353【記録用214】魔王幹部11討伐(6)
どうぞ。
強い技の出し惜しみをしているせいか、敵の削れ方はかなり遅いようだった。
「恐れているようですね。それほど、奪われてはいけない技ばかりなのですか」
「ぶほほほほ、ほざくがいいど。本体が近くになければ奪えないのなら、似たような技を持っていれば、かんたんに袋叩きにできるのではないかのう?」
攻略するだけなら、数を揃えてみんなで技を撃ちまくればいい……たぶん正解はそっちだけど、個々の戦力が足りないと簡単に倒されるし、虚獣も出てくる。虚獣を倒すための部隊と、この「十一」を倒すための部隊、両方をものすごい人数と強さで揃えるのは、あんまり現実的ではなかった。その分だけこっちの荷が重くなって、どっちも少数精鋭だからやりづらいという、かなりギリギリの状態だ。
「じゃあ、見せちゃおうかな」
「いったい、いくつ封印しなければならないのやら……!」
「ふふふ、いくつでしょうかー?」
『武器カテだけで十超えてんのこの人くらいやしな』『超希望合体ミライザーグレートさんっていくつくらい使えんの?』『↑剣盾銃と隠し玉で五つあるかないかやろ』『メガゾードって武器適性ないの多いからな……』『意外な弱点持ってるな超希望合体ミライザーグレートさん』
使える武器種が多い人は、けっこういる。そして、ストックしている武器が多い人もいる。両立できている人はよっぽどのマニアだけだけど、ひとつひとつにほとんど思い入れがないまま両立している私がいた。いくつもある技の中でも、これを「忘却」させられたらおしまいだ、というのがいくつかあるから……新技をほとんど出さないまま、退屈な戦いが続いてしまっている。
大振りの攻撃が続く大鎌と、小技が連発できる棒術やカード。形成だけ見れば有利だけど、大技が使えないこっちは弱い立場だし、武器もとつぜん消されるから体勢もギリギリになりがちだ。
「くっ、ちょこまかと!」
「ゼロ距離を許す方が悪いんですよー」
横薙ぎの大鎌を受け止めようとした棒が消失する――けど、にゅるっと避けて敵の脇腹に着地し、お腹に〈ランダマイズスロー〉を叩き込む。腹いせにカードが消され、ヴァイロスさんの装甲がまた消えるけど、それほど意味はなかった。
「敵も多いし、強いし。消されても、使っちゃう価値アリかも」
「ぬおう、解を!? 消されてはシャレにならんど!?」
「だからこそ、です」
「ぬぅん……」
こめかみにあった「月泳流星のおもて」を顔へするっとスライドして、使う。キュゥウイッ、とバイオリンをひとつ鳴らすような音と共に、遠い夕焼けといちごミルク色の銀河がともに広がる結界が展開された。空を埋め尽くすような数の金魚が、とうとうロディリアを食い破って消滅させる。
「二人とも、戻って」
ヒューイとラーゼを戻らせ、残った植物軍団は金魚に始末させることにした。ばらばらとほどけていくツルは、その重量だけで静かな地鳴りを起こしている。
「小賢しい……記憶や記録でない技で以て、このわたしに対抗しようなど。それだけで戦えると思っているのなら、大間違いです」
「ぶほほほ、ならばなぜ消すのかのう? よほど恐れているか、それ以外の能がないか! 真っ当に勝つことはできんと、そう見るほかにないど!?」
『クッソ煽るやんw』『まあ消しすぎであるな』『バッタービビってるぅ!』『書物の名前なのに忘却が能力ってのもなんか怪しい』『逆に消せるものって記録とか記憶なんか』『意志アビリティは消せないと』『おっ、ということは』
ォウン、と切り裂く大鎌を、横宙返りからの片手着地逆さジャンプでかわした。ドロップ品のステッキを使って、〈バーニングウォール〉を使う。一瞬だけ出したボールで自分を弾き上げて、三日月まで届かんばかりに高く高く飛び上がった。
そして。
「【おもてさかさま情転図・六道一巡】」
何も持たずに、私は宣言した。
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