表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『千回死亡幼女勇者』 ――神様のクソゲー異世界だけど、拠点だけはリセットされません――  作者: 勇者ヨシ君
第15章 帰るために必要なもの

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
106/340

六つそろっても帰れない――家に帰るための道、解放

六つの因子がそろいました。

これで帰れると思いました。

神様はまだ道を用意しています。


 白い拠点(きょてん)へ戻った瞬間、帰還門(きかんもん)建設予定地の床が鳴った。


 中央に六つの光が浮かぶ。【名前】【座標】【時間】【記憶】【縁】【扉】。完全な宝石ではない。欠けているものも、ひびの入っているものもある。それでも、今までの反応とは違った。ばらばらだった光が、ひとつの輪になろうとしている。


 コヨリは息を止めた。


「ログル」

「はい」

「六つ、そろった(・・・・)?」

「認証キーとしては、仮接続可能です」

「仮って言葉、嫌いになってきた」

「ぼくも少し」


 反省会テーブルの上には、各ダンジョンで持ち帰った記録が並んでいる。名前記入迷宮なまえきにゅうめいきゅうの本名用紙。一マス違いの地図室ひとマスちがいのちずしつで固定した基準点札。秒針回廊(びょうしんかいろう)の時刻メモ。忘却の子供部屋ぼうきゃくのこどもべやの記憶メモ。|縁結びモンスターハウス《えんむすびモンスターハウス》の赤い糸。千枚扉の廊下せんまいとびらのろうかで拾った古い鍵穴の欠片。


 死因図鑑室(しいんずかんしつ)の扉が開き、カードが飛び出す。今回の死因だけでも、書類、地図、時計、宿題、プリン、全員救出ボタン、ノック。並べると、帰るために死んだというより、生活に殺されている感じがする。


「ログル、今回の死因、だいぶ日常寄りじゃない?」

「日常に似せた罠が多かったためです」

「帰るための罠が日常の顔するの、ずるい」


 厨房からリュシアがスープを置き、ネムが死亡受付台帳を閉じた。ベルは魔王軍資料室まおうぐんしりょうしつ側で、黒い表紙のファイルを整える。ゼルドの声が、少し遠くから届いた。


「勇者よ。余の城が家に登録されなかったこと、確認した」

「そこ心配してたの!?」

「重要だ」

「魔王さんの家じゃないから安心して!」


 思い出ログ棚が静かに光った。ミーナ、カイ、ピヨラ、ゼルド、ベル、ネム、リュシア、ログル。そして奥の薄い札。


【元の世界:家】


 前より少しだけ、文字が濃い。


 コヨリは棚に近づき、指先で触れない距離に手を止めた。


「家、まだ消えてない」

「はい」

「名前も、座標も、時間も、記憶も、縁も、扉も、ぜんぶまだ足りないけど」

「はい」

「でも、前より近い」

「はい。近いです」


 帰還門(きかんもん)建設予定地の床が、もう一度鳴る。今度はログ表示が出た。


【六因子認証キー:仮接続】

【名前:認証キー取得】

【座標:欠片反応】

【時間:欠片強化】

【記憶:微反応】

【縁:強反応】

【扉:強反応】

帰還門(きかんもん)・表九十九階:解放】

【通称:家に帰るための道】

【階層数:99】


 コヨリは、最初の数行では泣きそうだった。最後の一行で、顔が固まった。


「九十九」

「はい」

「ログル、いま九十九って書いてある?」

「書いてあります」

「家に帰るための道だよね?」

「はい」

「階層数、九十九」

「はい」

「神様ァ! 鍵を六つ集めたあとに本編始めるなあああああああああああああ!」


 叫びが拠点の壁に反響した。死因図鑑室(しいんずかんしつ)のカードが震え、魔物休憩所のピヨラ用毛布が少し跳ね、魔王相談窓口まおうそうだんまどぐちのベルがそっと耳を押さえる。仕様書保管棚(しようしょほかんだな)から、薄い紙が一枚落ちた。


