アイサツは大事
仕事はGW前までには落ち着くだろうと高を括っていたら全然落ち着かないことが判明して割とショックです()
「残ったのは50程度か・・・雑魚め」
「豊作なのでは・・・???」
「去年ならまだ素直にそう言ってやってもよかったがな」
うちの学校は今年入学者数を増やしている。
ダンジョン部の影響で話題になったから、クラス自体を増やして対応したわけだ。
これ自体は去年もやってたことだが今年は去年からさらに。
そしてその分ダンジョン部に入部したいって奴らも増える。
そもそも入りたいって理由でうちの高校を選んだわけだし当然だな。
まぁ全員がそう言うわけでも無いんだが。
それでも結局集まったのは新入生の半分・・・今年で言うと約200人。
そのうち四分の一が軽い圧だけでダウンした。
「あまりに脆い・・・」
「ひっでぇや」
「い、一応気絶はしてないですけど?」
「膝をついて戦意を喪失した段階でアウトだ」
逆を言うと膝をついても戦意が折れて無いなら合格。
ぶっちゃけ今の時点でそこまで期待していない。
「あと気絶してないのは調整したからだ」
「気絶しない圧の掛け方とはいったい」
気絶したら死ぬって分かってるのに気絶する生物は欠陥だろ。
「さて。俺の仕事は終わったな。後は任せた。ミツハネ行くぞ」
「あ、はーい」
「すっげぇ暴君・・・いつもあんなん?」
「まぁ大体わ」
「トムラッチだし?」
「わかるぅ・・・ん?てか、先輩事連れてどこ行くんだー?」
「挨拶に来ねぇ馬鹿しばきにいく」
「・・・あっ」
ミツハネはまだ気づいてないけど、あの馬鹿ちゃんといるからな。
ピカピカの一年生。
中学に入る時には特に意識してなかったのに、高校生になる時には意識するのは地元を離れたからだろうか。
言っても自分はそこまで家から離れて無いのでそんな感じは無いんすけど。
それでも周りは知らない顔ばかり。
知ってる顔はほぼいない。
何せとんでもない入試の倍率がとんでもなかったから。
友達連中は凡そ落ちたっす。
「噂には聞いてたけどマジだったな・・・すっげぇわ。な?」
「そうっすねぇ」
まぁそれならその場で友達を作るなり何なりすれば良いだけ。
入学式前に入部希望者の選別を行うとか言う前代未聞かつとてもらしい行事が始まる前から近くにいた人に声を掛ける。
金髪に染めてるみたいだったが、古のヤンキー的な感じと言うよりは高校デビューしましたって感じっぽい。
この高校その辺りの校則馬鹿緩いんで似たようなの多いっすけど。
そんなこと言ってる自分も染めようとしてましたけども。
幼馴染に止められたのでやれてないっすけど。
まぁそんなことはどうでも良いっす。
とりあえず話しかけた新たな友達候補。
高校デビューの高崎翔君。
チャラそうとは思わないっすけどどことなく軽い感じ。
ただどーも変な感じがする奴なんすよねー。
何というか・・・何て言うんでしょうね?
警戒する必要は無いんすけどみょーに目につくんすよねぇ。
いや、目に着いたから話しかけたんすけど。
と、自分がそんなどーでもいい事を考えていたら何やら周囲が騒がしくなってきた。
「ん?何かあったんすか?」
「いや。またあの人が出てきたんだよ」
「ほえ?何かまだやるんすかね?」
そこにいるだけで周囲の人間を威圧する最強生物、戸村宗次。
高く分厚い肉体は衣服に包まれながらも圧倒的強者としての存在感を示してる。
ただ今日のあの人の役割はもう終わりでは?
