まろんの趣味
私、結城まろんです。
実は趣味は絵なのです。
人物とか風景とか何でも描けちゃいます。
バスケも楽しいですけど、ときどきこうして絵を描いていると心が落ち着きます。
「・・・・・・ん、今日はこの辺を描いてみますです」
持参したキャンパスを立ててその前に椅子を置いて座ります。
えへへ、わりと本格的に見えますよね?
でもあくまで趣味です、何処かに応募したりはしません。
部屋には飾ってますけど、新しいのを描いたらすぐに交換する程度です。
まずその風景を見ながら大まかに色を考えて、適当な位置を見極めてキャンパスに絵の具を乗せます。
普通はパレットから筆で描きますよね。
でも私はこういう描き方でもいいんじゃないかと思ってますです。
その絵の具を水にぬらした筆ですーっと伸ばします。
細かいところや他の色との境界線は後々で。
他に混ぜたい色があったらパレットからちょっととって混ぜながら塗っていきます。
あ、下書きはしてないんです、鉛筆とかは線が目立つので。
後から消すと紙に傷がついて色が少し変になってしまうんです。
すーっと塗る、色を混ぜる。
細い筆に持ち替えて細かく描く。
色々作業をしながらもそれほど時間はかからずに仕上がります。
「・・・・・・できました」
ときどき失敗したかなと思う絵もありますが、今回は一回で納得がいきました。
そんな感じで街を回って二箇所、三箇所と絵を描いていきます。
「・・・・・・よし、今日はここまでにするです」
絵を乾かして仕舞うと、画材やキャンパスを片付けます。
「・・・・・・あれ~?まろんちゃんだ」
「え?あぁ」
片付けの最中に向こうから周さんが来ました。
その向こうには俊介さんもいます。
「何してたの?まろんちゃん」
「えと・・・・・・絵を描いてました」
「へぇ~!まろんちゃん、絵描くのが好きなの?」
「はい、ときどきですけどこうして描いてます」
「すご~い、ねぇねぇ、見せて?」
「え、恥ずかしいです・・・・・・」
「いいじゃんいいじゃん~」
周さんにせがまれて、私は絵を差し出しました。
俊介さんもその絵を覗き込んできます。
「どれどれ・・・・・・うわ・・・」
「こ、これは!」
お二人が驚いた顔で絵を見ています。
あぅ・・・・・・下手とか言わないでくださいね・・・・・・?
「「・・・・・・ピ○ソ?」」
「ええ!?」
そんな!あんな有名な画家さんと比べないでくださいです!
「そ、そんな・・・・・・私そんなに上手くないです・・・・・・」
「いや、えと・・・そうじゃなくて・・・・・・ねぇ?しゅんくん?」
「そ・・・えっと・・・・・・つ、次の絵見てみようか」
「そ、そうだね」
ぺらっとお二人は次の絵を見ます。
「うわぁ、これは!」
「上手いじゃないまろんちゃん」
「ほ、ホントですか?」
やった!褒められちゃいました。
「ホントうまいよ、この壺の絵は」
「・・・・・・あぅ・・・・・・それ、橋の絵です」
うぅ、やっぱり違う絵に見られてたんだ・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・は、橋?」
「・・・・・・・・・ってことは・・・・・・風景画・・・・・・だよね?」
「は、はいです」
ちゃんと描いたはずなんですが・・・・・・。
すると突然お二人はヒソヒソと話し始めました。
(は、橋って言ったよね?今)
(ど、どう見ても壺だけど・・・・・・そばにみかんとか置いてあるし・・・・・・)
(あ、もしかして次の絵と勘違いしてるのかな?)
(そうかもしれないね、次見てみようか)
私には何を話しているのか分かりません。
あぅ、笑われてないといいんですけど・・・・・・。
続いてお二人は三枚目の絵を見ました。
「「・・・・・・・・・楳○かずお先生風人物画?」」
ええ!?
「そ、そんな・・・・・・漫画家さんの名前まで出していただけるなんて光栄です・・・・・・!」
思わず顔を隠してしまいます。
きっと赤くなっちゃってます、きゃー!
でもでも、褒めてもらえるのは嬉しいです!
でも・・・・・・確か三枚目は商店街を含めた街の風景だった気が・・・・・・?
「えと・・・・・・これは・・・・・・」
(あ、周ちゃん、多分これ以上踏み込んじゃダメだよ)
(え、でも・・・・・・)
「う、うん、見せてくれてありがとう。
いい絵だったよ」
「いえ、こちらこそ褒めていただけて嬉しいです」
お二人に絵を返してもらって私は別れました。
最後に三枚目の自分の絵を見てみます。
「・・・・・・やっぱり商店街です」
お二人の感想がよく分かりません。
でもきっと褒めてもらってました。
お二人は高校生だから私には分からないような褒め方だったのです。
うん、この三枚目の絵を新しく部屋に飾ることにしますです。
私はスキップしながら帰路に着きました。
まろんの絵は斬新な絵(低レベル的な意味で)のつもりだったけど、なんか斬新な絵(カオス的な意味で)になってしまった。




