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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
7章 月臨、花の降る

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312 先が見えない暗闇にこそハジケるべし!

 どうぞ。

 アンナによると、「地上が寂しいところは地下がすごい」らしい。地上がいい感じでも地下がすごいのがこのゲームだけど、ゲノ=メニエフから続く、半分くらい水没した洞窟はほんとうにすごい場所だった。


 砂漠の地下水脈は、どうやら北の方の大森林の雪がちょっとずつ融けたもので、現実の大河もびっくりの流面積があるようだ。


「すっごいねー。フィーネもこういうところで生まれたんだよね」

「イヴも! イヴもマスターの使う水の中で生まれたのですよ!」

「イヴはどっちかっていうと、あの台の方が印象強いよ」

「そんなぁ……イヴのパーツは、ほとんどすべて水で磨かれたのに!」

「屈曲と研磨だけなら、水でも足りますので。炎と槌で鍛えた武具、あれらはどうなのでしょうね……」


 川に沿って広がる道を歩きつつ、三人で話す。ほかに連れて歩ける大きさの子はあんまりいないし、アズリやフウカ・ライガみたいに相手をちょっと選ぶ子も、連れ歩くにはあんまり向いていない。


「そういえば、ちゃんと鍛冶で武器作ってるところって、一回しか見たことないんだよね。金属の装備もほとんど持ってないし」

「道化が武器を持つなど言語道断! ですからねー、手に持てないほどではないのですが。攻めよりあしらいの方が向いていらっしゃるようですから、マスターには武器は似合いません」

「あの九人でどう武器を振るうおつもりなのでしょう」

「二人とも辛辣じゃない……?」


 たしかに、いつも通りの分身した九人がボールでトランポリン、カードと魔法と飛ぶ斬撃で攻めるやり方に、剣とか槍とかが入り込む余地はない。飾剣は踊りの延長線上だからまあまあ上手く(?)扱えているけど、レーネみたいなきれいな剣捌きや太刀筋で振るえるかと言われると、たぶん無理だ。


 いちおう武器も使っている〈座長〉の方なら、とは思ったけど、あっちで使っているのもたいがい邪道ばっかりだった。魔石を武器にしたやつなんかは冒涜の極みだし、そういうオーダーメイド以外はほとんどドロップ品だ。ドロップ品がどういうふうに作られているのかは、あんまり考えたことがない。


「やっぱりさ、モンスターにも職人っているのかな?」

「私が、その証左ではないのでしょうか」

「ん、それもそうなんだけど。ほら、亜人が持ってる武器とかさ、ああいうボロボロのやつって……職人がレベルアップして、品質が良くなったりするのかな?」

「基本的には、略奪が主になるはずですよ。特殊な武具を持った亜人は、そういった武具を持った方が近くで亡くなっている場合が多いのだとか……」


 言葉が聞こえた瞬間、パンプスが踏んだものがポキッと折れた。見ると、地面に茶色くなった骨のようなものが転がっている。


「あ、骨だ。これスケルトンじゃない?」

「照合。肉食獣の歯で破壊された痕跡があります。モンスターではなく、遺骸です」

「死んだ人って、全員スケルトンとかゾンビになるわけじゃないの?」

「葬送や供養といった儀式がない、野ざらしの遺体はそうなるはずですが……これは、パーツが足りないようですね」

「バラバラ?」

「ですらありません。イヴの体で示すと、この程度です」


 すねの途中から、足首にも届かないくらいの範囲。すごく小さな骨だなと思っていたけど、子供だからではなくて文字通り骨まで砕けているからのようだ。


「あら? 何か……」


 急に、イヴの姿が消えた。


「イヴ!? なに、どういうこと!?」

「冷静に。アズリに、フウカとライガも……」

「フネカリも出してみよっか。あの子たち、めちゃくちゃ鼻いいから」

「賛成です。照らして見えるようにするのも良いことですが、それ以外も使わなければ」


 初めての実戦投入になるマルフネカリたちは、意外にも状況になじんでいる。


「敵がどこにいるのか、教えて。美味しそうなのは好き放題、食べていいよ」


 ぴこぴこと動く触角は、二十体以上いるフネカリたちの中でも、センサーになっているのかいないのかがまちまちだった。空中にいる何かを追いかけているしっかりした子もいれば、エサ探しに夢中になっている子もいる。壁を登り始めた子もいるけど、今は止めないことにした。


 閉塞感のある低い天井と、広い川。今は道なりに行くしかない、と思っていたけど――地下河川の天井は、すごく高くて広い。来るなら水中からかも、だなんて平凡すぎる発想だった。


「いけない、すっかりハジケ忘れてた……! あの子たちの触角、ちゃんと探知してるよ!」

「来ます」


 ぼんやりした影が、こちらに向かってきていた。

 フネカリ、作中だと「オーバードレッドノート」ばっかり目立ってるけど、ふつうにヤドカリしてて飼いやすいからペットだいすき勢にはわりかし人気。本編はテイムモンスターにガチ性能求める人ばっかりだからアレですが、会話したいとか戦いたいとすら思ってない、ただ愛でたい人もいるんすよ……にごフェスにいたレイヤーさんとかもそっちなんじゃないかな説。

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