選別が終わったら後は部活の説明と道具の支給。
最後は希望者のみの軽い訓練って話だったはず。
・・・いや、何か。気のせいじゃ無ければですけど。
「・・・何か、お前の事見てね?」
「・・・見てるっすねぇ」
あ、これあれっす。
『師匠に挨拶も無しとは良い度胸だアホ弟子』って顔っす。
となると?あの人の流儀的に次は間違いなく直接的なって殺気ィィ!!??
「のぼばまん!!??」
「なんだその言葉は」
「急に殺しにかかってきてそれっすか!?」
背後から急激に膨れ上がる殺気。
感じるや否や無理矢理体を前に転がしてその場を離れる。
すると先ほどまで自分がいた場所には刀が突き刺さっていた。
いきなり殺しに来ている・・・!?と思いながらそれをやってきた張本人を見ると知らぬ顔。
だがよく知る気配。あと殺気。
アークオリンピア最強侍のムサシ先生っす。
偶にいる常識ぶっ飛んでる勢の一人っすけど、仮にも教え子殺しに来るっすか!?
「馬鹿を言うな。あの程度で死ぬか。あともう一発来るぞ」
「はい?ってウォォォォ!!??」
そしてその次にはまた背後から殺気。
分かりやすい上にゆっくりとだけど今からお前をぶん殴るっていう圧が詰まったそれは常人なら受けるだけで気絶モノ。
だけどまぁ?一応とは言えこれを受け続けて数年経つ自分なのでそれで固まることは無い。
ゲームの中じゃ無いので避けるのはギリギリになるっすけどね!
「当たったら死ぬんすけど!?」
「即死じゃねぇなら戻せるから問題ねぇ」
「理不尽が極まってるっす!!」
「挨拶にも来ねぇ馬鹿弟子にはこれくらいがちょうど良いだろ」
「と言うかそもそも。今の程度避けられん間抜けを弟子にした覚えはない」
わぁ理不尽・・・と、言いたい所っすけどまぁ確かにその通りではある。
今の二人は態々殺気を自分にぶつける→それに自分が反応する→それを見てから攻撃って無駄を踏んでるっす。
つまり最初から当てる気はなかった訳で。
多分動かなかったら寸止めとかしてくれた・・・と、思いたいっすけど真実は分からないっす。
怖いので確認はしないっすけど。
「あと最後に後方注意だ」
「ご、ごめんなさい!」
「へっ?」
ぺちんと何かに頭を叩かれた。
振り返るとこっちは本当に知らない人・・・あ、いや違うこの人は。
「ミツハネさんっすか?」
「あ、はいそうです。こっちだと初めまして」
「うわぁマジで年上の人だったっすかぁ・・・ん?」
犯人は一昨年あたりからよく遊ぶようになったお姉さんことミツハネさんだったっす。
ハリセン似合わねぇっすねこの人。
あと何か、コスプレ抜きにしても元ネタに似てないっすかこの人・・・?
「あれ?この学校だったんすか?」
「いや。そもそももう高校生じゃないです。卒業してますから」
「そうっすよね?その話しましたし」
「俺が呼んだ」
「デスヨネ」
いやそれは分かってるんすけどね?何でこの人いるんすかね?
師匠と別の高校なのは知ってましたし、卒業式の話もこの間しましたし。
ここにいる理由ないのでは???と思うのは自分がおかしいんすかね。
「お前の面倒見させるために決まってんだろロメ」
「えっ」
「てめぇを普通の連中と混ぜるとかいうアホをやるわけ無いだろ。常識的に考えて」
「えー!?」
特別扱い!・・・と、ここで浮かれるのは師匠素人の考えっす。
世間一般的な所で言うと、アークオリンピアの上位層はダンジョン内で活動する冒険者としても高く期待される。
一応とは言え自分もその中に入っているのは分かる。
だから最初から強い人と組ませて手早くレベルを上げさせる~・・・となるのはアホっす。
いや強い人と組ませるのは間違ってないと思うっす。レベルも早くなると思うっす。
ただ・・・
「それ自分、地獄に叩き落される時の監視役なのでは???」
「その通りですロメ君」
「畜生やっぱりっす!」
それはその強い人が敵を倒してくれるって前提がある。
しかし師匠がそんな生ぬるい事を許してくれるわけがない。
間違いなくモンスターを倒すのは自分だけ。ミツハネは間違いなく見てるだけ。
万が一でも死なない様な保険の役割しかない・・・と。
「止めて欲しいっす」
「無謀なこと言わないでください」
「無茶無理通り越して無謀まで行ったか・・・」
「あ、その声は丸弾さんっすね。初めましてっす」
「おっすロメ君初めまして・・・ちなみに俺と千尋ちゃん・・・蒼の妹も監視役だから」
「死なないだけ安いんすかねこれ・・・」
「意外と冷静だね?」
「まぁ・・・」
ぶっちゃけると・・・覚悟はしてたっすし?