 コヨリが拾うと、小さい文字でこう書いてあった。


【表九十九階は、六因子認証キー取得後に入場可能となる帰還門(きかんもん)表層試験です。なお、本試験の踏破は完全帰還を保証するものではありません】


 コヨリは紙を握りしめた。


「保証して!」

「小さい文字に書いてあります」

「小さい文字に最悪のことを書くなあああああああああ!」


 しばらく怒鳴ったあと、コヨリは椅子に座った。最初からある椅子。死んでも残った椅子。ここだけは、ずっとリセットされなかった。


「でも、道は開いたんだよね」

「はい」

「六つ、無駄じゃなかったんだよね」

「はい。全部、必要でした」

「じゃあ、行くしかない」


 リュシアが帰路弁当を包み直し、ベルが魔王軍資料室まおうぐんしりょうしつの外部記録を薄い札にして渡した。ネムは死亡受付札を出そうとして、コヨリににらまれ、そっと引っ込める。ログルは肩に乗り、宝石を淡く光らせた。


 帰還門(きかんもん)建設予定地に、階段が現れる。家の廊下のようで、ダンジョンの階段のようでもある。やさしい名前をした、長すぎる道。


帰還門(きかんもん)・表九十九階】

【家に帰るための道】


 コヨリは階段を見下ろし、深く息を吸った。


「行こう、ログル」

「はい、勇者様」

「あと、九十九階って表示した神様には、帰ってから文句言う」

「帰る前にも言うと思います」

「言う!」


 コヨリは一歩目を踏み出した。


 まだ拠点の床だ。


 二歩目の先から、家に帰るための道が始まっていた。


【今回の勇者ステータス】

現在領域:白い拠点(きょてん)帰還門(きかんもん)建設予定地

累計死亡回数:124回

クラス:【死因学者】/帰還者適性:兆候

現在HP:15/15

基本スキル:【基本ローグライクスキル:一手一動ワンターン・ワンアクション

獲得済み主要スキル:【死因ログ参照 Lv.2】【死亡ログ改ざん Lv.1】【神様報告遅延 Lv.1】【総合盤面確認 Lv.1】【危険察知 Lv.4】【罠感知 Lv.3】【未識別警戒 Lv.4】【射線確認 Lv.3】【帰還門(きかんもん)感知 Lv.1】【シード差分確認 Lv.2】【一フレームの神様 Lv.1】【仕様書要求 Lv.2】

今回の新規獲得・更新:【六因子認証キー】仮接続/【帰還門(きかんもん)・表九十九階】解放/【家に帰るための道】入場可能

帰還因子(きかんいんし)状況:【名前:認証キー取得】【座標:欠片反応】【時間:欠片強化】【記憶:微反応】【縁:強反応】【扉:強反応】

今回活用した拠点設備:【椅子】【死因メモ】【死因図鑑室(しいんずかんしつ)】【鑑定机】【成功ログ棚】【拠点厨房】【属性検証卓】【罠訓練場】【射線訓練場】【魔物休憩所】【シード地図室】【人物レイヤー】【反省会テーブル】【思い出ログ棚】【帰還門(きかんもん)建設予定地】【死因研究室(しいんけんきゅうしつ)】【魔王相談窓口まおうそうだんまどぐち】【魔王軍資料室まおうぐんしりょうしつ】【一フレーム道場ひとフレームどうじょう】【仕様書保管棚(しようしょほかんだな)】【神様会議議事録】

登場人物紹介:コヨリは六因子を集めたのに九十九階を見せられた幼女勇者。ログルは「近いです」と言えるようになった相棒。ベルは外部記録係。ゼルドは自分の城が家扱いされないか最後まで心配する魔王です。

※表示は主要スキルのみです。各因子ダンジョンで得た細かな下位スキルは、今後【帰還名確認】【帰路座標確認】【帰還記憶保持】【帰還扉確認】などへ統合予定です。

ここまで読んでくださりありがとうございます。ブックマーク登録・評価・コメント・レビューなどで応援いただけると、次の表九十九階攻略を書く大きな励みになります!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んでいただきありがとうございます。感想・評価・レビューお願いします!励みになります
少しでも気になっていただけたら、作品ページものぞいていただけると嬉しいです。

小説家になろう 勝手にランキング
ギルド酒場るすと公式サイト

異世界ゲームバー転生おじさん(42)
影森ゆらは今日も死ぬ
千回死亡幼女勇者 異世界Any%
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