誰かにとって、超えてはいけない限界
お久しぶりです。
正月過ぎてさぁ仕事と思った休日最終日に風邪ひきました()
インフルとかではなかったのですが吐くは39度まで行くわで結局休みが2日ほど延長する事に・・・
何だかんだ忙しかったのでそのせいですかね・・・投稿出来てなかったですし・・・
「・・・成程?集中し過ぎたね?」
「直感で先を行き過ぎたか・・・」
先読みも直感も、今目の前にある現実の先を見据えるものだ。
だがそれが行き過ぎた結果、二人は自分が何を見ているかよく分からなくなった。
直感によればアーサーは自身に迫ってくる。
先読みしたら蒼は間違いなく距離を詰めてくる。
それ自体は間違っていない。
だがそれは数秒未来の話。今の話ではない。
集中し過ぎてその答えに反射で体が動いてしまった。
結果、二人は何もない所を攻撃したというわけだ。
これは不味いと、二人とも同じ感想を抱いた。
感覚がズレるとかそういうレベルの話ではない。
確かに反射のレベルの動きが要求されていたが、毎回そうなってしまうのも問題なのだから。
でもそれはそれで、分かっているなら対応できる。
いや本来は出来ない。普通の人間ならば。
しかしこの場には普通の人間はいなかった。
「反射のタイミングをそこに合わせりゃ良いなぁ?」
「それ込みで考えれば良いかな?」
『普通に体の異常だと思うんだけど???』
『過集中って切り替え出来ないから問題なんだけどね~』
仕切り直しだと言わんばかりに、二人が構え直す。
今まさに問題が起きたばかりだというのに不安な様子は一切ない。
睨み、構え・・・動き出す。
そしてまた激しいぶつかり合いが始まる。
だが先ほどよりお互いがぶつかる数が多い。
『ああ。ずっと至近距離で殴り合えば外しはしないよね?』
『何でそれで成り立つのよ・・・てかアーサーも普通に殴り合い出来るのね・・・』
『魔法剣込みじゃないと間に合ってないけどね?
蒼ちゃんも大振り無しの細かい動きだけだけど』
先を見すぎてしまうから、先を見ても問題無いくらい近くにいればいい。
発想が脳筋だがこれが正解なようだ。
先ほどの様な空振りは発生していない。
それどころかより積極的に攻めるようになった。
蒼のパワーをいなして対応するアーサー。
アーサーの手数に重量武器で間に合わせる蒼。
惜しむことなく神業を見せつける。
見せるためにやってるわけではないはずなのに、そういう風に見える。
いや実際見せているのだろう。お互いに。
ここまで来たぞと。
ずっと待っていたぞと。
だから戦いの終わりが見えない。
攻撃がちゃんと当たらないから体力は大して減らない。
僅かには減っているがこのままでは決着に何時間かかる事か。
『先に集中力が尽きそうね・・・』
『・・・いやぁ。どうだろこれ』
ルミは集中力の問題だと言った。
だがミホは違った。別の問題があると。
『多分想定外だろうし・・・そうなったらどうするんだろうなぁ』
『何?なんの話?』
『多分まともに決着つかないかもって・・・』
『はい?』
蒼とアーサーの顔がまた険しくなる。
世界がまた遅くなり始めたのだ。
直感と先読みが行き過ぎる事に関しては二人とも気にしていない。
宣言した通り、既に適応が済んでいるからだ。
だがやはり消耗は無視できない。
蒼ですらこれがどこまで続けられるか分からないと考えている程だ。
体力、集中力などのあらゆる要素。
その全てが凄まじい勢いで失われていく。
総合してみれば蒼の方が総量は多い。
だが消耗速度に関してはアーサーの方が遅い。
これは彼の戦い方のせいだ。
決まった動きを決まった状況下で繰り返す。
簡単に言ってしまえばこれがアーサーの今の戦い方になる。
戦闘中のあれこれを鋭すぎる五感と直感で感じ続けている蒼に比べて、やっていることが少ないのだ。
これにより、結果的に二人に共通点が生まれた。
(あと三分くらいかな)
(残り三だな。イイネェ)
残りの時間、約三分。
二人に許された戦闘可能時間。
そしてそれが更に減り続けていく中で、更に二人の集中力は更に高まる。
まるで燃え尽きる寸前の火の様に。
斬っては弾かれ、突いては落とされ、殴りつけても掠りもしない。
