野澤裕子が紹介する凪春華
誰?とか言わない。
斉藤周さんのクラスメートで友人の野澤裕子です。
本編十八話から友人の春華と一緒に出てるからちゃんと読み直しなさい。
はい、そんなわけで今日は私が中学から同じクラスの春華を紹介したいと思います。
あれは中学1年、私が始めて春華の家に遊びに行った時の事でした。
「・・・・・・ここが凪さんの家?」
「はい、そうですよ。
どうぞ、上がってください」
訪れた家はまさに豪邸だった。
これは広いって・・・・・・。
門を越えると広い庭。
その庭一面に広がる数々の花。
その向こうに見える大きな扉。
そして扉の前でメイドさんが数人で迎えている。
家に入ってすぐにシャンデリア。
床には絨毯。
そして豪華そうな美術品の数々。
そう、春華の家はお金持ち、そして春華はお嬢様だったのですよ。
なんでも祖父が事業と株で大成功を収めたらしく、父親もそのお金を元手に事業を起こして経営が上手く行っているらしいし。
要するに、私のお友達春華ちゃんはただのお嬢様ではなく、「社長令嬢」なのですよ。
私はそんな春華の部屋に招かれた。
「こちらが私の部屋です。
散らかってはいないのですが・・・・・・誰かに見られるというのは恥ずかしいものですね」
「・・・・・・今まで誰かに見せたことないの・・・?」
「はい・・・・・・自宅にお招きするような友人が出来たことは無いですから・・・・・・」
「そうなんだ・・・」
そっか・・・私この子の初めての友達なんだ・・・・・・。
それを聞いて少し嬉しかった。
確かにクラスでもなんとなく浮いてる感じで、遊びに誘われたりって見たことなかったな。
ま、こんなお嬢様だったら逆に、これはこれで家に誘うのが恥ずかしいんだろうな。
だから家に誘えるくらい誰かと仲良くなるのにも抵抗がある、と。
私はそれをクリアして初めて招待されたお友達となれたわけね、嬉しいな~。
と、ガラス戸の棚の中に何かが飾られているのが見えた。
「・・・?何これ?」
「あ、それは・・・・・・」
光の反射が無くなる位置まで移動すると中が見えた。
「・・・・・・銃・・・・・・!?」
携帯用の拳銃?
色々な種類の銃がずら~~~っと棚の中に並んでいるのは爽快だ。
・・・・・・むしろ怖い。
その銃の列の下の段には・・・・・・
「・・・・・・手錠・・・・・・?」
「やだ・・・そんなものまで見ないでください・・・・・・」
春華はそう言って顔をそらす。
「えっと・・・・・・これはまたなんで銃なんかが並んでるの?」
「そ、それはその・・・・・・」
なにやら言いにくそうにもじもじとする春華。
何か事情があるのかしら?
「あ、もしかしてお嬢様だから誘拐にあったりとかするの・・・・・・?
その護身用・・・・・・?」
「・・・・・・それもありますけど・・・・・・」
あるんだ、やっぱりそういうこと。
やだ、知らない世界を垣間見ちゃったわ。
でも・・・・・・「ありますけど」ってことは他にも何か事情が?
っていうか、手錠は何で?
「実はその・・・・・・私・・・・・・銃が大好きなんです」
・・・・・・何故!?
「ほら、ドラマとか映画とかでも・・・・・・よくあるじゃないですか、ステキなシーンが」
銃のステキなシーンって何よ!?
あ、もしや「動くな!動くと撃つぞ!」とかいって犯人を制する正義の警察官のシーン?
それともワイルドなガンマンが「抜きな、どっちが早いか早撃ち勝負と行こうぜ」ってやつ?
あ~、確かにカッコイイよね、あれ。
あ、そうか。
この手錠も警察官に憧れてってことね。
なるほど、春華ってばそういうのが好きなのね。
いつも学校で「どんな人がタイプ?」みたいな話になってももじもじして答えられなかった春華だけど。
そっかそっか、真面目で正義感あふれる人が好みなんて確かに少し恥ずかしいかもね。
「ほら、人の頭に銃を突きつけて「死にたくなければ命乞いをしな」とかいうやつが」
それかよ!!!
なんでよりによってそんな残酷なシーンに心を奪われてるの!?
「ああいうの見てると・・・・・・すごくゾクゾクするんです・・・・・・はぁ~・・・・・・」
ドSかよ!
見た目に寄らずこの子、人を恐怖で制することに快感を覚える女!?
「え~と、じゃあ、その・・・・・・そのまま撃ち抜くシーンなんて流れたら・・・・・・?」
「あぁ・・・・・・そんなの・・・たまんないですぅ・・・・・・」
ドSだ!正真正銘のドS!!
何顔を赤らめてんのよ!?
何で呼吸が乱れてんのよ!!?
はっ!
まさかそのシーンを再現する為に私ここに連れ込まれたってことないよね!?
ないよね!?
はっ!
ま、まさか!
「この手錠はそのシーンを再現しやすくする為に相手を拘束しようと!?」
と、私は春華を問い詰める。
問い詰めてもどうにもならないんだけど。
でも既に、春華が頭を縦に振った瞬間にダッシュで逃げる覚悟は決めたわ!
はっ!しまった!
そういえばここはこの子の家の中!
そして家には使用人が何人も・・・・・・。
ということは・・・・・・逃げ場は無い・・・・・・!?
私は青ざめた。
が、春華は首を横に振った。
「え・・・違うの?じゃあどうして・・・・・・」
「手錠の拘束感って・・・・・・ロープとは違うんですよ・・・・・・」
そう言って怪しい笑顔でくすっと笑った。
お前がつけるのかよ!!
ドMか!?
ドSでドMか!?
「ああ・・・恥ずかしい・・・・・・こんな趣味さらけ出したの・・・・・・野澤さんが初めてです・・・・・・」
そ、そうよね、友達呼んだのも初めてなんだもんね・・・・・・。
「野澤さん・・・・・・」
「ひゃい!?」
「・・・・・・この事・・・二人だけの秘密にしてもらえますか・・・・・・?」
「も、ももももちろんよ!」
私はぐっと親指を立てる。
それを見て春華はほっとしたように笑顔を浮かべる。
「よかった・・・・・・私達、よいお友達になれそうですね」
「そ、そそそうですね!」
そう言ってお互いに笑いあった。
まぁ、それから長年付き合って何度も家に通ってるうちにこっちもマヒしてきちゃってさ。
今ではもう慣れたもんよ。
お互い遊びに行ったり宿題見せあったりするような仲。
そしてお互いに名前で呼び合うようにもなったし、晩御飯をご馳走しあうようにもなったわ。
それに、春華の家の料理、豪華でおいしいんだよね~。
まぁ、向こうの方が遥かに豪華だし、あんまりお邪魔したら悪いとは思ってるからちゃんと断ってるけどね。
「裕子さん」
「あ、春華」
「今日兄が帰ってくるのでご馳走なんですよ。
また家に来ませんか?」
「いいの?ありがと、お呼ばれしちゃおっかな」
「うふふふ」
今日もご馳走だって、やったね!
え?ちゃんと断れ?
や、やだな~、しばらく断ってたからたまには行かないと悪いでしょ?
そうそう、春華のお兄さんは大学生で家から離れて一人暮らししてるの。
ときどき週末に戻ってくるからその時はご馳走なのよん。
なんかで有名な人だとか言ってたけど、何だっけ?忘れちゃった。
そんなわけで今日もご馳走食べてきます。
じゃね。




