表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『千回死亡幼女勇者』 ――神様のクソゲー異世界だけど、拠点だけはリセットされません――  作者: 勇者ヨシ君
第29章 ネタバレシード――神様の仕様書を読みに行きます

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
318/340

ログル初期化命令――相棒を返せ

ログルに、最悪の命令が下ります。

初期化、返却、端末復帰。

コヨリは全部拒否します。


 それは、面談室を出た直後だった。


 ログルの宝石が、白く染まった。


 いつもの虹色ではない。解析中の青でも、警告の赤でもない。何も混ざっていない、空っぽみたいな白。コヨリは一瞬で嫌な予感を覚え、ログルを抱き上げた。


「ログル?」

「......」

「ログル!」


 返事がない。


 管理画面が勝手に開く。


【ログル初期化命令】

【理由:勇者への過剰感情形成】

【処理:神様側端末へ復帰】

【実行まで:三ターン】


「三ターン!?」


 白い床に、青いマス目が走った。


 拠点なのに、危険地帯みたいに空気が重くなる。コヨリの行動に合わせて、命令実行までのカウントが進むらしい。神様の管理画面が、最後の最後でローグライク処理を悪用してきた。


「神様ァ! ターン制をこういうことに使うなああああああああああ!」


【残り三ターン】


 ログルの口が、ゆっくり開いた。


「対象、勇者コヨリ。死亡ログを......」


 冷たい声。


 第310話で聞いた、初期のログルの声。


 コヨリは、胸の奥がぎゅっと痛くなった。


「対象じゃない」


 コヨリはログルを抱きしめる。大声を出せばターンを消費するかもしれない。けれど、今は黙っていられなかった。


「わたし、コヨリ」


【残り二ターン】


 床の白い線が、ログルの宝石へ伸びる。


 ベルが走り込んできた。手には分厚い書類。


「勇者様、こちらへ!」

「ベルさん!」

「ログル様人格分類訂正申請書、即時提出します!」


 ベルは書類束を管理画面へ叩きつけた。


【異議申立:提出】

【処理待ち】


「処理待ちって何!?」

「神様側の受付が遅いです」

「こんな時だけ役所みたいになるなあああああ!」


 ゼルドが黒い魔力で白い線を踏みつける。


「余の領域内で、勝手に部下を回収するな」

「魔王さん、ログルは部下じゃないよ!」

「ならば、同盟者だ」


 白い線が一瞬止まる。


【魔王権限:干渉】

【初期化処理:遅延】


【残り一ターン】


 ネムがいつもの眠そうな顔で現れた。けれど、手には死亡記録簿ではなく、黒い受付印を持っている。


「死亡受付側から、ログルさんの死亡ログ改ざん記録を提出します」

「ネム、それ大丈夫なやつ?」

「大丈夫ではないですが、今やらないと面倒です」

「面倒で神様に逆らう死神、強い!」


 ネムが印を押す。


【反証:自発的意思あり】

【反証:勇者保護行動あり】

【反証:主神命令への抵抗あり】


 それでも、白い線は止まりきらない。


 ログルの宝石から、初期音声が漏れる。


「対象、勇者コヨリ。死亡ログを送信......」


「違う!」


 コヨリはログルの顔を両手で包んだ。


「あなたはログル」

「......」

「端末じゃない」

「......」

「相棒」


 白い光の中で、ログルの目がほんの少しだけ揺れた。


「コ、ヨリ......様」


 声が戻る。


 コヨリは、泣きそうになった。けれど泣くと視界がにじむ。深層なら危ない。今は泣くより、言う。


「帰るよ」

「......はい」

「一緒に」

「はい」


 管理画面が大きく震えた。


【ログル分類:神様側貸与端末】

【異議申立:受理】

【反証資料:有効】

【再分類:相棒】

【承認:仮】


「仮!?」


 コヨリの怒りが戻った。


