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電脳狂戦士 現代ダンジョンに挑む  作者: saikasyuu
電脳狂戦士 鎧を得る
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肉布教

一応学校通ってるんですよ・・・一応

「そんなわけで、今絶賛停滞中」

「相変わらず世界が違う話してるね」


季節は既に夏。

そろそろ外で昼飯を食べるのもキツくなってくる時期。


「お前日焼けとか気にしてないのか?」

「え?日焼け止めは塗ってるけど」

「普通日差し自体避けるもんなんじゃねぇかな」

「それは不健康じゃん」


遠島と昼飯を食べる場所もちょっと考えないといけないなぁ。


だが相変わらず教室にはいづらい。

俺のクラスだけじゃなくて他の所でも一緒だ。

俺の噂は学校全体に流れてるわけだし。


まぁ最近は慣れたのか、俺が触れなければ害は無いと分かったのか。

割とクラス内の空気はマシになってきている。

もう少し時間が経てば、他のクラスと同じ感じにまで戻るんじゃないかな。


「それにしてもあちぃ・・・」

「冒険者になってもそこは変わらないからね」


これが暑いダンジョン・・・火山とかの環境がある所で活動してたら変わるのかもしれないな。

もしくはスキルでそういうのを手に入れるかだな。

いずれにしてもかなり難しい話ではある。スキルブックは言わずもがなだし、火山のある所はモンスターがなぁ。


「そういやお前今どのへんにいるんだ?」

「ん?なんの話?」

「ダンジョンに決まってるだろ」

「ふぇーっとへ」

「呑みこんでから喋れや」


珍しく遠島の今日の昼飯は購買で買ったパンだ。

サンドイッチとカレーパン。メロンパンにアップルパイ・・・買いすぎじゃね?

