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『千回死亡幼女勇者』 ――神様のクソゲー異世界だけど、拠点だけはリセットされません――  作者: 勇者ヨシ君
第18章 白紙ログの保管庫――支給品じゃない相棒

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白紙ログ棚、初回防衛戦


白紙ログ棚が動き出した瞬間、監査が押し寄せた。

モンスターハウスは部屋だけではない。

棚にも来る。

 白紙ログ棚が完成した。

 酒場の裏帳簿棚板、思い出釘、監査避け布、未送信ログ板。どれも少しずつ危険で、少しずつ大事な材料を組み合わせたせいで、棚は妙な存在感を放っている。白いのに、真っ白ではない。酒場の木目や、パンの匂いや、ログルの宝石の赤い光が、棚の奥にうっすら残っていた。


 ログルが未送信ログを一枚、棚へ置く。

 その瞬間、拠点の床に赤いマス目が走った。


【監査モンスターハウスだ!】


「棚にモンスターハウス来たあああああああああ!」

「勇者様、敵多数。白紙ログ棚を狙っています」

「棚まで襲われる世界、家具に厳しすぎる!」


 天井から監査カーソル、床から削除小鬼、壁から白紙巻物喰い。さらに初期化ボタンもどき、予定表の切れ端、同意床、逆識別司書、監査紙狼、ログ喰いオーガまで一気に湧いた。拠点酒場からリュシアさん、魔王相談窓口からゼルドとベル、受付机からネムさんが立ち上がる。

「ちび勇者ちゃん、棚の前は任せなさい。酒場の棚は守るものよ」

「余はまた家具防衛か」

「魔王様、今度は重要施設防衛です」

「少し威厳が戻った」


 一回目、わたしは同意床を避けた。避けた先が隠し同意床だった。


【死亡ログ】

【累計死亡回数:二百四回】

【死因:同意床を避けた先に隠し同意床】

【評価:はいが多い】


 二回目、削除小鬼を止めようとして、自分の足元を削除された。


【死亡ログ】

【累計死亡回数:二百五回】

【死因:削除小鬼に足元を削除された】

【評価:床は大事】


 三回目、監査カーソルを殴ろうとして選択された。選択された瞬間、全身が青く光って動けなくなる。選ばれるって怖い。


【死亡ログ】

【累計死亡回数:二百六回】

【死因:監査カーソルを殴ろうとして選択された】

【評価:カーソルに物理は効きにくい】


 四回目、記録影ミーナのパン籠をかばい、ログ喰いオーガに踏まれた。


【死亡ログ】

【累計死亡回数:二百七回】

【死因:記録影をかばってログ喰いオーガに踏まれた】

【評価:守る対象が多い】


 五回目、初期化ボタンもどきにキレて蹴ろうとしたら、本物の初期化ボタンの影を踏みかけた。ログルがしっぽで引っぱったので即死では済まなかった。いや、結局その後に罠で死んだ。


【死亡ログ】

【累計死亡回数:二百八回】

【死因:初期化ボタンもどきにキレて、本物を踏みかけた】

【評価:怒る前に足元確認】


 六回目。わたしは、倒すのをやめた。

 敵が多すぎる。倒せばログが飛び散る。なら、分類する。死因図鑑室でやってきたことだ。思い出を守った時と同じで、相手の性質に合う棚へしまう。

「ログル、棚札!」

「はい。即席で出します」


【削除予定棚】

【選択待ち棚】

【食べていい紙棚】

【押さない棚】

【おすわり棚】


「おすわり棚ってなに!?」

「勇者様が前回の反省会で書きました」

「わたしか!」


 リュシアさんの酩酊ログが監査紙狼の足取りを乱す。ネムさんは死亡受付票を逆向きに突き出し、削除小鬼の処理を一瞬止めた。ベルの契約書が同意床を覆い、ゼルドのマントがログ喰いオーガの視界を切る。記録影カイの射線ログが、監査カーソルの通る線を青く描いた。

 わたしはその線を見て走る。拾う一手で殴られるなら、拾わず蹴る。倒すとログが破れるなら、棚へ押す。初期化ボタンもどきには触らず、押さない棚へ誘導する。


「右、削除小鬼!」

「ネムさん、受付票!」

「処理保留」

「左、白紙巻物喰い!」

「食べていい紙を投げます」

「ログル、それわたしの失敗メモじゃない!?」

「コピーです」

「ならよし!」


 最後の監査カーソルが棚の上へ逃げようとする。わたしは小石を投げた。カーソルには当てない。棚札に当てる。棚札が少し傾き、【選択待ち】の文字がカーソルの前へ滑る。

 カーソルは、それを選んだ。

 選択待ち棚がぱたりと閉じる。


【白紙ログ棚:初回防衛成功】

【未送信ログ:拠点保存可能】

【神様側単独削除:一部不可】


 みんなが息をついた瞬間、天井に白い窓が開いた。

 アドミニスは拍手をしていなかった。ただ、棚をじっと見ている。

「棚を作ったんだ。いいね。拠点がまた世界に近づいた」

「褒めるな! 絶対見てたでしょ!」

「もちろん」

「監査避けとは!?」


 ログルは棚の前へ進み、静かに言った。

「主神アドミニス。未送信ログは、以後、拠点側にも保存します」

「それは命令違反だよ」

「はい」

「いい返事だ。悪い意味でね」


【今回の勇者ステータス】

現在領域:拠点/白紙ログ棚前

領域状態:監査モンスターハウス防衛成功

死亡回数:208回

クラス:帰還者

基本スキル:【基本ローグライクスキル:一手一動ワンターン・ワンアクション


【獲得済み主要スキル】

【死因学習 Lv.3】

【足元確認 Lv.5】

【未識別警戒 Lv.5】

【記録保護戦闘 Lv.1】

【一手分の戦場視界 Lv.1】

【逆識別対策 Lv.1】

【魔王を守る Lv.1】

【黒幕警戒 Lv.1】


※表示は主要スキルのみです。下位スキル、派生スキル、過去の細かい死因スキルは、統合済みまたは内部保持されています。


【今回の新規獲得・更新】

新規獲得:【ログ分類 Lv.1】

新規獲得:【はい床警戒 Lv.1】

新規獲得:【倒さない防衛 Lv.1】

新規施設:【白紙ログ棚】

更新:【未送信ログ:拠点保存可能】


【登場人物紹介】

コヨリ:モンスターハウスを倒すのではなく棚に分類した幼女勇者。家具運用が上達している。

白紙ログ棚:未送信ログを拠点側に保存できる新施設。初日から襲われた。

ネム:死亡受付票を逆利用して処理保留をかけた。事務が戦力になる世界。

リュシア、ゼルド、ベル:酒場、魔王、契約書で棚を守った拠点防衛組。


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