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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
7章 月臨、花の降る

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295 鍵のかかった心臓

 どうぞ。

 ふだん着ているときはあんまり気にしていないことだけど、バニースーツの材料はエナメルレザー、いちおう皮革製品だ。革鎧というには頼りなさすぎるし、もともと受けたら終わりなジョブだから、固さも期待していない。もとから見た目だけの装備、むしろ玉竜がくれたやつみたいにそこそこちゃんとした性能がある方が変なくらいだった。


「うぇへへへ……フィエルさんが頼ってくれてるぅ……!」

「いやー、これは職人さんに作ってもらわないとですし。素材はあるだけ全部あげるから、使いたいだけ使ってあとは売ってもいいですよー」

「あんまし甘やかしたらあかんでぇ、うちの職人はもう何でもやりよるさけ。ほんまに、余った分返さんでええの?」

「ほら、私って【愚者】なので」


 私にとって、アマルガム陣営は好き勝手に動かせる私兵ではなくて、おのおのが好き放題している……それこそ何でもあり、全員が思い思いバラバラの方向を向いた【愚者】たちと変わらないかな、くらいの感覚でいる。作りたいものを作っているとき、倒したい敵を倒しているときがいちばん強くて、方向性が一致することがめったにないから、基本的には結束力もない。


 というわけなので、お仕事を頼むならやっぱりTTかミル、という考えになる。


「でも、これどうやっても緑になっちゃいますよ? けっこう珍しいんですけど、どう染めてもほぼほぼ地の色に混じった感じになっちゃうんです」


 職人・商人ギルド「タイトルタイルズ」の初期メンバーである「えみみー」さんは、このゲームで流通している革製品のうち一割くらいを作っている、狂人じみた執念と職人魂の持ち主だ。アマルガム陣営でも、えみみーさんの作った防具やポーチ、ベルトを使っている人はものすごく多い。スキルレベルにおごらず、低級素材でもいろいろ作るから、みんなの味方としてかなり有名な人でもある。


「じゃあ、ちょっとだけ……ほんの少しだけ白っぽくするだけでお願いします。今回は緑色を中心に組み立てようと思ってるので」

「緑ですかぁ。白が七つ道具、黒が蹴り主体……緑はどうなるんでしょう?」

「最近、いいおもちゃを見つけちゃって。強いかどうかは分かりませんけど、やってみたくなっちゃったことがあるんです」

「木? ミュウェルーて、こんなもん振り回すくらいしか使えへんやん」


 固い木材は、現実だとすり減りにくいからとスクリューなんかに使うらしい。ただ、ハーダルヴィードの船は帆船、魔法で吹かせる風でどこにでも行き放題だから、そういう需要もない。固い木材は、武器やゴーレムくらいしか行き場がない……新しい使い道も、ちょっと思いつかなかった。


「ふっふっふ、題して「撲殺型どっちでしょうビルド」ですよ!」

「……ふーん。だいたい察しついたわ、悪い方法やないね」

「あ、それと。できました!」

「ほんまに!!?」


 取り出す――赤くてすこし濁った宝石と、青くて海をたたえたように深みのある揺らめきを見せる宝石が、左右で融合した器臓。どこか巻貝に似ているし、左右の手で作ったハートを上下にずらしたようにも見える。二日くらい最大MPが減っていた原因が、ようやく解消された。


「人工心臓です。「蒼紅真臓:昂灼黎錠(ヒートメタル)」……自信作ですよー」

「あー、待っとった、ほんまに長いこと待っとったわー。〈アクアクラフト〉取りに行ける職人がほっとんどおらんし、最大MP減らしながら動くなんてだぁれもやりたがらんし」

「これが、ジョブを増やせるアイテムですかぁ?」

「そうなんですよ、これがです」


 上位陣は目の色を変えて欲しがるであろう――だけど、今の私には必要のないアイテム。まだジョブ枠は埋まっていないし、このコンボじゃないといけないのに必須なジョブが揃わない、なんて経験もしていない。最悪、〈道化師〉と〈レクストリガー〉だけあれば、私の戦法はだいたい成立してしまう。だから、数千万単位のお金(ディール)が動くのに、私はほとんど損をせず、一方的に儲けられるという……あんまりにも都合が良すぎる話になっていた。


「さすがに、うちの一存で億は動かせんわ。それに、お客さんが出す金額もなぁ……どんくらいになるやろ。これを買い叩くノータリンのドグサレはおらんやろけど、いつもみたいに売り上げの一パーセントを手数料に、っちゅうんも良心が痛むわ」

「じゃあ、そちらの倉庫に置いといて、欲しいって人が現れたら売る、っていうのでどうですか? 私は死にやすそうなので、万が一にでも落としたくないんです」

「ええよ、そうさしてもらうわ。ほんまにありがとうな、フィエルはん……あんたと取引さしてもろてること自体が、うちらの何よりの財産やわ」

「えへへー。そこまで言ってもらえると、やっぱり嬉しいですね」


 数日後に起こる大事件を思えば、私はここで選択肢を間違えていたのかもしれない。けれど、そんな未来のことはつゆ知らず、私は涼花さんに赤と青の器臓をたしかに手渡した。


「あ、それと。この機能(・・・・)は……次からは付けんといてほしいんやけど」

「わかりました。ちょっと、欲しがる人もいそうだなって思って……」

「いらへんて。ワルイダーでもいちばん嫌われとるあいつやないんやから」

「ああ、ろーぐですかぁ……」


 知らない話は知らないまま、私の知る由もないところで進んでいた。

「装備には絶対にいらん機能」「クッソ嫌われる害悪プレイヤー」でだいたい察せるやつ。あとハートとヒートだから、あれもやる。


 そういえば「スシロー×スタレコラボ:黄金の一皿」行ってきました。コラボそっちのけで麻辣の揚げ玉ねぎ乗せビントロとか漬け桜鯛とかを食べていました。いやだってめっちゃ美味しいし……麻辣ビントロはマジで美味しい、たぶんシリーズの中でもいちばん美味い。サヨリが意外と高くて(ウナギより高額)びっくりしましたが、まあ美味しかったからいいか……メシの話しかしてねーな。

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