冒険者始めてから食べる量増えてるんだな。俺も覚えがある。


もぐもぐとメロンパンを咀嚼して呑みこむと、遠島はようやく自分のダンジョンの現状を話し始めた。


「ごくん・・・今は9から11くらいを行ったり来たりかなぁ」

「お、オークとやってんだ」

「うん。でもまぁ何回も戦えないね。一回で結構疲れるし」

「そうか?」

「まぁレベル三十越えてる人には分からないだろうけど」

「いや俺最初からそこまで苦戦してない・・・」

「強すぎない?」


伊達に最速攻略記録持ってないわ。


遠島は今、四人でダンジョンに潜っている。

遠島と姉。後こいつのクラスメイト女子二名のフル女子チーム。

学生時点で女性のみって結構珍しいんだとか、この間桜木さんが言ってた。


「というか十一層まで行ってんならそろそろスポンサー着くんじゃね?」

「どうなんだろ。まだそんな話欠片もないけど」


ふむ。ちょっと意外だな。

実力は見てないから何とも言えないが、女子のみの学生チームはそれだけで話題性がある。

それに価値を見出したどっかの企業が声を掛けてもおかしくないと思うんだが。

一応東京内のダンジョンなわけだし。企業の目に止まりにくいってこともないはずなんだが。


「珍しいってだけでいないわけじゃないからじゃない?」

「そういうこと・・・なのか?」

「私は企業の人間じゃないからわっかんないけど。それより!」

「あ?」

「戸村いつのまにアイドルの知り合い何て作ってたの!!」

「・・・あー」


クエストで受けた撮影の護衛。

あれの放送が昨日あった。あのミホが俺に普通に話しかけてくるとかいうトンデモ行動にでたあれだ。


あの反響はかなり大きいらしい。

俺は直接調べてないので全部聞いた話だが。とりあえずあの相坂ミホルミの二人と親しげに話す男は誰だとネットでは騒がしいらしい。

既に俺の正体に気が付いてる連中もかなり多いみたいだけど。

間違いなくあの豚共との戦いが映っていたからだろう。

ちらほらと俺のゲームでの名前が出てるみたいだし。

というかミホにあんな態度取れる奴が俺しかいないみたいな変なのも湧いてたし。


「ゲームのイベントで大体顔合わせるから。自然とって感じ?」

「今どきのアイドルってそんなこともしてるの?」

「いやそれはミホたちが変なだけだと思うぞ」


あいつらがデビューしてすぐくらいの仕事だったはずだ。

それが縁で売れっ子と名乗ってもおかしくなくなった今でも参加してくれてるわけだし。

だからアイドルがみんなそういう仕事をしているわけではない。


「でもアイドルと知り合いかぁ。何か、それこそゲームみたいな話だね」

「ゲームみたいな色気のある話は欠片もないけどな」

「えー。でもやっぱり一度は憧れるでしょ」

「そういうもんか」

「そういうもんだね」


うーむ。当事者からしたらあこがれるようなものは何もないんだが、これは第三者じゃないと分からないのかもな。


ふと気が付くと、弁当の残りは唐揚げだけになっていた。

話ながら喋ってたからいまいち味わえてない気がする。

勿体ない折角の良い肉なのに。例にもれずダンジョン産だが。


「・・・毎日思うんだけどさ」

「ん?」

「戸村のお弁当美味しそうだよね」

「そうか?まぁ旨いけどさ」

「妹さんが作ってるんだっけ?」

「そうそう。家にいるやつの昼飯作るついでだって」


うちの食事担当は千尋だが、本来は弁当まで作るはずではなかった。

それがリアが家にいる為、昼飯が必要になる。

だがリアに任せてるとまともに飯を食べないので、自然と千尋が作り始めた。

その流れで、どうせ作るんなら一緒にお弁当も詰めると言い始めて今に至る。


「へぇ。じゃあ毎日手作りかぁ」

「そうだな。流石にこれは昨日の残りだけど」

「大きい唐揚げだね」

「まぁダンジョン産の肉だからな」


ミートタウロスの肉は一個一個が非常に大きい。

その分倒すのも苦労するが、それに見合うだけの価値がある。

肉の相性の問題なのか。特に揚げ物で非常に高いポテンシャルを見せてくる。


だが遠島はこの肉がミートタウロスだとは思わなかったようで。


「やっぱりオーク肉は良いよねー。うちも一回食べさせたら次からずっとそれになったし」

「それはそれで大変な気もするが・・・あとこれオークじゃないぞ」

「え?他にあのダンジョンってお肉あったっけ?」

「あるにはあるらしいぞ」


遠島に撮影の時に行ったダンジョンの下層にいるミートタウロスの話をする。

どうも存在自体知らなかったらしく、とても驚いた顔になる。


あと駅前のダンジョンの肉に関してはまだ遠島たちは暫く関係無い話だろう。

俺もまだ届いてないけど。そろそろ行ける階層だったっけか。


でもそんなことより、気になるのはミートタウロスの方らしい。


「・・・へぇ。そんなのあるんだね」

「おう」

「・・・」

「・・・」


唐揚げを持って遠島の目の前で動かしてみるとそれにつられて遠島の顔が動く。

これは・・・うんまぁ興味は普通出るよな。

これは話をした俺が悪いわ。自慢したみたいになっちゃったし。


「一個食うか?」

「いいの!?」

「お、おう。別にその気になれば毎日手に入るし」


駅前より移動に時間を食う程度なので苦労って程でもない。

倒すのはちょっと面倒だけど。主に空腹になるせいで。


「な、何かおねだりしちゃったみたいでごめんね」

「いいっていいって。気にすんな」


大して苦労しないってのはあるけど、それだけじゃないからな。

遠島には学校で色々迷惑かけてるわけだし。

この程度で少しでも恩を返せるなら俺も嬉しい。何なら丸々一ブロック送りつけてやろうか。


「じゃ、じゃあ・・・」

「・・・何故口を開けて待つ?」

「え?だって箸無いし。手で食べるのはお行儀悪いでしょ?」

「・・・いやまぁお前が良いならいいんですけど」


今ある箸って俺が普通に使った箸なんだけど。

でも一応遠島の頬もほんのりと赤くなってるから本当に分かってはいるんだろう。

そのうえでそれで良いというのなら・・・俺も覚悟を決めましょう。


「はいあーん」

「あ、あーん//」


口に出すと余計に恥ずかしいのか頬の赤みが強くなった遠島。

でもその恥ずかしさも肉の旨味でかき消されたようで。


「え、うっま!!??」

「だろ?」

「これ、ダンジョン。か、かそう!?」

「落ち着け」


千尋が肉食った時と同じ反応してるぞ。

なんだろうか。こういう反応する人多いんかね。


「戸村!?」

「はい」

「こ、ここここれどこで手に入るの?」

「だから奥多摩の食物ダンジョン・・・」

「階層は!」

「じゅ、十九層だけど」

「そ!・・・それは、むりかなぁ」

「でしょうね」


食物ダンジョンは下に行くだけならいけるだろう。そういうダンジョンだし。

でもミートタウロスを倒すのはちょっとこいつらでは厳しいだろう。

オークに苦戦するようなレベルだとまず間違いなく勝てないだろうし。

最低でも鎧蜘蛛に勝てるレベルが必須。階層だけで見ても、今の倍は下に進まないとだめだ。


「一応他の階層でもオークと同じくらいうまい肉はあるぞ?」

「これよりは」

「・・・まぁ。うん。ちょいと劣るかな」


残りの肉は蛇と鳥、あとウサギだったっけ?

それらはもちろん美味しいは美味しいのだが、ミートタウロスの肉に比べるとちょーっと劣る。

・・・すまん嘘ついた。かなり、大きく劣る。

ジビエ料理で言うなら、ウサギ何かはミートタウロスより向いてる分そこだけは上だと思うんだけど。


それを聞くと遠島は何かを考え始めた。

多分チームのメンバーにそのダンジョンに行くことを提案したいのだろうな。

でもあそこ微妙に金稼ぐのには向いてないというかなんというか。

食べられる物って消費期限的な問題でどうしても値段がそこまで高くはならないのがなぁ。


冒険者するには金がかかるわけだし。稼ぎにくいって結構な問題だと思う。

魔石は売れるけど・・・弱いから魔石もちっこいし質も良くない。

つまりは学生がバイト感覚で潜るなら間違いなく駅前のダンジョンの方が良い。

提案しても受け入れてもらえるかは難しいんじゃないかなぁ。


「戸村。ちょっとなんか・・・タッパーとかある?」

「あるわけなくない?」

「だよね!・・・あ、そうだこれ使おう」


そういうとビニールの中からパンの包装袋を取り出す遠島。

何となくタッパーの時点で何を言うか分かった気がする。


「あの戸村さん」

「はぁ。まぁ二個くらいならあげるけど」

「ありがとう!!」


いうや否や。遠島は唐揚げを袋に入れると速攻で教室へと戻っていった。

多分あれを材料に交渉するんだろうなぁ。


「・・・あ?でもミートタウロスは倒せないだろうし。どうするつもりだあいつ」


この時俺は、まぁあいつらが目標にするにはちょうどいいかくらいに考えていた。

遠島の行動力というか、アグレッシブさを勘違いしたのはミスだったなぁと、後になってから理解した。

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