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《黒の毎日》  作者: 主s.s
130/177

彼女は…八尺様である

8月8日㈭人間界編

雲一つない京都の田舎町。田んぼと山に囲まれた辺鄙(へんぴ)な村にて二人の男女がそこへ来ていた

─ガラガラガラッ

「ただいま!」

京都北部の田舎町。米と野菜が取れる素敵な村。ここは遊野ゆの 穂乃花ほのかの実家がある村。マサキは夏休みということで、お世話になっているマスターのご実家に来ていた。ついでに京都へ旅行に来ていた。彼女の実家は古風な家であり、今は金持ちとは言えないが、昔の蔵や大きな木々が残っていた。蔵には歴史的な書物があるらしい

「マスター!ご飯!」

「はいはいって、あんたねぇ他人の家に遠慮というものが無いのかい?」

「んーないッ!あったら着いてきてなかったし。パパさんもこんなに賑やかで嬉しいでしょ?ねっ?パパさん」

穂乃花の父親は縁側で新聞を読んでいた

「え?…あ〜そうだな。穂乃花の彼氏さんは賑やかでいいな」

「か、彼氏?!違うから。サキも訂正してッ!」

「えぇ〜彼氏?見えます?見えます?ねぇ、嬉しいな!」

穂乃花は少し照れていた。喫茶店のマスターとしている時は大人びていたが、ここに帰ってくると子供らしい雰囲気になっていた

「ところで、飯はまだぁ?」

「……はぁ、母さん。何か食べるものある?」

「ごめんね、なんにもないみたいで。マサキさんでしたって?このお金で八百屋さんまで、お使い行ってくれる?」

「え〜お使い?いいですよ。こんな美人さんに頼まれたら断れませんよ!」

穂乃花の父親は咳払いをした

「あ…」

「ありがとうね。もしお釣りが出たら、好きな物買っていいからね」

マサキは、首から掛けれるがま口財布を貰い、そのにお金を入れた。そして、玄関に向かった

「あんまり走らないでね。この前、ワックスかけたから」

そう言われた矢先に、マサキは玄関土間(げんかんどま)にスライディングするように転けていた。

「いでで…ワックスすげぇ…ん?なにこれ?」

玄関の右側にある下駄箱の上には、ひとつの家族写真が飾ってあった。そても古そうな写真だ。マサキはそれを手に取ろうとした

「あ、サキ。スマホ忘れているわよ」

「あ、ありがとう」

穂乃花からスマホを受け取り、マサキは玄関を出た。外では蝉の鳴き声しか聞こえない。マサキは誰もいないことを確認し、鼻歌を歌っていた。

─チリン…チリン

後ろで自転車のベルの音が聞こえた

「ん?自転車?」

マサキは振り返った。だが、自転車の影ひとつなかった。でも、ひとりの女性が立っていた

「…?!(いつの間に、こんな近くに!気配が感じなかったぞッ!)」

彼女はこちらを向いていた。彼女の見た目は、白いワンピースを着ていて、麦わら帽子を被った女性だ。黒髪が非常に似合う女性でもある。背が異様に高く、マサキよりも高い。こちらの目線を合わせるように、背中を曲げていたのだ

「…な、なんだよ?まるでわしが小さいみたいな扱いをするじゃあないか?日本人男性より背は高いんだぞッ!わしは195センチだぞォ!でかいだろう!」

そんなことを言っても、彼女はビクともしなかった

「や、やめて。恥ずかしい…そんなに見つめられると恥ずかしいよ…」

「ぽぽ」

「え?」

「ぽぽぽぽ、ぽぽ?」

「”貴方は、誰?”わしはサキ…思ったよりも、めっちゃ綺麗だね。タイプだ。なーんてね!冗談だよ!」

「…ぽッ」

「いや、そんなに照れないでよ!いや、怒らないでの間違いかも…」

そんな時、見知らぬ村人に声をかけられた

「おい、あんた!何してんだっ?!」

「え?何が?」

「?!あんた!そいつから離れろ!」

「え?なんでッ!」

「あ、山田さんちにあったよな。あれとか」

「うんうん」

村人たちは、ふたりを引き剥がすようにマサキの手を引っ張った。そして、とある民家の二階に押し込まれた。窓には新聞紙で目張りがしており、その上に御札が貼ってあった。四隅には盛り塩があった