爪と剣だけが交わる。
最早二人には音も聞こえていない。
(右からはフェイント。後から飛んでくるのは無視。本命は左)
(誘導が読まれた。なら後ろから)
(チッ。変わったか。なら押し通る)
(それは厳しいね)
まるであらかじめ決められていたのではと思ってしまう程に淀みの無い動き。
何度も何度も動きが変わっているはずなのに。
お互いがタイムラグ無しで相手の動きを分かってしまうからこそ起きる未知の現象。
最終的にお互いの妥協点で一旦のケリがつく。
結局爪も剣も肉を斬れずに鉄にぶつかる。
「随分テンションが低いね!」
「そうでもねぇヨォ!!」
「逆に面倒だって言ったんだよ!!」
冷静さの中に混じる狂気。
それが逆に蒼の余裕の無さを示している。
戦いの本能に身を任せるだけでは勝てないと、本能自身が訴えたからこその状態。
今までにない蒼の状態だが、これが逆にアーサーにとってはマイナスの影響を与える。
基本的な部分が変わらないので読み損ねる事は無いが、詰め切れない。
逆に蒼も、本能100%で戦えていないので直感が鈍く、押し切れない。
その癖その状態で勝とうとするから、他の部分がこの瞬間に成長し続けている。
蒼の方が先に痺れを切らす。どうせ勝つなら徹底的に。
迎え撃とうと振るわれた剣を爪ではなく体で態と受ける。
この試合初めてのダメージ。
代わりに、蒼がアーサーを捕まえた。
「【神ッ」
「まずっ」
「貫】ィ!!」
静止状態から腰の動きだけで放たれた奥義。
本来は全身運動で放つ技を、蒼はこの戦いの中で成長させた。
最小限の動きで放たれた必殺。
放った瞬間、蒼は勝ったと思った。
直感的には瞬時に下がることを訴えたが。
「まだだッ!!」
「なっ!?」
爪に貫かれたと思われたアーサー。
だが爪はギリギリで魔法剣が間に挟まる事でダメージの軽減に成功していた。
それでも完全に防ぐ事は出来ていない。
今の一撃で一気に瀕死まで持っていかれた。
だがまだ負けていない。
反撃で放たれる斬撃。
それも今まで見ていなかったエンチャント付きの一閃。
成長させたとは言え強引に放ったことは否めない蒼はまだ動けない。
だが頭を振るう様にして背後へと重心をずらす。
すると体がほんの僅かに下がった。
お陰で斬撃が首を断つことは無かった。
しかし大ダメージ。
一気に蒼の体力がミリ程度まで減る。
『普段急所狙いの蒼ちゃんが急所で死にかけ~!!』
『何であいつらあの状態であんな動きが出来るのよ・・・』
結果だけで見れば体力はまだイーブン。
だが内心はまるで違った。
(偶然だ。偶然だけどあと一手)
(やり損ねた・・・防御にも使えるよな。そら)
蒼の攻撃はアーサーの読みの中には無かった。
正確には、確率が限りなく低かった。
いくつか見てきた蒼の技はそも基本が槍の奥義。
爪で行うには少々無理があるものだと思っていたからだ。
一方で完全に出来ると思っていた技が未だ不完全である事を自覚した蒼。
これでは次は使えない。
恐らく使えばその不完全さをつかれる事も分かった。
防げたのは奇跡に近いが、あと一歩まで迫ったアーサー。
直感では行けると判断していた結果を掴み損ねた蒼。
流れはアーサーに傾きつつある。
だがそれでもお互いに体力がほぼ残っていないのは同じ。
となると次は、いかに早く攻撃を行うかになる。
つまり・・・あと一手。それですべてが終わる。
(だがギリギリなのは同じだ・・・よーいドンならまず負けねぇ)
(閃光なら・・・いや駄目だ。構えてる時間がない。なら)
「ぶち抜く」
「最短でやるしかない」
奇しくも、構えは同じだった。
思考が加速し始める。
二人の見る景色が、またゆっくりとなる。
周りの声が遠くなり、普段は見えないはずの僅かな埃すら見える。
そして二人の集中力が最高潮に達した瞬間・・・二人の姿は、フィールドの中央でぶつかった。
『決まったぁぁぁぁ・・・・あ、あれ・・・?』
『あー・・・やっぱりこうなった~松P~』
そして次の瞬間、二人の姿は消えた。
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