とフェイクを入れつつ愛奈を抜こうとする。
「どうだぁ?これが中学生レベルのドリブルフェイクテクニックだぁ」
ポン、と片手で止められた。
「へ?」
「あらら、ずいぶん遅いですね、先輩♪」
「ば、バカな!」
バッと慌ててボールを拾いにいく中学生。
「麗奈さんの技に比べたら遅い遅い♪」
「いくぞぉ!」
ぐっと身体を沈ませ、シュートを撃とうとする。
それを止めようと修也が飛び上がる。
「はっ!引っかかったなぁ!」
そのシュートモーションを途中で止め、ドリブルで切り込む中学生。
が、すぐ目の前にフェイクで抜いたはずの修也がいた。
「なっ!?」
「やれやれですね、僕達と練習した当初の俊介さんより酷いです」
更に恋二たちは点を重ねる。
そして。
「愛奈、修也、大紀と真美と代わって来い」
「りょ~か~い」
「はい、分かりました」
メンバーを入れ替えて試合を続ける。
「こ、このぉ!」
怒りに任せてファールとも取れるような体当たりをする中学生。
だが、自分より多少背が低いはずの大紀はびくともしなかった。
「竹内さんの
当たり
もっと
強い」
バッとボールに手を伸ばす大紀。
中学生は慌てて別の男にパスを出す。
パスは真美にカットされ、そのまま攻められる。
その前に立ちはだかる中学生。
真美はあっさりと抜き去ろうとする、が。
「甘いぜ」
その瞬間、中学生は吹き飛ばされたように見せてパッと倒れようとする。
が、真美はその直前にパッと身を引く。
「へ?」
結果、全く触れもせずに勝手に男が倒れたようにしか見えなかった。
「・・・まろんちゃんの方が、ファール貰うのずっと上手い・・・」
「こ、こ、こいつらぁああ!!」
ドリブルで敵陣に切り込んでいく恋二。
それを追う中学生。
「しょ、小学生ごときに・・・!
ど、ドリブルをしてるのにぃ!!」
ただ走る中学生、そしてドリブルをしながらもそれに追いつかれない恋二。
再び鮮やかにレイアップを決めた。
「まったく・・・・・・周に比べりゃずっと遅いぜ」
「な、な、な・・・・・・」
言葉が出ないのはベンチに座って試合を観戦していた結佳だった。
「あ、あなたたち・・・・・・なんなの・・・?」
思わずそう聞いてしまう。
「ん~、何なのって聞かれてもねぇ」
「ただバスケが好きでやってるだけですから」
「バスケが好きなだけであんなに上手くなるわけないでしょ!
何!?元全日本代表とかのコーチとか付いてるわけ!?」
「そういうのはいないね~。
バスケ教えてくれてるのは高校生だよ」
「高校生!?」
「はい、周お姉ちゃんっていうんですけどね」
「・・・・・・信じられない!」
スポーツが嫌いな彼女には信じられないことだった。
バスケが好きでやってる、高校生に教えてもらってここまで上達する。
そしてなによりも、コートで戦ってる彼らがあまりにも楽しそうで。
思わず見とれていた。
20分ほど経っただろうか。
コート上にはへとへとに疲れている中学生三人組と、まだまだやる気満々の小学生とがいた。
「そういえば時間決めてなかったな。
あと30分くらいでやめるか?」
「そ~だね~」
恋二の言葉に答える愛奈。
その言葉に青くなる中学生達。
「あ、後30分だと・・・・・・!?」
「そ、そ、そんなの・・・・・・ぜぇ・・・普通の試合より長いじゃねーか・・・ぜぇ・・・・・・」
「や・・・や・・・やってらんねぇよ・・・・・・はぁ・・・・・・」
「ん?降参?」
恋二がニヤニヤしながら言う。
すると。
「う、うっせぇ!てめえら俺たちにこんなこ・・・ぜぇ・・・事してただで済むと思うなよ!」
「そうだ!俺たちにゃ面倒見・・・はぁ・・・面倒見のいい先輩がいるんだよ!」
「その人に言ってもらってこ、こんな・・・ぜぇ・・・場所、つぶしてや・・・」
「・・・やってるみたいだね」
「おう!元気があっていいことじゃ!」
「あれ?麗奈さんはいないね」
中学生達が息も絶え絶えに粋がっていると、コートの入り口に三人の不良たちがやってきた。
麗奈のお世話になっている、いつぞやから登場していない懐かしく感じる、アキラ、ユウ、ジュンの三人組である。
「あ、ジュンさんだ!」
