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《黒の毎日》  作者: 主s.s
142/191

人は成長するから良い

8月20日㈫修行編

時刻は午前七時、サキは飲まず食わずで柱を登っていた。夜は寝ずに柱を登っていたのか、今はとても寝不足である

「や、やっと七十メートル地点…」

指先を動かそうとしても、疲労で動かせなかった

「うっ…(あと三十メートル…)」

必死で指を動かし、柱を登って行った。塔の中では、サキが柱を登る音しか聞こえなかった

「(疲れた…でも、頑張らなくては!登りきれたら、ルカ先生は褒めてくれるかな…)」

サキはルカに褒めてもらう、そんな思いを持って、今登っていたのだ。昨日はたくさんの弱音を吐き、くだらないことを考えていたが、今は違う。『この柱を登る』そんな思いだけがあった

「はぁっ…はぁっ…昨日よりも油の量が減って、登りやすいな」

今は、ルカは頂上にはいない。ルカは近くにある、寝泊まりをしている城のバルコニーで紅茶を飲んでいた。そのバルコニーからは精神死柱(デスソウル・ピラー)がよく見える

「(『精神力』それは、精神が力となって現れたもの。精神が揺らげば、その力は弱くなる)」

ルカは紅茶を一口飲んだ

「(サキ、あなたはその力の才能があるわ。これから会う敵は、今までの敵とは違う。あなたのハッタリや心理戦は効かなくなるわ)」

午後十二時、ルカはサキの様子を見に来ていた。下を覗いた時、サキは八十メートル地点にいた

「(思ったよりも早いわね)」

ルカは、サキのボロボロになっている服や手袋を見ていた

「(あんなに頑張って…すごいわ。昨日までのあなただったら、諦めていたのに)」

サキは頂上にいるルカに気づいたようだ

「あ!ルカ先生!」

サキは昨日とは違い、自力で柱を登った。その姿はまるで、まだ地を踏まぬ赤子が、一生懸命に母親の元へ進もうとする光景であった

「(ここまで成長して…いや、でもこれが本当のサキなのかもしれないわね)」

それから三時間が経過し、サキはやっと頂上へ到達した。登頂時間、三十三時間

「はぁ、やっと到達…」

「おめでとう」

「あ、ルカ先生!褒めッ」

「さ、前座は終わりよ。次からは本番よ」

「えぇ!うっそん!お昼過ぎてるよ!お昼ご飯は?ねぇ?ねぇ!」

ルカはサキに背を向け、歩いて行った。サキは知らなかったが、彼女は少し微笑んでいたのだ

「フッ、あなたが感情豊かに育っていてよかったわ」

「え?何?また嫌味?」

「いいえ、違うわ。褒めているのよ」

「…え?あ、恥ずかしいな」

「まっ、まずはその汚れた服を脱ぎなさい」

「え?それってどういう意味で…」

「隅々まで洗ってあげるわ」

「えぇ!!」

そうして、サキはルカと一緒にお風呂に入ることになった。サキの期待は外れ、ルカは服を着たままサキの身体を洗った

「…(期待はずれだったが、まぁ…こうやって誰かとお風呂に入るのは初めてかも)お”ぉ”ん”目の中にシャンプーがァ!」

「我慢しなさい。てか、薬は飲んだ?」

「あ、はい。飲みましたよ」

「ならいいわね」

「痛い!痛い!皮膚が剥けるゥゥゥ!」

サキの悲鳴は、お風呂の中でとても響いていた

To Be Continued(つづく)

登場人物

サキ

ルカ

天気:曇りのち晴れ

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