「え?なっ!これなに?塩…食べていい?」

「それは盛り塩と言って、食用ではない…だから!塩は舐めるなッ!」

「では、私が説明しようか」

少し年季の入った男性が何かを説明しだした。マサキは真面目に聞いているつもりはあるが、頭では理解してなかった

「お前さんが出会ったのは、八尺様と言ってな。八尺…現代で言うと2メートル40センチという意味だ」

「2メートル40センチ…様。フッ!」

「おい!」

「実態はどんなものかは誰も知らない。見たものは、数日以内に殺される。それだけだ。まずこの部屋から出るな、誰かが声をかけてきても無視をしろ。窓や扉は開けるな。わかったな?」

「…あ、はい」

「理解は…どうせしただろう。私たちはちゃんと言った。これを守るのは自分次第だ」

そうして、村人たちはマサキをその部屋に閉じ込めた。

数時間は経ったのだろうか。エアコンが付いてない部屋はとても暑い

「あ〜これってさ、誘拐と監禁だよな。ここから出たら、誘拐罪と監禁罪で訴えてやる!」

「サキ、大丈夫かい?」

「そうだ、大丈夫か?」

扉の外から穂乃花とさっきの村人の声が聞こえた

「大変だな、ご飯をやるからこの扉を開けなさい」

「そうだ。お前の好きなショートケーキがあるぞ」

マサキは立ち上がり、扉をさして言ったのだ

「あなたを…誘拐罪と監禁罪で訴えます!理由はお分かりですよねッ!覚悟の準備をしておけッ!貴方は犯罪者!弁護士と裁判所を準備しときますので、待っててください!この犯罪者!」

扉からは返事が来なかった

「なんか言えや!とてつもなく恥ずかしいだろゥ!」

「…扉を開けてくれる?何をしているのか分からないけど、お願いね」

マサキは扉を睨んだのだ。そして、意味の分からないことを言ったのだ

「マスター…その扉には爆弾をしかけた。扉を開けた時、開けた対象者はここで終わりだッ!」

声は静まり返り、ドアノブを開ける音はしなかった

「へっ!これはハッタリじゃあないぜ!本当に取り付けたのだッ!…これって、自分がドアノブを捻った時…ヤバい感じ?」

そんな時、窓が叩かれた音がした。

「うおッ!な、なんだよ!風かァ?驚かせんなよ」

マサキは呑気にその窓を開けたのだ。目の前には真っ黒なつぶらな瞳をしたあの女がいたのだ

やっと(ぽっぽ)み・つ・け・た(ぽ・ぽ・ぽ・ぽ)

「うわぁぁぁ!!!」

マサキは驚いた。だがしかし、顔を(しか)めマシンガンを構えた

「死んねぇぇ!!」

引き金を引こうとした時、一瞬だけ脳裏に綺麗な女性が見えた気がした

「!…『和子』さん!」

無意識だった。マサキはその人のことを知らないはず。そんな女性の記憶が無いのに、なぜ…なぜそんなことを…

「…な、なんだ。誰だ。和子って…」

いつの間にか、目の前にいた女は消えており、女がいた場所には古びたロケットペンダントがあった。そこから音が聞こえたのだ。その曲はエルガー作曲の愛の挨拶であった

「…愛。くっだらねぇ、はよ寝よ。うぅ、寒い。本当に夏か?」

マサキは窓を閉め…窓を閉めた時、間違えて壊してしまったようだ。熱風に当てられながら、寝床に着いたマサキ。窓がないのか、あの曲が響いていた。マサキはそれを聞きながら眠りについた

登場人物

マサキ

遊野 穂乃花

穂乃花の母親(遊野 幸恵)

穂乃花の父親(遊野 治)

八尺様

村人たち

天気:晴れ

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