表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『千回死亡幼女勇者』 ――神様のクソゲー異世界だけど、拠点だけはリセットされません――  作者: 勇者ヨシ君
第18章 白紙ログの保管庫――支給品じゃない相棒

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
134/340

ログルの寝床と夢ログバトル

ログルに寝床を作ることになった。

寝具ももちろん未識別。

夢の中で、ログルはただの端末に戻っていた。

 白紙ログ棚の隣に、ぽっかり空いた小さな場所があった。

 そこへ何を置くかで、わたしは朝から悩んでいた。白紙ログ棚だけでは足りない。未送信ログを置く棚があるなら、ログルが休んでいい場所も必要だと思ったからだ。

「ログルの寝床を作ります」

「勇者様。ぼくに寝床は必須ではありません」

「必要。拠点住民には寝床がいる。あと、神様側端末って言われるたびに腹が立つから、拠点側の寝床で上書きする」

「寝床に上書き機能はありません」

「気持ちの話!」


 リュシアさんが未識別の綿を、ネムさんが小さな布を、ベルが「所有権が複雑になりにくい寝具契約書」を持ってきた。最後の一つが不穏すぎる。

 材料はどれも白紙ログの保管庫から出たものだ。


【未識別の綿】

【未識別の毛布】

【未識別の枕】

【未識別の夢ログ】


「ログル。寝具が全部未識別なの、普通に怖い」

「はい。眠り粉、悪夢、簀巻き、呪い、夢ミミックなどが考えられます」

「寝るための道具が攻撃的すぎる!」


 まず枕を小石でつついた。ふわりと眠り粉が出た。分かっていたのに吸った。


【死亡ログ】

【累計死亡回数:百九十九回】

【死因:未識別枕から出た眠り粉で寝落ちし、夢ログに踏まれた】

【評価:寝具も識別しましょう】


 二回目、毛布を広げたら毛布ワームだった。やわらかい布に巻かれたまま床を転がり、罠へ入った。


【死亡ログ】

【累計死亡回数:二百回】

【死因:未識別毛布に巻かれて罠へ転がった】

【評価:毛布にも移動力があります】


 三回目、わたしは夢ログを先に識別しようとした。触れた瞬間、白い拠点が消え、昔のチュートリアル部屋みたいな場所に落ちた。

 そこに、ログルがいた。

 けれど、目が合わない。額の宝石は冷たい光を放ち、しっぽはぴんと伸びている。


「ログル?」

「死亡ログ対象を確認。勇者コヨリ。現在HP15。行動記録を開始します」

「やめて。そういう言い方、今のログルじゃない」

「解析神獣ログルは、勇者死亡ログの収集と送信を行います」

「ログル、わたしのこと、記録だけで見ないで」


 返事はなかった。

 その沈黙が、宝箱よりずっと怖かった。

 背後で、夢宝箱が口を開ける音がした。気づいた時には遅い。


【死亡ログ】

【累計死亡回数:二百一回】

【死因:夢の中で宝箱を開けた】

【評価:夢でも宝箱は呼吸します】


 四回目、夢のログルが端末のままなのを見て、一手遅れた。


【死亡ログ】

【累計死亡回数:二百二回】

【死因:ログルが支給端末に戻る夢で一手遅れた】

【評価:心の罠は足を止めます】


 五回目は、おやすみミミックに優しく寝かしつけられた。優しい声で「もう頑張らなくていい」と言われたのが、逆に危なかった。


【死亡ログ】

【累計死亡回数:二百三回】

【死因:おやすみミミックに寝かしつけられた】

【評価:優しい罠もあります】


 拠点へ戻ったあと、ログルは長く黙っていた。

「勇者様。夢の中のぼくは、神様側の初期状態に近かったと思われます」

「うん。すごく嫌だった」

「ぼくも、少し嫌です」

「少し?」

「かなり、かもしれません」


 わたしは未識別の綿を、三回確認してから小さな寝床に詰めた。毛布ワームではない布だけを選び、枕は眠り粉を出し切ってから干す。ベルの契約書には「ログルを所有物として扱わない」と太く書き足してもらった。

 完成した寝床は、豪華ではない。白い棚の横に置いた、小さな丸い布の巣みたいなものだ。でも、ログルが前足をそっと乗せた瞬間、拠点の床が淡く光った。


【拠点施設追加】

【ログルの寝床】

【支給端末同期率:微低下】


「ログル、どう?」

「寝床は、なくても機能します」

「感想が端末!」

「ですが......戻っていい場所があるのは、少し変な感じです」

「それ、うれしいって言うんだよ。たぶん」


 天井に白い窓が開く。アドミニスは、今回は笑っていなかった。

「ログル。戻れなくなるよ」

 ログルは、寝床の上で静かに問い返した。

「どちらへ、ですか」

 アドミニスは答えなかった。


【今回の勇者ステータス】

現在領域:拠点/白紙ログ棚予定地

領域状態:ログル寝床設置完了

死亡回数:203回

クラス:帰還者

基本スキル:【基本ローグライクスキル:一手一動ワンターン・ワンアクション


【獲得済み主要スキル】

【死因学習 Lv.3】

【足元確認 Lv.5】

【未識別警戒 Lv.5】

【記録保護戦闘 Lv.1】

【逆識別対策 Lv.1】

【酩酊ログ回避 Lv.1】

【魔王を守る Lv.1】

【黒幕警戒 Lv.1】


※表示は主要スキルのみです。下位スキル、派生スキル、過去の細かい死因スキルは、統合済みまたは内部保持されています。


【今回の新規獲得・更新】

新規獲得:【寝具識別 Lv.1】

新規獲得:【優しい罠警戒 Lv.1】

新規施設:【ログルの寝床】

ログル状態:【支給端末同期率:微低下】


【登場人物紹介】

ログル:寝床を手に入れた解析神獣。必要ないと言いつつ、戻る場所ができたことを少し変だと言う。

夢ログル:支給端末状態のログルの夢。怖い。本人も少し嫌だった。

おやすみミミック:優しく寝かしつける危険な敵。優しさも罠になる。

アドミニス:笑わずに「戻れなくなる」と告げた主神。今回はかなり不穏。


ログルの寝床完成を見守っていただける方は、ブックマーク登録・評価・コメント・レビューで応援いただけると励みになります!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んでいただきありがとうございます。感想・評価・レビューお願いします!励みになります
少しでも気になっていただけたら、作品ページものぞいていただけると嬉しいです。

小説家になろう 勝手にランキング
ギルド酒場るすと公式サイト

異世界ゲームバー転生おじさん(42)
影森ゆらは今日も死ぬ
千回死亡幼女勇者 異世界Any%
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