「ここまでやって仮なの!?」

「本承認には、主神権限の解除が必要です」

「つまり神様を殴る?」

「はい」

「よし、殴る」


 ログルが、弱々しくもいつもの声で言った。


「経験値は出ません」

「今それ言う元気あるなら大丈夫!」


 ベルが書類を整え、ゼルドが魔力を収め、ネムが受付印をしまう。


 ログルは、コヨリの腕の中で目を閉じた。


「コヨリ様」

「なに」

「ぼくは、相棒でいたいです」

「知ってる」


 コヨリはログルを抱いたまま、管理画面を睨んだ。


「神様。次に会ったら、まずログルの分」


 白い画面は答えなかった。


 けれど、殴る順番は決まった。


初期化命令が止まったあと、床には白い亀裂が残っていた。コヨリはそれを踏まないよう、チョークで丸をつける。


「危険マス」

「拠点内ですが」

「神様が触った場所は危険マス」

「否定できません」


 ベルがその丸の横に、正式な札を立てた。


【ログル初期化未遂地点】

【無断処理禁止】


 ゼルドが見て、深くうなずく。ネムも、眠そうに受付印を押した。拠点にまた一つ、嫌な記録が増えた。けれど、それは守った記録でもあった。


ログルは、初期化未遂地点の札をじっと見た。


「ここも、記録になるのですね」

「なる」

「嫌な記録です」

「うん。でも、勝った記録でもある」


 コヨリがそう言うと、ログルの耳が少しだけ上がった。初期化されかけた場所は、相棒として踏みとどまった場所でもある。嫌なログでも、全部が負けではない。

【今回の勇者ステータス】

現在シード:管理画面シード/ネタバレシード

死亡回数:1100回(この話では増加なし)

クラス:帰還者/死因学者/拠点管理人 複合状態

基本スキル:【基本ローグライクスキル:一手一動ワンターン・ワンアクション

獲得済み主要スキル:【危険察知 Lv.3】【未識別警戒 Lv.3】【足元確認 Lv.3】【射線確認 Lv.2】【満腹度管理 Lv.2】【帰還接続管理 Lv.1】【相棒再分類拒否 Lv.1】

【今回の新規獲得・更新】

更新:【相棒再分類拒否 Lv.1】→【相棒再分類拒否 Lv.2】

拠点施設:【椅子】【死因図鑑室】【鑑定机】【厨房】【思い出ログ棚】【罠訓練場】【魔物休憩所】【シード地図室】【反省会テーブル】【拠点酒場】【魔王相談窓口】【魔王軍資料室】【死因研究室】【仕様書保管棚】【一フレーム道場】【帰還門建設予定地】【管理画面の扉】


【登場人物紹介】

・この話の焦点:ログル初期化命令を、全員の一手で止めるカウントダウン回です。

・コヨリ:神様の仕様書を読む側に回った幼女勇者。怒りと怖さを抱えつつ、帰る意志だけは曲げない。

・ログル:解析神獣。端末扱いから相棒へ再分類されつつある。冷静だが、もう完全に情がある。

・ベル:魔王軍秘書。正式抗議文で神様を詰める有能事務担当。書類は物理的にも重い。

・ゼルド:魔王。ラスボス役を押しつけられていた被害者代表。怒り方が静かで怖い。

・ネム:死神受付。淡々としているが、最終シードの死亡処理にはいつもより慎重。


【ローグライクあるある解説】

三ターン以内に妨害するカウントダウン処理。ターン制を管理画面側が悪用し、書類・魔王権限・受付印を打開アイテムとして使う回です。


ログルを相棒として守りたい方は、ブックマーク登録・評価・コメント・レビューで応援いただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んでいただきありがとうございます。感想・評価・レビューお願いします!励みになります
少しでも気になっていただけたら、作品ページものぞいていただけると嬉しいです。

小説家になろう 勝手にランキング
ギルド酒場るすと公式サイト

異世界ゲームバー転生おじさん(42)
影森ゆらは今日も死ぬ
千回死亡幼女勇者 異世界Any%
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