表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『千回死亡幼女勇者』 ――神様のクソゲー異世界だけど、拠点だけはリセットされません――  作者: 勇者ヨシ君
第18章 白紙ログの保管庫――支給品じゃない相棒

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
132/340

リュシアの酒場防衛戦

白紙ログ棚を作る材料が、拠点酒場に流れ込んだ。

酒神リュシアがカウンターに立つ。

神様監査より、酒場の裏帳簿の方が頼もしい時もある。

 白紙ログ棚の材料を持ち帰ろうとした瞬間、保管庫の床が大きくめくれた。

 そこから、未送信ログの束、削除予定紙、監査避け布、思い出釘が、紙吹雪みたいに拠点へ吹き出す。着地点はよりによって、リュシアさんの酒場だった。

「ちび勇者ちゃん、棚の材料が客席に降ってきたんだけど。これ、今日のおすすめ?」

「違います! 神様側の迷惑素材です!」

「迷惑素材なら、カウンターの奥に避けるわね。酔っぱらいよりは軽いから大丈夫よ」

「比較対象が大人!」


 酒場の床に、白い穴が開いた。穴から這い出してきたのは、帳簿を食べる小さな獣、空の樽に目がついたミミック、紙束を背負ったネズミ、それから酔っていない顔をした白い兵士だった。


【酔わない監査兵】

【帳簿喰い】

【未送信ログネズミ】

【空樽ミミック】


 リュシアさんはカウンターに片肘をついたまま、にっこり笑う。

「うちの店で暴れるなら、まず一杯飲んでからにしなさい」

「リュシアさん、監査兵にお酒効くの?」

「普通のお酒は効かないでしょうね。でも、これは酒じゃなくて酩酊(めいてい)ログよ。酔った時の判断ミスだけを思い出させるの」

「大人向け状態異常!」


 リュシアさんが小瓶を振ると、甘い香りの霧が床を這った。酔わない監査兵の足取りが一瞬乱れ、同意床の上でぐるりと回る。そこへベルが契約書を広げ、通路をふさいだ。

「この線から先は、拠点側管理区域です。神様側監査であっても、書面なく侵入するなら後で揉めます」

「ベルさんの戦い方、紙なのに強い!」

「紙は強いですよ。神様も紙で殴れます」

「秘書が言うと迫力ある!」


 ゼルドは空樽ミミックを両手で押さえていた。魔王なのに、完全に酒場の家具係である。

「余は魔王であって、樽のふた係ではないのだが」

「魔王様、現在の肩書きは拠点防衛協力者です」

「秘書よ、せめて威厳の残る名称にせぬか」

「では、樽封じ担当魔王で」

「悪化しておる」


 わたしは未送信ログネズミを追いかけた。小さい。速い。紙束をくわえて、テーブルの下を走る。小石を投げようとして、酒場の床が滑ることを忘れていた。酩酊ログの霧に足を取られ、わたしは千鳥足で罠へ向かった。


【死亡ログ】

【累計死亡回数:百八十七回】

【死因:酩酊ログに巻き込まれて罠へ千鳥足】

【評価:酒場では足元確認】


 二回目、空樽ミミックに隠れようとして、そのまま入った。樽は内側から閉じた。


【死亡ログ】

【累計死亡回数:百八十八回】

【死因:空樽ミミックに入った】

【評価:空き容器にも歯があります】


 三回目、帳簿喰いがネムさんの死亡受付票を食べた。処理が遅れ、復帰地点がズレて天井から落ちた。


【死亡ログ】

【累計死亡回数:百八十九回】

【死因:死亡受付票を食べられて処理遅延落下】

【評価:受付票は命綱】


 四回目、未送信ログネズミを追って壁に激突。五回目はベルの契約書を未識別巻物と間違えて読もうとして、契約結界に絡まれた。六回目はゼルドのマントに足を取られた。


【死亡ログ】

【累計死亡回数:百九十回】

【死因:未送信ログネズミを追って壁に激突】

【評価:小型敵を追う時は減速】


【死亡ログ】

【累計死亡回数:百九十一回】

【死因:ベルの契約書を巻物と間違えた】

【評価:契約書は巻物ではありません】


【死亡ログ】

【累計死亡回数:百九十二回】

【死因:魔王のマントに絡まった】

【評価:味方の装備も地形です】


 七回目。わたしは追うのをやめた。ネズミは速い。なら、走らせる場所を決める。リュシアさんの酩酊ログを床に薄く広げ、ベルの契約書で通路を二本塞ぎ、ゼルドのマントをあえて広げてもらう。

「魔王さん、マントを壁にして!」

「余のマントは壁ではない」

「でもさっきわたしを倒した! 実績がある!」

「実績の使い方がひどい!」


 未送信ログネズミは逃げ場を失い、最後にリュシアさんのカウンターへ飛び乗った。リュシアさんは笑顔でグラスを伏せる。ネズミは中に閉じ込められた。

「捕獲。ちび勇者ちゃん、棚の材料はこっちへまとめておくわ。見られたくない棚なら、酒場は得意よ」

「得意でいいのか分からないけど、ありがとう!」


 その直後、完成直前の棚板が倒れてきて、わたしは下敷きになった。


【死亡ログ】

【累計死亡回数:百九十三回】

【死因:棚板に押しつぶされた】

【評価:家具にもラスボス感があります】


 拠点に戻ると、材料は無事にそろっていた。リュシアさんが、棚板に小さな酒場印を押す。

「神様に見られたくない棚なら、少し()わせておくの。真面目な監査ほど、酔った棚を嫌がるわ」

「棚が酔うの!?」

「ええ。大人の棚よ」

「棚に大人とかあるんだ......」


【今回の勇者ステータス】

現在領域:拠点酒場/白紙ログ棚素材防衛

領域状態:保管庫流出素材回収中

死亡回数:193回

クラス:帰還者

基本スキル:【基本ローグライクスキル:一手一動ワンターン・ワンアクション


【獲得済み主要スキル】

【死因学習 Lv.3】

【足元確認 Lv.5】

【未識別警戒 Lv.5】

【記録保護戦闘 Lv.1】

【一手分の戦場視界 Lv.1】

【逆識別対策 Lv.1】

【黒幕警戒 Lv.1】

【監査獣警戒 Lv.1】


※表示は主要スキルのみです。下位スキル、派生スキル、過去の細かい死因スキルは、統合済みまたは内部保持されています。


【今回の新規獲得・更新】

新規獲得:【酩酊ログ回避 Lv.1】

新規獲得:【契約書は巻物じゃない Lv.1】

新規獲得:【味方装備も地形 Lv.1】

素材回収:【未送信ログ板】【監査避け布】【思い出釘】【酒場裏帳簿棚板】


【登場人物紹介】

リュシア:酒神で酒場担当。酩酊ログで監査兵をふらつかせる、大人の戦い方をする。

ゼルド:魔王。今回はマントが壁扱い。威厳は少し削れたが役に立った。

ベル:魔王秘書。契約書で敵の進路を塞ぐ。紙で神様を殴れるタイプ。

未送信ログネズミ:小さくて速いログ泥棒。追うと壁にぶつかる。


コヨリたちの拠点防衛を応援していただける方は、ブックマーク登録・評価・コメント・レビューで応援いただけると、とても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んでいただきありがとうございます。感想・評価・レビューお願いします!励みになります
少しでも気になっていただけたら、作品ページものぞいていただけると嬉しいです。

小説家になろう 勝手にランキング
ギルド酒場るすと公式サイト

異世界ゲームバー転生おじさん(42)
影森ゆらは今日も死ぬ
千回死亡幼女勇者 異世界Any%
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