「ジュンさん!何故こんなとこに居・・・ぜぇ・・・居るのかは知りませんが!」
「助けてくだせぇ!ハハハ、これでお前達も終わりだぁ」
三人の登場を見て何故かさらに粋がり始める中学生三人組。
「ジュン、アンタの知り合い?」
「・・・ああ、知った顔だ」
ユウに聞かれてジュンが答える。
「・・・なにやってるの?こんなとこで」
「聞いてくださいよ!ジュンさん!」
「あのガキ共が俺たちの事舐めくさって!」
「一丁懲らしめてやってくださいよ!」
「ジュンさん、お疲れさま。
集会の寄り道ですか?」
「・・・ああ、そんなとこ。
残念だけど今日は差し入れないよ」
「え~、残念~」
「がっはっは!子供は元気が一番とはいえ、姉さんの知り合いを熱中症で倒すわけにはいかんからな。
またなんか持ってくるぞ!」
子供達と打ち解けた会話をする不良三人組を見て、なにやら固まる中学生三人組。
「・・・で、なんだって?」
「・・・・・・ジュンさんこのガキたちの知り合いっスか?」
「・・・ああ、俺がお世話になっている麗奈さんのバスケ仲間」
「・・・・・・あー・・・・・・そーっすか・・・・・・」
「何?この子たちがどうかしたの?」
ダラダラと大量の汗を流す中学生達に話しかけるユウ。
が、中学生達は「いやぁ、何も・・・」と後ずさりしながら言った。
「なんかコイツラが俺たちのコートを・・・・・・」
「「「失礼しましたー!!」」」
恋二が告げ口しようとすると彼らは猛ダッシュで姿を消した。
試合中でもそれだけのスピードが出ればおそらく子供達に一方的にやられることは無かったろうに。
「・・・・・・行っちゃった」
「ん?コートが何じゃ?」
アキラが聞き返すが恋二はプッと笑った。
「いや、中学生とバスケできて楽しかった。
なぁ、皆?」
恋二が他のメンバーにそう聞くと、皆笑顔で頷いた。
「あ、そうそう、忘れてた」
と、恋二が結佳に近づく。
「何で追われてたのか知らないけど、これで大丈夫だろ?」
「あ・・・うん・・・・・・」
結佳はコクッと頷いた。
「そうか、よかった」
「で、なんでここに逃げ込んできたの~?
っていうか誰?」
「あ、えっと・・・・・・」
結佳はここに来てようやく、自分が迷子であることを告げた。
「隣町なら俺が一番近いから送ってくよ」という恋二の言葉に従い、皆は解散した。
結佳は恋二に連れられ、ようやく見覚えのある景色までたどり着いたのだった。
「あ、ここまでくれば・・・」
「そうか。
じゃ、俺はこの辺で」
「あ、あの!」
立ち去ろうとする恋二を結佳は呼び止めた。
そして。
「あの・・・・・・名前教えて・・・・・・」
恋二は結佳に笑いかけ、答えた。
「早乙女恋二だ。
いずれ日本バスケットの将来を背負って立つからな、覚えておけよ」
数日後。
コンコン、とドアがノックされ、部屋に一人の女性が入ってきた。
「結佳お嬢様、失礼いたします」
「あ、梢恵さん」
「お嬢様、運動の時間になります。
前回はなにやら御用で抜け出されたようですが、今回は・・・・・・」
「ねぇ、梢恵さん」
「・・・・・・はい」
「バスケのコーチ、つけてもらえるかな?」
使用人、梢恵さんはお嬢様の思いがけない言葉に驚いた。
今までスポーツなんか嫌いでやりたがっていなかったし、隙を見て前回のように逃げ出そうとしていたお嬢様が、まさかバスケのコーチを付けてくれ、とは。
「・・・・・・バスケットは今までの普通の運動よりも頭も身体も使いますよ?」
「うん、それでもやってみたいの」
ふむ、と考える梢恵さん。
前回、犬に追われて隣町まで行って公園でバスケ観戦をしていた、というのはSPを通して聞いていたが、何かいい影響を受けたようだ。
「分かりました、次回までに必ずご用意いたします。
本日は体力づくりといたしましていつもの運動を少し多めにやりましょうか」
「はいっ!」
結佳は笑顔で返事をした。
早乙女恋二・・・・・・。
次に会うときまでに少しでもバスケの事をよく知っておきたい。
そうすれば、彼の事ももっとよく分かるような気がしたから。
イイトコのやんちゃなお嬢様は皆こんなことしてると思います(偏見




