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「ねえ、良かったらこのケータイ、ちょっと借してもらってもいい? 他にも年賀状とか卒業アルバムとか、お父さんの友達の連絡先がわかりそうな物、一通り借りたいの。お父さんのこと、聞かせて欲しいから」


 私の申し出に、おばあちゃんは小さく頷いて言った。


「そういうことなら、何でも好きな物を持って行くといいわ。大きくなれば親に見せてる顔と、友達に見せてる顔は違って当たり前だものね。きっと、私達が知らない話もいろいろ聞けるでしょう」

「うん、ありがとう。ちゃんと責任持って返しに来るから。じゃあ、ちょっとダンボール開けさせてもらうね」


 私は携帯電話をバッグにしまうと、手近にあったダンボールのガムテープを剥がし始めた。


 お兄ちゃんも同じようにダンボールを開け始める。


 私がダンボールを開けてみると、中に入っていたのは洋服ばかりだった。ここに目ぼしい物はなさそうだ。


 私は次のダンボールを開けながら、おばあちゃんに尋ねる。


「そう言えば、おばあちゃんはお父さんが不倫してたとか、仲いい女の人がいたとか、そういう話聞いてない?」

「ごめんなさいね、ちょっとわからないわ。もう十年も前のことだけど、そんなことが耳に入ったら流石に覚えてると思うし……親の耳には入り難いことだから、お母さんに訊いた方が確かじゃない?」

「あ、うん。でもお母さんには……」


 私はそれ以上言えずに言葉を途切れさせたけど、おばあちゃんは全てを察したらしく、溜め息混じりに言った。


「やっぱり、お母さんはまだお父さんのことを許せていないのね。まあ、お父さんは不倫を疑われても仕方がないことをしたし、無理もないけど」






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