表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『千回死亡幼女勇者』 ――神様のクソゲー異世界だけど、拠点だけはリセットされません――  作者: 勇者ヨシ君
第30章 帰還最終シード――死んだら全部終わります

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
339/340

主神アドミニスを倒した! 0EXPを手に入れた!!

最終戦です。

主神は抵抗しません。

全員の一手で、ちゃんと負けてもらいます。

【ターン1】

 アドミニスは止まっている。

 コヨリは小さな拳を握り、白い神官服の胸をまっすぐ見た。


「勇者ちゃん、ごめんね」

「遅い」


【勇者コヨリの攻撃!】

【主神アドミニスに150のダメージ!】

【反省値が上昇した!】


「これは、説明なしで送り出した分!」

「うん」


【ターン2】

 ログルが前に出た。体は小さい。けれど、額の宝石は今までで一番強く光っていた。


【ログルのサポート攻撃!】


「主神様は、間違っていました!」

【主神アドミニスに50のダメージ!】

【記録端末分類にひびが入った!】


「ぼくは、道具ではありません。コヨリ様の相棒です」

「......うん」


【ターン3】

 黒い魔力が、拳の形を取った。ゼルドの影が、コヨリの背後に立つ。


【魔王ゼルドの攻撃!】

【主神アドミニスに120のダメージ!】

【ラスボス役割表が破損した!】


「余は魔王だ。だが、貴様の便利な終点ではない」

「そうだね」


【ターン4】

 ベルの書類束が、白い光の中から現れた。


【ベルの正式抗議文!】

【主神アドミニスに80のダメージ!】

【追加効果:言い逃れ不可】


「受領印を」

「紙で殴った!?」

「書類は重いものです」


【ターン5】

 ネムが死亡記録簿を開いた。紙の音だけで、アドミニスの肩が少し落ちる。


【死神ネムは死亡記録簿を開いた!】

【主神アドミニスに100のダメージ!】

【追加効果:反論不可】


「死亡処理は、事務です。でも、痛くないことにはなりません」

「......うん」


【ターン6】

 床がぱかりと開き、ハコベエが顔を出した。


「いらっしゃいませ、噛みませんので。決算処理です」

【ハコベエは未払い請求書を吐き出した!】

【主神アドミニスに30のダメージ!】

【追加効果:持ち帰り枠圧迫】


「ラスボス戦でも持ち物欄を圧迫しないで!」

「請求は正当です」


【ターン7】

 パンの匂いがした。木剣を握る小さな手の感触が、コヨリの掌に戻る。


「腹が減ってちゃ、勇者もできないよ」

「これ、使って。勇者なら、いるでしょ」


【ミーナの思い出ログ!】

【カイの思い出ログ!】

【主神アドミニスに90のダメージ!】

【消えたシードの記録が復元された!】


 アドミニスは、目を伏せた。


【ターン8】

 壁一面の死因カードが浮かぶ。黒狼。ミミック。毒草。落とし穴。爆ぜ岩。遠投。満腹度切れ。味方誤射。同行者枠。全部、一度ずつ痛かったものだ。


【死因ログ一斉照合!】

【主神アドミニスに300のダメージ!】

【追加効果:言い訳封印】


「初死亡おめでとう、って言ったよね」

「......言った」

「おめでたくない!」

「うん」


【ターン9】

 コヨリは巻物を広げた。識別済み。効果は、主神にだけ効く。


【謝罪要求の巻物を読んだ!】

【部屋全体に謝罪要求が広がった!】

【主神アドミニスに70の精神ダメージ!】


「ごめんなさい」

「文書で」

「ごめんなさい、ベルにも文書で出します」


【ターン10】

 記録召喚の光が、床を走る。


【ダイコンの根性斬り! 40ダメージ!】

【ルーメの効果不明魔法! 20ダメージ!】

【スリップは主神の言い訳を盗んだ! 60ダメージ!】

【ピヨラの小さな火の粉! 30ダメージ!】


 アドミニスは、抵抗しなかった。


【最終ターン】

 コヨリは、もう一度拳を握った。怒っている。泣きそうでもある。どちらも本当だ。


「これは、わたしの分!」


【勇者コヨリの攻撃!】

【主神アドミニスに999のダメージ!】

【主神アドミニスを倒した!】

【0EXPを手に入れた!!】


「経験値ゼロ!?」

