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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
7章 月臨、花の降る

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309 灰白……ワルイダーの最期(3)

 どうぞ。

 ぬるりと伸びる触手を切り裂き、執拗に二人を捕らえようとするそれを深くまで傷つけていく。赤いウニの化け物は、とげの塊であり砲台であり触手塊でもあったが……そんな化け物でも、攻撃がきちんと通じている。


「剣士どの! なぜオデの攻撃が通じておるのか、訊いてもよろしいかのう!」

「悪役を名乗るきみたちには不愉快かもしれないけれど……きみの中にも魔の力があって、それをきみの意のままに扱えるからさ。まるでヒーローみたいだって、思うかい?」


 それは、カメンシリーズの王道設定だ。光は闇の中から生まれ、闇を切り裂いて夜をあまねく照らす――そして陰から新たな闇が生まれ、いたちごっこが続く。対象年齢がもうすこし幼い大選隊シリーズは、そんなに複雑な設定はしていない。そもそも、親殺しや自罰といったテーマなど、子供には不要だからだ。


「ぶほほほ。意のままになる力ならば、悪の心で振るえばよいだけの話だど!」

「心意気やよし! ボクの光に並ぶ闇よ、今だけは高め合おう!」

「ぶほほほほ!! よかろう、オデの力を貸してやるど!」


 切るたび、殴るたびに炎が高まっていく。燃え盛り温度を上げて、その色さえも変えていく……青は白になり、白が黄金に変わって、全身の色をさえ染め上げていく。


「ヴァイロス! ドンは巣に封じ込めてきた、誰も触れられない。まだ手伝えることはあるな!」

「きゃつを翻弄してやるのだど! オデとお前の序列は同じ、仲良く……きゃつをぶちのめしてやろうかのう!!」

「おうよ!」


 いくつものアンカーが突き刺さり、びんと引っ張るとあらぬ方向へ引っ張られて、ウニがめちゃくちゃに引きちぎられた。対人戦では使っていない、あまりに外道すぎる技だが……もとより巣作りや封印を得意とする〈ラビュリント・スパイダー〉のジョブに就いた鬼蜘蛛は、こういった技の方を得意としている。


「声をかけながら戦った方がいいのか? それとも、意識はこっちにはないのか」

「残念ですが、構成情報のほとんどが失われた状態ですので……。こちらは奪った側ですが、戻っていくものはわずかです」


 本来ならば、ツェレブルムが生まれた瞬間に本人は消滅する。本格的な乗っ取りを開始したとたん、本人から切り離されたことが効いているのだろう。そして何より、彼女を強く覚えている二人が、フィノミナからの情報吸収・改竄を受けないままにいること……ここが最も有効に働いているに違いない。


「叩きのめしてください。私たちすべての仇のようなものですから」

「フン……事情は分からないが、いくらでも残虐にやっちまっていいってことか」


 ドドドドッ、と連続して撃ち込まれたアンカーが、連鎖的に大爆発を起こした。再生しようとした触手を引きずって放り投げ、光や炎に焼かれるそれを固定する。


「“狩り”にはルールがあるからな……取った獲物を賞玩するんだから、死体がなくなっちまうような得物な、バズーカやら発破やら使いやしないがね。決めたからにはな……」


 尖った鉄片が詰め込まれた爆弾が、ウニを真っ二つに引き裂いた。


「俺たちからドンを奪おうとするやつは、“殺す”。これは宣言だ、お前に言ってるんじゃあない……やると決めたことを脳みそに刻み付けたんだ」


 裂けたウニは、形を保てなくなったのか、もとの花畑と影の姿に戻る。影が一瞬で数十にも分裂して、あちらこちらから襲いかかる。


「おいおい。蜘蛛のふところに飛び込むバカがいるとはな」

「ぶほほほほ! 分からせてやれ、鬼蜘蛛!!」


 網に引っかかった影たちは、ぐるりとまとめ上げられて、まるで藁納豆のような形にされている。内部で増えて網を破ろうとしているが、外で何が起きているかは理解できていないようだった。


「みんな、耳と目を塞いでくれ! ちょっとうるさいぜ……!」


 鬼蜘蛛の解「崩の解:高さゆえ崩落は烈しく(バベルズクラッシュ)」は、本人が仕掛けた任意のアイテムを爆発させる。範囲で指定するのが無難で、今回もそれを選んでいた。むしろ、そうでなければならない理由がある……解のダメージには、仕掛けたものすべてが計算されるためだ。


「お前が来ないように……会議が邪魔されないように、厳重に仕掛けたからな! お前を焼くすべての焔は!! お前が招いたものだッ!!」


 メガトン級爆弾かと見まがうほどの大爆発、そして爆縮。そのあとには、チリひとつさえ残ってはいなかった。


「悪はきっちり、因果応報で死なないとな」


 花園から発射された砲弾が、鬼蜘蛛の背中をぐちゃぐちゃに破壊した。ダメージ超過で消滅した肉体は、その場にいるワルイダー最後の幹部を見つめる意識を残している。


『……超希望合体ミライザーグレート、か。なんだそりゃと思ったが』


 景色がぐにゃりと歪んで、デュデットワのセーブポイントに戻る。


「最後の希望に、……」


 全力で跳躍し、鬼蜘蛛は空を駆けた。


「……託せるわけないか! 悪者はしつこいからな!」

 同じ人の解が二回目出てくるのって初……? アンナととっこの解は出てたっけ。


 鬼蜘蛛さんは「怪人は能力だけで獲物を狩るの!!」という厄介オタクな美学にこだわってるので、本来〈猟師〉のジョブで扱える武器とか爆弾・仕掛けはあんまり使っていません。ほぼ糸系、引っかけとか引っ張りとかのやつ。でも作ってないわけじゃないし、ギルメンと狩りに行くときは使いまくって狩りが楽になる。でも「蜘蛛が代々……えっ時代ごとの一話怪人にカマキリいませんでした?」とかニワカかますと「カマキリモドキだろボケ〇すぞ!!」ってブチギレられる。

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