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電脳狂戦士 現代ダンジョンに挑む  作者: saikasyuu
電脳狂戦士 鎧を得る
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引率と取引

「戸村君」

「はい」

「最近の女の子ってこう・・・すごいんだね」

「・・・そうっすね」


何故か遠い目をしている日坂さんに、いや日坂さんも十八だから若いとは言いづらかった。


今俺達は奥多摩の例の食物ダンジョンにいる。

何故かと言うと・・・まぁ大体わかるだろう。


「戸村ごめんおまたせー!」

「本当に呼び出されるんだもんなぁ」

「え?」

「何でもねぇよ」


昼飯の唐揚げを分けた次の日。

祝日のない六月の大事な休日で何をするかと考えていた夜。

そんな時に遠島からメッセージが飛んできた。




まひる:明日!奥多摩!!

         

                    はい?:ソウジ


まひる:うちのメンツ説得したから連れてって!


                   はい??:ソウジ




どうやら本当に数時間でチームメンバーを説得しきったらしい。

実際遠島の後ろに顔だけは知ってる連中がいる。


肉の旨さを紹介したのは俺だけど、まさかこうなるとは読めなかった・・・


「いやぁごめんね。電車一本逃しちゃって」

「まぁここ本数自体少ないからな」

「あのー。戸村君。一応紹介してほしいかなって」

「あ。そうでした。こいつが遠島です。妹の方です」

「遠島真昼です。日坂さん・・・ですよね?」

「はい!日坂巡です。今日はよろしくお願いしますね!」

「いえいえこちらこそ今日はありがとうございます!」


遠島が頭を下げると後ろの二人もそれに倣って頭を下げる。

同期ではあるが、今回は俺達の引率でダンジョンに行くからその辺はしっかりしておきたいのだろう。


というか俺も地味に後ろの二人の事知らないんだよな。

いや顔だけは知ってるんだけど。


それに気が付いたのか、後ろの二人は俺と日坂さん二人に向けて自己紹介をしてくれた。


まずは赤いメッシュの入った盾持ち女子。

勝手なイメージだがバンドやってそう。


松来美佐まつきみさでーす!よろしく!」


次に髪の長い委員長・・・あ、そうだこいつ隣のクラスの学級委員長じゃん。


「小鳥遊彩菜です。今日はよろしくお願いします」

「よろしく」「よろしくおねがいします!」


これに遠島姉を加えたメンバーが遠島のチーム。

姉が今回いないのはまぁ・・・あいつが一番ダメージデカいだろうからなぁ。


「お姉ちゃんはその」

「まぁ分かってるからいいって。来たら逆に驚いたよ」

「ごめんね本当に」

「・・・あ、もしかして最初に一緒にいた子ですか?」

「そうっすね。むしろ良くも今もダンジョンに行ってるなってレベルですけど」


実際遠島姉以外の研修メンバーはもうダンジョンに行ってないらしい。

あの時の事はトラウマになったとしても不思議じゃない。

だが遠島姉はいまだにダンジョンに行っている。

それは妹の為か、何かしら自分に理由があるのかは分からないが。


「まぁそんなことはどうでもよくってだな」

「うーん。妹としては複雑な気分」

「真昼っち悩みすぎだよ。ほら、今日は楽が出来るーってくらいに構えないと」

「あまり油断するのもどうかと思いますよ美佐」

「分かってるってば彩菜っち」

「とりあえず今日の計画だけパパっと立てようか」

「「はーい」」

「私たちはここのダンジョンは詳しくないので、お願いできますか?」

「もちろん。日坂さん!」

「あ、自分でやるんじゃないんですね」

「俺の担当は力仕事なので」


日坂さんがやった方が話もまとまるしな!!