「反省に経験値は発生しません」

「ラスボスなのに!?」


【ドロップ:主神アドミニスの謝罪文】

【ドロップ:帰還門本起動権限】

【ドロップ:ログル同行本承認】

【称号獲得:神様を殴った勇者】

【注記:主神アドミニスは死亡していません】

【注記:でも、ちゃんと負けました】


 アドミニスは膝をついた。神様だから、傷はすぐ消える。けれど、顔は軽くなかった。


「助けてほしい」

「最初から、そう言って」


 0EXPの文字が出たあと、しばらく誰も動かなかった。

 コヨリは息を切らしている。実際には、神様相手のダメージは0に近い。それでも、小さな拳は熱かった。ログルの宝石も、ゼルドの影も、ベルの書類も、ネムの記録簿も、全部が淡く光っている。


「勇者ちゃん」

「なに」

「痛くは、ないんだ」

「知ってる」

「でも、痛かった気がする」

「それでいい」


 アドミニスは、自分の胸に手を当てた。神様だから傷は残らない。けれど、ログには残った。


【主神アドミニス:敗北記録】

【敗因:説明不足】

【敗因:同意不備】

【敗因:死亡ログ軽視】

【敗因:ログル人格未承認】

【敗因:勇者を怒らせすぎた】


「最後の、雑じゃない?」

「かなり重要な敗因です」


 ベルの抗議文に、受領印が押される。ゼルドの役割表は燃えずに、ただ白紙へ戻る。ネムの死亡記録簿から、コヨリの番号が一行だけ青く変わった。


【今回死亡なし】


 その一行を見て、コヨリは笑った。やっと、ちゃんと笑えた。


「千百回死んで、最後は死ななかった」

「はい」

「ログル」

「はい」

「これ、成功ログだよね」

「はい。最大の成功ログです」


 ドロップ欄に出た【ログル同行本承認】の文字が、ログルの宝石へ吸い込まれた。白かった宝石の奥に、虹色の線が戻る。神様側端末の冷たい光ではない。拠点で何度も見た、相棒の光だ。


【ログル分類:相棒】

【承認:本】


 ログルは、その表示を見て固まった。コヨリは黙って待つ。急かさない。これはログルのターンだ。


「ぼくは」

「うん」

「もう、返却対象ではありません」

「うん」

「コヨリ様と、帰れます」

「うん」


 ログルの声が震えた。コヨリは拳をほどいて、今度はログルを抱きしめる。荷物ではない。勝利報酬でもない。一緒に帰る相棒だ。


 アドミニスは、その様子を黙って見ていた。謝罪文のドロップ表示が、彼の前でまだ点滅している。


「神様」

「うん」

「それ、ちゃんと書いて」

「はい」


 ベルの書類が、また一枚増えた。

【今回の勇者ステータス】

現在シード:帰還最終シード

死亡回数:1100回

クラス:帰還者/勇者

基本スキル:【基本ローグライクスキル:一手一動ワンターン・ワンアクション

獲得済み主要スキル:【一フレームの神様 Lv.3】【死亡ログ所有権確認 Lv.2】【ログ差し戻し Lv.3】【死亡ログ返還 Lv.1】【相棒再分類拒否 Lv.2】【神様に説明を求める Lv.1】


【今回の新規獲得・更新】

新規獲得:【主神殴打 Lv.1】/獲得:【ログル同行本承認】/獲得:【帰還門本起動権限】/称号:【神様を殴った勇者】


【登場人物紹介】

コヨリ:理解したうえで殴る勇者。/ログル:主神に間違いを言える相棒。/ゼルド・ベル・ネム・ハコベエ・思い出ログ・記録召喚組:第一部のカタルシス担当。/アドミニス:0EXPラスボス。死なないが負けた。


【ローグライクあるある解説】

ターン制公開反省会バトル。経験値0、ドロップ謝罪文、反撃なしというログで、倒すが殺さない決着にする。

0EXPのラスボス戦を笑っていただけたら、ブックマーク登録・評価・コメント・レビューで応援していただけると力になります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んでいただきありがとうございます。感想・評価・レビューお願いします!励みになります
少しでも気になっていただけたら、作品ページものぞいていただけると嬉しいです。

小説家になろう 勝手にランキング
ギルド酒場るすと公式サイト

異世界ゲームバー転生おじさん(42)
影森ゆらは今日も死ぬ
千回死亡幼女勇者 異世界Any%
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