師匠がいる所に行くってそういうことってのは分かってたことっす。
ただそれでもここに来たのは・・・
「ほかに行くよりは楽しそうですし?」
「楽しそうで命の危機に突っ込んできます普通??」
「ああうん。君やっぱりあの三人の弟子やってるだけあるわ」
「いや死にそうになるだけで死ぬことは実際ないっすし・・・無いっすよね?」
「ねぇよ」
「無いだろうな」
これでも買われてる事は自覚している。
なのでそう簡単に死ねるわけもなく。
危ない目には合うだろうが間違いなく死なない。何なら今後まともに動けなくなるような大怪我を負う可能性すら低い。
ダンジョンに行くうえでこれ以上無いほどの保険っすねぇ。
ここまで分かってるなら行かないって選択肢の方が無いっすよ。
「死ぬほどキツイのはサクッと許容できる辺り本当にこの子は・・・」
「あ、丸弾さん今度ダンジョンで使えそうな投擲術教えて欲しいっす。出来るっすよね?」
「あれ。言った事あったっけ?」
「無いっすけど出来るのは分かってたんで」
「うわぁ・・・教えるけどさ」
よっしゃい。これでまた手札が増えるっす。
単純な投擲技術だけならもうあるんで要らないんすけど、丸弾さんのは早投げ特化。
師匠はよくこの人の事をファストドロウの一発特化って言うっすけどその一発を通す為の努力は詰め込まれてる。
その中には当然使える技術が山ほどあると思ってたんすよ。
今までは他の見たり覚えたりするので手いっぱいだったから無理だったっすけどねー。
「ところで、そっちで固まってるのは友達?」
「ん?って・・・あー」
「見事に固まってんな・・・ん?何か見た事あるような・・・?」
だけどここで自分もうっかり頭から抜けてたことが。
今朝知り合ったばっかりの高校デビューフレンズ高崎君。
目の前で繰り広げられたあまりの光景に固まってるっす。
んー・・・これ、友達作り失敗したっすかね。
と、そう思っていたら師匠がまさかの行動に。
何と、高崎君の真上に黒い塊を生み出して・・・そのまま落とした。
「ファ!?」
「えってぬぉぉぉ!!??」
「あ、避けた・・・避けた?今のを?」
「・・・あー今のって」
しかし高崎君何と回避に成功。
闇の塊は地面にぶつかるとスポンジみたいに跳ねたので当たっても痛くなかっただろうけど。
問題は高崎君の回避方法。
上から何かが来ると見た瞬間に上体を反らす様にして体の座標をずらしてギリギリで回避。
そのまま体を反らした勢いを利用して回転。脚を大きく開いて遠心力を生み出して遠くへ離れた。
「っぶない!?」
「成程。お前丸弾とこの間やり合ったな?」
「こ、攻撃で確かめないで欲しいんですけどー」
「当たっても痛くもねぇよこれは」
「マジかー。スラースさんって年下だったのか」
「あ、アハハ・・・ハジメマシテー」
この時自分は確信した。
あ、友達作り成功したっす・・・と。
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