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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
7章 月臨、花の降る

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304【大陸の支配者!?】魔王を決めるよ!【天変地異】(6)

 どうぞ。

 暗雲が、月を覆い隠していた。濃い霧が頬を撫でて、砂漠にはふさわしくないほどの湿気と不穏が、あたりを包み込む。


「こ、これは……いったい何なんだど!?」

「変身に特別なエフェクトがつくジョブもあるんだよー。短時間の使い切りだから、そういうとこ豪華にしてもらえてるみたい」


 たぶん、五体合体の力をこれから永続的に使えるヴァイロスさんの方が、トータルで言えば強いのだろう。いくら爆発力のあるジョブに変身したとしても、自力で上回れないと通じない。ダークウルフもエクリプスオルカも、五体合体に勝てなかった……やっぱり、一体だけの出力だと合体形態には勝てないみたいだ。


「ちゃんと見ててね」


 全身を包むようにふわりと暗雲がやってきて、体そのものが分解する。私の形をした霧の中にパチパチとスパークが走って、真っ黒いアイアンメイデンか、プラモデルの板みたいなものが出てきた。ばん、と挟み込んだ形にバチバチと電気が流れたかと思うと、しゅうしゅうと煙を上げながらパーツが成形されていく。


 たい焼きの型みたいに開いた黒い板は、そのまま地面に溶けて広がる。紺色のレオタード、白と黒の手套、同じ色のサイハイソックスに包まれた体で、真っ黒い池に立っていた。うっすらとした霧がロボットアームのように変わって、装甲を手に持って取り付けていく。肩と腕に鋭い装甲、足には細めのブーツ、そして耳のようなツノがついたバイザーが、ガシャンと降りる。左右に分かれたマントが、ばさりと広がった。


「冥月鋼騎、デスペアルド……!」


 腕を組んで、浮遊しながら宣言した。


『¥10000かっこよ』『闇のヴァルキリーか』『アヌビス的なあともすふぃあを感じる』『完全にスーパーロボットなポーズ』『強いやつは相応の自信を持たんとな』『女性型の大選隊ロボって史上3体目では?』『せやね』『休止前に一体しかおらんかと思ったら再開後もまだ一体という』『¥6000今日のハイライト』『正しい双剣ってなかなかないよな』


「ぶほほほ……オデの「超希望合体ミライザーグレート」に対する、夜と絶望の化身ということなのだのう」

「かもね。希望がどこにあって、どっちの手に渡るかは、ちょっと分かんないけど」


 背中にあった、ふたつの剣が真ん中でつながったような剣を手に取る。コメント欄を見る限り、これも「双剣」という名前のようだ。


「ほう。オデと打ち合うために、剣を使うとは……! 対等な土俵に上がったと見るど!」

「この「ミチカケブレイダー」にかけて! 真正面から倒すよー!」

「相手にとって不足なし! ミライザーソード、オンッ!」


 燃え盛る炎が大剣の形に固まって、真っ赤に輝く刃に変わる。


「ん、時計が……!」


 いま使えない武器は自動で表に出てこないように設定していたけど……メインジョブが〈道化師〉から〈冥月鋼騎デスペアルド〉に変化しても、なぜか「時計」の適性がしっかりと残っている。見る限り、時間耐性もしっかりあった。


「ぶほほほほ!! オデもまた魔王の道化、〈道化師〉のジョブは取っておるのだど。さあ、始めるど……未来は、一瞬で決まるのだど!!」


『無駄にカッコいいのやめろ』『¥2000時止めバトル!?』『これ映像ではどうなんの?』『前あったけどいちおう映ってた気はする』『まあどうせカメラごとにウィンドウになってるし』『自動切り抜きとかされるんやろか』『はじまた』


 ゴォーン、と……〈セット・スタンダード〉の音が響き渡り、半径百メートルほどのギリギリまで大きくした時間結界が広がった。一歩を踏み出すごとに黒い霧が流れる私と、火の粉を散らす剣を握る敵。


「ぬゥんッッ!!」

「ふっ!」


 くるりと回した双剣が、大剣をあっさりと流した。筋力での打ち合いではなく、器用による受け流し。ほかのジョブで高くなっていた器用が、あちらのステータスを上回っていたみたいだった。圧倒的な筋力で燕返しのように剣が返ってくる……モードを切り替え、双剣をふたつに切り離して片方を吹き飛ばさせる。ぐっと引っ張って、光の鎖でつながった剣で相手を深々と切り裂いた。


「小器用な! 鎖使いの真似事など……!」

「いつものように見てるからねー。上手くないけど!」


 長くてふにゃふにゃするタイプの武器は、すごく苦手だ。新体操の手具でも、リボンはほんとうに下手くそで、発表でも選んだことがない。ちょっとだけ間が長いヌンチャクみたいなこれは、まだ使いやすい方だ。


「それと、あの人の使い方も見たし――」

「それは、戦士の使うたぐいのものだど!?」


 ゆるやかに曲がった剣を、さっきは互い違いに接合されていたけど、今度は全体でアーチになるように繋ぐ。すると、闇でできた弦が現れた。引き絞って放つと、ドシュッと黒いエネルギーの矢が敵を射貫く。


「この、装甲を……!?」


『推定防御1000超えを射貫く矢』『ヤバない?』『闇属性優遇されすぎでは』『防ぐのクッソ簡単やぞw』『魔法とかエネルギー攻撃だと光付与で消せるんだよなあ』『最強さんが白バニーさんに倒されてんのもそこやしな』『防御貫通の代わりに薄膜で防がれる程度のかわいそうな属性やで』『あの人の武器闇ブレードだけちゃうぞ』


 ものすごい出力を出せているから、たぶん倒せる。変身が解けても、そんなに問題はないはずだ。〈座長〉に切り替えればもっと強くなるし、ストレート勝ちもできる。


 でも……丸く収まるなんて、ハジケられないなんて、面白くない。


「お互い、残り時間はあんまりないし――決めちゃおうよ。最後の最後に、何でもできるここで」

「ぶほほ、ほほ……受けて立つど。この一撃で、オデの身を燃やし尽くし……ドンへ手向ける最後の花火にするど!」


 ごう、と炎が広がった。

 注目度ランキングで「連載中39位」と書かれていました。いつも応援ありがとうございます……特に特別な回を入れてるとかじゃないんですけど、なんなんでしょうね。というか注目度って何で集計してるの……マジでわからん。

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