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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
8章 百剣抄

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341/356

341 前略、愛しいあなたたちへ(4)

 どうぞ。

 ちょっと大きめの箱をエコバッグに入れて、二人で地図を見ながら決めたお店に向かう。ふつうに入れる美味しいお店、みたいに書いてあるから、メニュー見たら一皿三千円だったときみたいなことにはならないはずだ。


「揺城さん、フィギュアを組むのは初めてでは? アンナさんがコレクションをお持ちだったりするのでしょうか」

「うーん……。お兄ちゃんに手伝ってもらいます」

「ああ、そういえばいらっしゃいましたね。あなたに特撮を伝えたのもお兄さまだとか……特撮のフィギュアを並べていらっしゃる?」

「かなり気に入った作品じゃないと買ってなかったですけど、いくつか持ってましたねー」


 アーサー王伝説をもとにした『カメン・アルトリオン』のアクションフィギュアは、食玩の小っちゃいやつだけど、全部並べていた。「話が面白くないし演出がクソ」とさんざん酷評していてのこれだから、ファンの心はよくわからない。


「今は結婚してお義姉ちゃんと暮らしてるんですけど、きっと趣味部屋作ってますねー。なんで仲良くなったのか、未だに知りません」

「妹と距離がある、という風には聞こえませんが……。大学生になっても「お兄ちゃん」と呼ばれるようなら、かなり仲がいいほうだと思いますし」

「照れてるんですかねー……二人とも仲いいけど、お義姉ちゃんの方からアタックしていったみたいに見えるんですよ」

「それはそれは。血がつながっていないのに、姉妹で似ているということですか」


 公倍数で重なるリズムが止まって、お店のショーケースを見る。


「何人か待っているようですね。名前を書いておきます」

「お願いします」


 スミジョウとカタカナで書かれているのを見ると、なんだか不思議な気分だった。考えてみれば、うちのスポーツクラブのスポンサーをしてくれているのに、あんまり墨帖繊維工業の名前は聞かない。よく見る「SUMIJOH」と書かれたトラックがいちばん目立つくらいだ。


「どれも美味しそうですねー。ちなみに墨帖さんはうどんとそばどっち派ですか?」

「カップ麺なら断然うどん派ですが、そうですね……美味しいものは本当に美味しいですから。どちらかと聞かれると最良を比べてしまって、判断に困ります」

「わー、お金持ちな感想だー」

「揺城さんはどうです、年越しで別に用意することになっても、うちは困りませんが」


 攻勢に出たな、と思ったそのとき店員さんが出てきた。


「二名でお待ちのスミジョウさまー、お席が空いてございますのでどうぞー」

「はーい!」

「す、墨帖は僕の名前なんですが……」

「将来の墨帖でーす。行きましょう?」


 ぐっふっふ、と勝ち誇ると「困った人だ」と困り笑いを隠さずに付いてきてくれた。店員さんも苦笑しながら「お座敷とテーブルどちらに致しましょう」と言ってくれたので、すぐに「テーブルの方で」と返す。通された席に座り、お茶を墨帖さんの前にスライドさせると、彼はすこし考えるように、あごに折った指を当てた。


「正座は苦手ですか」

「それもありますけど……新体操やってると、足癖悪くなるんですよー。いっつも足開いてるから」

「ああ、そういうことでしたか。大会の映像を見たとき、なんとなく態度が悪く見えたのは……なるほど、レベルが低い学校だからではないと」

「うわひどー」


 動画サイトに残っている母校の新体操部パフォーマンスの映像は、何度か見た。パイプ椅子に座っているところは、正直男子以上にみっともないというか、女性美を強調するレオタードで男子みたいな座り方をしているぶん、さらにひどく見える。たしかにあの高校の新体操部はそんなにレベルが高くはないけど、だから態度が悪いとかではなくて、「足をちゃんと揃えて座る女子新体操の選手」なんてものはほとんどいない……まず真っ先にそっちがあって、みんな同じというだけのことだ。


「……しかしそうすると、テーブル席に行くのはもっと良くないように思いますが」

「対面から見えないならギリギリ……こう見えても、乙女にセットし直してますし」

「これは失礼。彼氏と同じフィギュアを買ってくれるくらいの素晴らしい乙女でしたね」

「もっと褒めていいんですよー?」

「食事中では時間が足りませんね。一晩いただければそうしますが」

「斬新!? って、またいずれって言ってたじゃないですか。今夜予定もあるし」


 ええ、と――お互いの攻めがぶつかって、熱でとろかし合っているバトルが白熱しまくっているのを、彼も意識しているのを理解させられた。


「ご注文お決まりでしょうか」

「ざるうどんとお寿司の定食を」「私も同じので」

「かしこまりました。お飲み物やデザートなどはいかがいたしましょうか」

「では、僕は蕎麦クレープを」「りんごジュースとうどんパイで!」


 なんか妙なものがあったけど、「☆評判!!」と書いてあるから頼むことにした。


「ご注文確認いたします、うどん寿司定食ふたつ、蕎麦クレープ、りんごジュースと季節のうどんパイ。以上でよろしかったでしょうか」

「ええ」「はい」

「デザートは用意に少々お時間いただくことになりますので、食後にお持ちいたします。では少々お待ちください」


 注文が終わって――視線がぶつかる。


「楽しく待てそうですね」

「ふふー。すっごくいい時間になりそうです」

 そういえばカッコで数字をくくる話=ボス戦の区分になっているんですが、墨帖さんVSアカネのよわざこ恋愛バトルなので、これで問題ない気がしてきました。VRゲームジャンルで百合タグ付いてるのにノンケパートが伸びていて本当にありがたいので、しっかりやります。


 作中に出した「うどんパイ」、実在するのではないかと思って調べてみたんですが、どうやらうなぎパイみたいなお土産お菓子らしいです。実在したらアレンジ()して大幅に手抜きできたはずなんですが、どうやら自分で考えるしかないようで……うーむ。異世界舞台ならどんなメニュー出しても問題ないのに、そこそこ現実だからちゃんと成立するものにしなきゃいけない苦悩。どうする……一日以内に考えなきゃいけない制約がここに来てのしかかる。季節の果物でパイかぁ……

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