「えーっとじゃあ進めますけども。今日って三人がミートタウロスのお肉が欲しいって事で良いんですよね?」

「そうです!」

「うーん。他の階層に行かないなら、基本的には戸村君が頑張るだけなんだけど」

「あ、ついでに労働させるんで野菜は行きます」

「そうなの?じゃあ・・・どこがいいかな」


野菜階層は三の倍数の階層にある。

階層ごとに手に入る野菜は違う為、目的の物を決めて階層を選ばないといけない。


「またカレー行く?」

「今回は中華が良いらしいので」

「じゃあ十二かなぁ」


もちろん千尋のオーダーだ。

今回遠島達にはミートタウロスの肉を報酬に野菜の収穫をしてもらうことになっている。

十二階層にもモンスターはいるのでそこは気を付けないといけないが、例にもれずそこまで強くないので基本は問題ない。

野菜収穫と言うダンジョンでやる事かそれはという労働に飽きるかどうかが問題なだけだ。


「十二階層って結構低いけど・・・大丈夫なのですか?」

「まぁここのモンスターは弱いっていうのと、戸村君がいれば基本安全なので」

「いえい」

「戸村がいれば?」

「十二層のモンスターは強い冒険者がいるとそこから離れる習性があるんです」

「へー。モンスターも逃げだすくらい強いんだ戸村っちって」

「そうなるな・・・っち・・・?」


初めて呼ばれたぞ戸村っち・・・


十二層モンスター・・・何なんだろうなあいつは。

見た目はあれだ。ダンブルウィード?荒野を転がってる例のあれ。

近づくと猛スピードで逃げていくので俺でも追いつけない。

なので戦ったことは無いのだが、ドロップ品は魔石以外にないらしいので倒す意味もない。

その為収穫時に俺が近くにいればまず問題なく収穫に励めるわけだ。


「あとこのバッグ背負ってくれ」

「あ、そっちが用意してくれるんだね。肉の入れ物だけで良いとは言われてたけど」

「でもこれだとあんまり野菜入らないような?」

「中身見てみな」

「どれ・・・ん?中身真っ暗だけど?」

「・・・これはもしや。例の拡張バッグですか?」

「正解。日坂さんの予備だから上げることは出来ないけど」

「いやいやいや。もらえるってなっても断るって!?」

「こ、これが今話題の・・・」

「こちら中身は?」

「今は一人分の水筒とか食料しか入ってないな」

「全く重さを感じないですね。スキルとはやはりすごいんですね・・・」


遠島と松来は驚ているようで、何度もバッグの中に手を入れて動かしている。

小鳥遊は対照的な反応をしている。

バッグを色々な方面から触って何かを確かめているようだ。

何となくこういう動きだけでもこいつらの普段の役割が分かる。


遠島と松来が前に出て、姉と小鳥遊が後衛だろうな。

実際松来は盾と槍を装備し、小鳥遊は弓を持っている。

遠島も槍持ちだが、こちらは盾を持っていない。


まぁ今回は武器の出番はないだろうがな。

あったとしても俺がやるし。


「んでもう一個仕事と言うか、出来ればでいいんだけど」

「ん?何かあるの?」

「宝箱探してほしいんだよ」

「・・・あれって早々見つかるもんじゃないと思うけど?」

「だから出来ればなんだよ」


こちらは努力目標と言うか、達成したら別のお礼するよ的な話だ。

では何故そんな目標があるか。


ダンジョン内にごくまれに生成される【宝箱】

これはボスを倒した際の報酬と同じで、中身が完全ランダムになっている。

故に手に入る物はその時々で違うのだが、普通にダンジョンで戦うより良い物が入っている可能性が高い。


そして俺の現装備である『赫爪』

これは佐々木さんが駅前のダンジョンの二十層のボスを倒した際の報酬だ。

つまり、宝箱からも同じような装備が出てくる可能性があるということ。

これは今現在武器無しで困っている俺にとっては、まさに縋りたい程に重要な話だ。


でも残念なことに俺個人だとそれは難しい。

単純に、運が無いから。


「そんなわけで、収穫中に見っけたらすごく俺が嬉しい」

「収穫中にみつかるん?」

「野菜階層だけは地面の中にあるので、まぁ運が良かったらですかねー」


日坂さんの言う通り、野菜階層は障害物などない無限に広がる・・・は嘘だけどかなり広い草原と畑、もしくは山だ。

なので宝箱が隠されている場所は地面の中以外にはない。

野菜を収穫するついでに見つかってくれないかなっていう。


「遠島は運良い方だろ?いけるいける」

「えぇ。変な期待しないで欲しいんだけど」

「確かにまひるっちは運いいよね」

「そうですね。私の弓も元々は真昼さんが拾ったものですし」

「え?もしかしてそれドロップ装備ですか?」

「はい。『小鬼の弓』です」

「ゴブリンの弓装備か。よくドロップしたな」

「あははー。偶々だよ偶々」


ゴブリンかぁ。俺はかなり早めに過ぎちゃったからなぁ。

あんまり記憶にないや。


「うっへぇ。ゴブリンが記憶にないってマー?」

「俺多分オークの方が倒してるしな」

「最近だと鎧蜘蛛ばっかりだと思うよ?」

「ん?もうそんなやってます?」

「進めないからってリアちゃん用に糸集めてるじゃない」

「あー」


八つ当たり気味に倒してるからよく覚えてないわ。

まぁ代わりに最近のリアは非常に機嫌が良いからな。

何せ需要のくせに供給が無い糸を俺が大量に持ってくるので色々作れて楽しいみたいだし。

あと今までない繋がりが出来てまた作品に幅が出来たとか。

とにかく良い事ばっかりだなヨシっ!!


・・・まぁ俺は先に進めないから悪い事なんですけども。


「んじゃそろそろ行くか。お手洗いとか済ませとけよー」

「「はーい」」

「戸村君はお手洗いっていうタイプなんですね」

「え?普通じゃね?」

「そうですかね。結構クラスの男子はその・・・あれなので」

「普通の男子高校生と比べるのは戸村君は色々不適格かなぁ」

「それどういう意味です?」

「良い意味だよ!!」

「そうですね。とても良いと思います」

「戸村はかっこいいよね」

「わかるー。噂じゃ結構あれだけど。実際話すと全然普通だし!」


な、何か高評価なんだな俺・・・逆に恥ずかしいなこれ。


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― 新着の感想 ―
[一言] なんとなく予想出来てしまったが、それやるとただの寄生になってしまうからなあ。 外れてることを祈っとこう。 (ここまで前の話の感想) ……駄目だったよ!!!
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