思い出とツーリング
8月2日㈮人間界編
朝 四時頃、まだ日の出前の出来事
「サキー、準備できた?」
「うん」
「…おまッ!革ジャンって…山の中は寒いかもしれないけど、今は真夏だぞ」
「ハン兄だって、冬物のライダースーツじゃん」
「これは…俺の正装みたいな物なの」
ふたりは、重厚感があるバイク乗りのような服装に身を包んでいた
「あ、アイちゃん。今日は家のことをよろしくね」
「はい、かしこまりました。マサキ様」
「今日って…毎日のように頼んでいるくせに」
「はい、これが私の仕事ですから。ハル様」
「…よし、行こう」
ふたりは荷物を持ち、玄関の扉を開けた。そして、敷地内にある、自分たちのバイクに乗ったのだ。ふたりは街中を走り、とある大型ショッピングモールの駐車場に到着した。そこにホンダのCB1300スーパーフォアにもたれかかっている人が居た
「遅いじゃないか。珍しいな、遅れるなんて」
「あぁ、すまなかったな。サキの支度がなかなか終わらなくて」
「大変だな」
マサキはふたりの会話に割り込むように入ったのだ
「ハン兄…この人が今日、ツーリングする人?」
「そうだよ」
「あ、ハルからは全部教えてもらったよ。時川…真咲…さんか、よろしく」
「あぁ、よろしく…えっと…」
「あ、俺の自己紹介がまだだったな…あ…」
彼は緊張しているのか、なかなか喋らない。ハルト王子は彼に自己紹介するように促した
「じゃぁ…俺の名前は観音寺翔太。ハルとは大学時代のツーリングサークルで一緒だった仲だ。よろしく」
「よろしく!」
そうしてふたりは、翔太を入れて三人でツーリングをすることになった。翔太は缶コーヒーを飲みながら、今回のルートを確認した。そして、三人はバイクのエンジンを掛けた。エンジン音は、ショッピングモール内の駐車場に響いていた
「あ、うんこ!」
「早よ、行ってこい!」
そうして、三人は山へ向かった。午前八時半、山道の入り口付近のコンビニで一時休憩をした
「ここから先はトンネルが長いから飲み物買ってきたぜ。あと山道は思ったよりも寒いかもしれないから色々と買ってきたぜ」
「ありがとう、翔太。サキもお礼言いなよ」
「おう、ありがたいな。翔…観音寺さん」
午前九時、山道の中へ入っていった三人。翔太の言う通り、山道内は、真夏のはずなのに半袖だと少し涼しいくらいだ
「涼しいな。風が気持ちいい。わしのバイク、アールナインティも喜んでいるぜ。な、アール?ようだよ(裏声)」
翔太はマサキへの返答に困った
「今日、お前が連れてきたマサキってやつはいつもあんな感じなのか?」
「うんそうだよ。いつも騒がしくてさ」
「へー、話は変わるが、お前相変わらず、そのハヤブサ乗っているんだな」
「あぁ、大学時代からの相棒だからな」
「相棒ねェ…マサキは相棒じゃないのか」
ハルト王子の背後からはバイクの走行音しかしなかった
「あ、サキも相棒だから安心しろッ…」
ハルト王子は、後ろを少し向いて見た。だが、そこにはバイクに乗っている翔太の姿しかなかった
「え?」
ふたりはバイクを一度停めた。周りはガードレールが付いている斜面である。さっきまでは、カーブを曲がっていた
「ま、まさか…マサキは落ちたのか?この斜面をッ?」
「多分ね」
「すげぇ、冷静だな。じゃなくて、探さないと…」
彼は周りを見た。すると…
「あそこに手が見える!」
ガードレールの下にバイカー用の手袋をした手が見えた。ふたりはそいつに近づいた。その人物は、マサキであった
「や、やぁ?お、お元気ですか?助けてください」
ふたりはマサキを引っ張りあげた。午前十時、山頂付近に到着。今回はツーリングのため、ここまでのようだった
「お腹すいたな。なにか食べ物…」
翔太は自分の荷物を漁っていた。そんな時、ハルト王子は彼の前にカップ蕎麦を出した
「ツーリングと言ったらこれでしょ?ちゃんとお湯はあるから」
そう言って、水筒を揺らした
「お前…昔から分からないな」
「あ、わしももらおうかな」
そうして、三人はカップ蕎麦を食べた
「ゲッホゴッホ!」
「サキ、赤ちゃんみたいに噎せて」
そう言って、マサキの口元を拭いてあげたハルト王子。それを見ていた彼は思った
「(ハル…お前は昔、友達なんかいらないとか言って友達を作らなかったけど…友達作れてるじゃん)」
三人はご飯を食べ終わり、蒸し暑い山奥で綺麗な青空の風景を嗜んだ
To Be Continued…
登場人物
マサキ
ハルト王子
アイ(ロボットメイド)
観音寺 翔太
天気:晴れ




