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エアウォーク  作者: 隠戸海斗
夏休み&秋休み編
62/102

豪腕勝負師伝説

ピッとカードが配られる。

裏向きに五枚。

指にゴツイ指輪をはめた男は葉巻を吹かしながらそのカードを手に取る。

代わりに「参加料」としてチップを一枚場に出す。

このチップ一枚で現金ン十万と交換できるというシロモノだ。

そして、チラッと相手を見た。

口元に妖艶な笑みが浮かぶロングヘアにドレスの女。

そしてチップを一枚出し、さらに四枚上乗せ。

いい手なのだろうか?

だがこちらも負けてはいない。

同じく四枚乗せて受けて立つ。


手はスペード2、4、K、クラブ4、ダイヤ9。

スペードのフラッシュか、4のペア。

だが直感が走る。

男は4のペアとさらにKを手に残し、二枚チェンジ。

そして代わりに受け取った二枚は・・・・・・ダイヤの4、そしてハートのK。

フルハウスの完成だ。

一方の女も三枚残して二枚チェンジ。

カードを受け取っても表情を変えない。

お互いに手札を場に伏せ、そしてここからチップの乗せ合いが始まる。



「コール、8」


チップを8枚場に出し、そう宣言する男。

対して女は8枚チップを出し、さらに8枚乗せてきた。


「レイズ、8枚」


金で下ろす気か、それとも勝負手が入っているのか。

クククと笑うと男はチップを8枚、さらに14枚場に出した。


「受けてその上14、計30だ」

「受けるわ、受けてその上20」


お互いにチップを惜しげもなく出していく。

そして。


「受けてその上・・・・・・40」


ジャラっと大量のチップを場に出す男。

計90枚。

女はそれを受けてクスッと笑う。


「受けてその上・・・・・・」


手にあるチップの山をごっそり場に移す女。


「160」


計250!

男は一瞬顔をしかめる。

だがすぐに笑みを浮かべた。


(そんなに金を捨てたきゃ全部貰ってやろう!)


「受けよう、そして・・・・・・」


男も手元のチップを移す。

それも・・・・・・全て!

一体何枚あるのだろうか?


「オールインだ!!」


オールインとは手持ち全てのチップを賭ける事である。

ゴールドマンより手持ちが少ない彼女がこれを受けるには全ての手持ちのチップを賭けなければならない。

ジャラジャラと男同様に手元のチップを場に乗せる女。

だが。


「・・・・・・足りないわね」


オールイン同士の勝負の場合、手持ちが足りなくても勝負をすることはできる。

だが、男は更に指輪を見せびらかしながら告げた。


「更にコイツを3つ上乗せする。

 その代わり、アンタにゃ身体を賭けて貰おうか」


ざわ・・・と周囲がざわめく。

女の表情がわずかに歪んだ。

だが今更降りても積んだ金は戻ってこない。

その勝負を受けるしかなかった。


「・・・・・・分かったわ・・・・・・」

「決まりだな」


男はニヤッと笑い、カードに手を掛ける。


「・・・・・・しょ、SHOW DOWNです」


ディーラーが宣言する。

ショウダウン、手札の公開、つまり勝負である。


男がカードを公開した。

4が三枚、Kが二枚。


「フルハウスだ!」


それを見て女の手がピクッと揺れる。

そしてカードに手を掛ける。

そのまま場に投げ捨てて敗北を宣言する・・・・・・だろう。

男は勝利を確信し、ニヤッと笑った。


だが、女は再びクスッと笑った。


「・・・え?」


まさか、いや、そんな・・・・・・。


女は、手札を公開した。


全てハート。

フラッシュか?

なら自分の勝ちのはず・・・・・・だが。


その数字は5、6、7、8、9。


「ストレートフラッシュ」

「ぐわっ!!」


ガタン!と音を立ててテーブルに伏せる男。


「私の勝ちね」


極上の笑顔で男を見下ろす女。

勝負は着いた。

女は席を立ち、自分の後ろにいた男たちに声をかける。


「それじゃ、回収お願いね」

「はい」


そして男たちはチップをドル箱に移し始めた。


「・・・・・・ゴールドマン様」

「ちっ、分かっとる」


男は自分の元に来た男に指から外した指輪を渡した。


「持って行け」


だが、女は男を見下ろしたまま笑うだけ。

何事か、と持っていると女は口を開いた。


「はい、しっかりと回収させてもらいますわ、その「指」・・・」


同時に男がゴールドマンと呼ばれた男を押さえつける。


「なっ!?バカな!俺が賭けたのは指輪だ!!」

「私・・・・・・そんなに安くありませんよ」


そう言って女はクルッと背を向ける。


「ま、待て!やめろ!!」


後ろから観客と男の悲鳴が聞こえてきた。




「な、何てこった・・・・・・あのゴールドマンすら負けるとは・・・・・・」


観客が呟く。


「あぁ、まったくだぜ、何て女だ・・・・・・」

「聞いたか?あの女・・・・・・まだ20代前半だとよ」

「な!?マジかよ!?確かに若いとは思ったが・・・・・・!」

「あの若さで何たるクソ度胸!そして強運!

 あんな女二人といないぜ・・・・・・」

「あの女、名前は何て言ったっけ?」

「最初に名乗ってたな、確か・・・・・・」



鴉麻(からすま)亜実(あみ)・・・・・・だ」




「・・・・・・ええ、依頼達成よ。

 報酬はいつものとこにお願い」


かちゃっと携帯電話を畳み、懐にしまおうとする亜実。

と、「着信アリ」の表記が目に入るので再び携帯を開く。

途端に目を輝かせて電話をかける亜実。

その表情は先ほどまでの妖艶さは一切消え、まるで少女のようであった。


「あ、もしもし?斉藤さん?

 ごめんなさ~い、ちょっと手が話せなくて電話に出られなかったの~、てへ☆

 え?お食事?いいの?ありがと~、嬉しい~♪

 じゃあいつもの場所でね。

 時間?いいよ、そっちに合わせるから。

 うん、それじゃまたね~、今晩楽しみにしてる~♪」



それはまだ彼女が「斉藤亜実」になる前のお話。


そんなバカなw

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