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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
7章 月臨、花の降る

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298 驚愕! ドクター・ボルの裏切り!

 どうぞ。

 タウルヴァンス大陸には、四つの陣営がそれぞれの拠点を築いていた――そして、街づくりの進捗率で図抜けた数字を誇る陣営がいた。百近い数の並ぶ棒グラフは、中心に近付くほど数字が大きくなるピラミッド型になっていた。


 ここでひとつ、問題があった……運営の用意したイベントである街づくりは、意図的に「どのギルドがどの程度イベントを進めているか」を隠されている。大規模なギルドはイベントを早く進めているのは当然のこと、グラフにある上位陣がどのギルドなのかは、パッと見では判別のしようがない。


 むろん、イベントでも何でも本気を出すBPB旗下のギルドたちは、それなり以上の貢献度で以てグラフに表示されているだろう。しかしながら、それ以外のグラフに記載されているギルドがどこなのか、誰を擁するものなのかは、判然としない。ほかに三割以上の差をつける、飛び抜けて優秀なとあるギルドは……まったく当然のように、「水銀同盟」であろう、と推測された――が。


「わはははは! 素晴らしい、素晴らしいぞ。「水銀同盟」不在のなか、一位を取れるのは必然だったが……これほどとはな!」

「にゅふふははは、まったく同意じゃ。そもそも、他の街は上役に忖度して、建設の段階に入っておらんからのう……」


 もっとも積極的に建設に入ろうとしているのは「ミルコメレオ」旗下だが、かれらはワルイダーとモンスターの妨害に遭ってしまい、資材を奪われたり基礎を破壊されたりと、ほとんど何もできていない。それに比べれば、地下に着実に街を築きつつあるワルイダーは、上位に躍り出るのも当然のことだった。


「疑問なんだが、あいつらは? ドンでもそう勝てないような連中が、妨害なんかで屈してるわけもないだろうに」

「ははは、いい疑問だ。だが愚問だな、あれは本隊が指揮を執っていないからああなる」

「馬鹿すぎね。あれこそ、さっさと作れば私たちが入り込む余地なかったのに」

「なんだよ、上の指示待ちで止まってるとでも? ……え、ほんとにか?」


 ドンやドクター・ボルが、言葉はなくともそうと伝わる形で示すと、鬼蜘蛛は呆れたように言った。


「なぁんだ、これじゃあ……怪人が切り込むべき社会の形がないじゃないか。悪の野望がただ叶うだけだなんて、面白くもない」

「ふふ、勇気あるものたちを迎え撃つのもまた、巨悪の美徳だと思わんかね? 君が守る部屋はきっと、素晴らしい狩り場になるのだろうな」

「……そんなんで釣られる俺って、じつにチョロいなあ」

「ときに、諸君! 通達せねばならん事項がある、心して聞いてくれ」


 全員の視線が、大首領(ドン)ダ・ダークに集まった。


「まず、最初に。「ねこ★ろーぐ」がプレイヤーデータを削除した。理由は不明で連絡もない、リカバリーをしに来ようともしない。彼女は脱退、除籍したものとする」

「フレンドリストにもおらん、そもそもそれ以外で連絡も取れん。加入希望として戻ってくるでもない……残念じゃが、今のところは脱退したものとするほかないのう」


 もうひとつ、とドンは円卓の中央にあるリストを表示した。


「ドクター・ボル。この場で公に質問させてもらう……封印カードをなぜ持ち出し、どこへやったのか。納得のいく説明をしてもらえるかな?」

「にゅふ、ふほ、にゅほほほほ……!! 説明じゃと? “なぜ?”がなぜじゃわい! どこの誰であれ、悪の組織の一員が! 巨大合体ロボに変身するなど……古典派のわしが許容できるはずもなかろうが!! 幹部として、わしは悪を守らねばならんのだ!」

「……悪の巨大ロボ出てこないのって、もう百年くらい前の話じゃね? 休止前じゃん」

「ツッコミすら古いあたり、古典派にしてもその……」


 鬼蜘蛛のそばに控えていた一般怪人すらツッコミを禁じえないほど、ドクター・ボルの価値観は旧いものだった。


「なぁーんてのォ! その顔ぉ! 顔がな! わしにブチ切れておるその顔が見たかったんじゃあ! 昔からのわしの病気でなあ……治らんのじゃ! 信頼を裏切るとき、相手が怒るところを見たくてのォ! にゅへへははははは……!!!」


 老人の顔が、喜悦に歪む。その言葉は、まことに残念ながら偽りではなく、真に心の底から出たものであるようだった。


「おーいおいこいつ、マジのイカレじゃん。どうすんのドン」

「まあ、いい。悪の組織の博士ポジションは、それなりの確率でトップを取ろうとするものだ。さっさと行くがいい、持ち出せるものはそう多くないだろうがね」

「どうした、わしを殺さんのか? ほれ」

「お望みとあらば……そう、しようか」


 カキン、と双面が上下にズレる。コマ落としのように接近し、首を掴んで持ち上げたドンは、窓からドクターを放り投げた。そして自分も窓から飛び出し、はるか上空へと蹴り飛ばす。


「ずいぶんと、楽しい旅行プランじゃのう……!」

「そう思えるのは今だけだ。さて――」


 呪符を何枚も張られて釘で止められ、悪の中でひときわドス黒く輝いた悪は、遠い空へと旅立っていった。


「死ぬまで飛ぶだけ、か。時速がどうで飛距離がどうだったか、覚えちゃいないが……」


 窒息することはなく、呪物である釘の効果で、いっさい動くことができない。一度の死亡で効果は解除されるが、その死は。


「どんな気分なのかな、パラシュートなしの飛び降りで、死ぬと決まるまで意識が残るというのは……」


 落下によるダメージで、確実にHPが完全喪失されると算出された場合は、プレイヤーの意識を保護するため、先んじて死亡判定が行われる。意識はセーブポイントに転送され、肉体が死亡するまでそこで待つことになる……むろん、そのあいだにログアウトすることもできる。


「あるいは。空の果てでも、死ぬのに時間がかかるとしたら」


 どちらにせよ、戦闘中にテレポートすることはできず、「秘密結社ワルイダー」の設営したセーブポイントは使えない。


 空を歩いて窓に戻るドンは、宇宙へ消えていく光を見なかった。

 もう二人処理される幹部たち。まあ自業自得っスね……人間じゃなかったやつと人の心なかったやつ、君らは「怪”人”」ですらない。数少ない仲間を裏切り続けたら、まあうn……


「悪の戦隊ロボ」って私はキラーオーとバトルシーザーロボくらいしか知らなかったんですが、元祖は『超電子バイオマン』(1984)のバルジオンってやつらしいです。pixivの一覧を見ると、ギガライノス&ギガフェニックスとかウルザードみたいな「味方ポジのはずが……」なのもいるんですね。でもプテライデンオーとかトウサイジュウオーってどうなん……? ガチ敵ポジと味方化ポジの両方がいるあたり、五十年の歴史って深いね……

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