神様の言い訳を聞く部屋
安全部屋の名前は、よりによって【言い訳部屋】だった。
部屋名からして反省が足りない。
安全部屋の扉には、最悪の名前が書いてあった。
【言い訳部屋】
コヨリは看板を見上げ、にっこり笑った。営業スマイルだった。ログルが一歩下がり、ベルが羽ペンを構え、ネムが受付票を伏せ、ゼルドが「来るぞ」とつぶやく。
「部屋名で反省してないいいいいいいいいいい!」
幸い、安全部屋なのでターンは進まなかった。
「名前は僕が付けた」とアドミニス。
「でしょうね! 他の誰がこんな自傷と開き直りの中間みたいな部屋名つけるの!」
「逃げずに話す場所が必要だと思った」
「なら【説明部屋】にして」
「説明だけでは足りない。言い訳も混ざる」
「自覚があるの、ちょっとだけまし。でも腹立つ!」
椅子が五つと白い机が一つ。ローグライクなら休憩部屋だ。だが休憩部屋で壺を押すと魔物が出ることもある。コヨリは椅子に座る前に足元を三回見た。
アドミニスは机の向こう側に立つ。
「世界を救いたかった。勇者を壊したくなかった。でも、壊れた勇者を見た。帰れなかった子、記憶が抜けた子、役割だけ戻って本人が残った子。感情を見ると処理を止めたくなる。だから、見ない方が正しいと思った」
「正しかった?」
「処理は進んだ」
「救えた?」
「救えなかった」
コヨリは机の端を握る。怒りはある。でも、殴っても過去の勇者は戻らない。だから言葉を選ぶ。選びながら逃がさない。
「それ、謝罪じゃなくて自白だよ」
「そうだね」
「わたし、言い訳を聞くって言ったけど、許す準備ができたわけじゃない」
「分かっている」
「分かってない神様の顔を千回見たから、分かってるって言葉も未識別なんだけど」
「識別する方法は?」
「行動で見せて」
ベルは【許可保留】と書き、ネムは受付票に【協力継続】を足す。ゼルドが鼻を鳴らした。
「許しを報酬箱のように置くな。開ければ手に入ると思うな」
ログルの宝石に文字が浮かぶ。
【主神言い訳読解 Lv.1】
【分類:事情確認/許可保留/協力継続】
死亡ログは増えなかった。コヨリは部屋を出る前に看板へ書き足した。
【ただし、聞いたからといって許すとは限らない】
【登場人物紹介】
コヨリ:神様の言い訳を聞く部屋で帰還門攻略に振り回される。ログル:盤面と記録を照合。アドミニス:案内しつつ言い訳を重ねる。ベル・ネム・ゼルド:それぞれ契約、死の扱い、役割の被害から神様仕様を刺す。
【今回の勇者ステータス】
総死亡回数:1024回(この話では増加なし)
千回死亡条件カウンター:1000/1000 停止/神様の言い訳を聞く部屋後も不動
神様側死亡ログ送信:遮断維持/拠点保存ログ確認番号17
クラス:帰還者候補/死因学者系統
基本スキル:【基本ローグライクスキル:一手一動】
【獲得済み主要スキル】
神様仕様突破:【一フレームの神様 Lv.3】【死亡対象上書き Lv.1】【千回死亡条件破壊 Lv.1】
ログ・所有権:【死亡ログ返還 Lv.1】【ログ差し戻し Lv.3】【死亡ログ所有権確認 Lv.2】
帰還門攻略:【接続持ち帰り Lv.1】【帰還座標仮視認 Lv.1】【帰還門仮起動 Lv.1】【主神言い訳読解 Lv.1】
【今回の新規獲得・更新】
新規獲得:【主神言い訳読解 Lv.1】
内部更新:帰還門ダンジョン攻略ログを拠点側へ保存。
【ローグライクあるあるネタ】
NPC会話部屋・安全部屋・イベント部屋のあるあるです。敵が出ないから安全とは限らず、選択肢や長い説明が次の分岐を決めることがあります。今回は戦闘も死亡もなしで、アドミニスの言い訳を“未識別情報”として聞き、許可保留のまま協力だけ登録する回にしました。
言い訳部屋まで来てしまいました。ここまで楽しめたら、ブックマーク登録・評価・コメント・レビューで応援お願いします!




