神隠し事件
7月22日㈪人間界編
じめっとした薄暗い、山奥の森林の神社にて、サキとハルト王子が居た。ふたりは依頼で行方不明の娘を秘密裏に探して欲しいとの依頼で来ていた
「…」
「どうした?」
「いや、なんだか視線を感じて。誰かから覗かれているみたいな感じかしたんだ」
「気のせいじゃない」
「そうだといいけど…」
サキはそんな不安を抱えながら、古びた鳥居を潜った。その時、サキは鳥居からなにか視線を感じた
「…(な、なんだ?)」
サキは鳥居の方を見たが、何も無かったのだ。
「サキ、よそ見しないでね。すぐ、サキは転ぶんだから」
「あ、あぁ」
ふたりは古びた本殿に向かうため歩いていた。数分後、ハルト王子が裾を掴んできた
「なぁ、サキ」
「ん?なんだ?」
「なんか、同じ場所をぐるぐる回っているような気がする?」
「は?」
「ほら、この背景…何度も見たことがある」
「そんな気のせいじゃない?だって、木々なんてどれも一緒…」
サキは周りを見た。確かに言われてみれば木々の色合いや配置がずっと同じと
「ま、まさかッ!これは、似たような背景なんかじゃない。子、これは!同じ背景を…ずっと同じ場所を回っているのか!」
「そうだ。俺も薄々気づいていた」
ふたりは感じ取っていた。異様な重たい空気、誰かからの視線。そんな些細なことがパズルのピースのように重なり合ったのだ。
「ま、まさかこれはッ!」
「うん」
「神隠し!?」
ふたりは同じ場所をずっと回っている。サキはそれが神隠しなのではと考えた
「神隠しだなんて。神の子であるわしが、神隠しに会うだなんで」
「…え?神の子なんだ。初めて知った」
「いや、今そこ気にするところじゃないでしょ」
すると、背後で音がした。サキは振り返った
「ハン兄!あの靴!」
その靴は幼女が履くような可愛らしい桃色の靴だった。それは、依頼人の娘の靴だった
「おいおい…はっ!よく見ろサキ」
「え?あッ!」
その靴には、足首までの足が付いていた
「ま、まさか…娘さんは…」
「…もう死んでいるのか」
「やっぱり。こんな依頼をしてきた時点で、自分の娘が死んでいることを察していたのかッ!あの親は…」
サキの表情は暗くなり、俯いた
「サキ、暗くなっていく場合じゃないよ。まずはここからでないと」
「あぁ、神隠しってのは妖怪や怪異、たまに神などが関わってくる。行方不明になる理由として、人間が神の領域に入ったからとか言われている。多分神隠しを起こしている親玉を倒せば…」
「親玉…」
ふたりは考えた。ハルト王子はふと思ったことがあった
「あのさ、ずっと同じ背景なのは分かるよ。同じ場所だからね。でもさ、鳥居も一緒に来ることってあるの?」
ふたりは古びた鳥居を見た
「言われてみれば、鳥居を抜けたから同じところを回っているんじゃない、鳥居から入ったから神隠しにあったんだ。きっとそうだ」
そう言って、サキは鳥居に近づいた。鳥居の真ん中の何も無いところを触った。すると、水が波打つような感じがした
「な、なんだこれ?まるで、水の壁みたいな…これはただの神隠しなんかじゃあない」
「え?ただのって一体?」
「これは森全体が神隠しではなく、この鳥居を通ったものが神隠しにあう…だから」
サキは拳を握った。そして、その拳で鳥居を破壊したのだ。大きく立派だった鳥居は一瞬にして崩れ去ったのだ
「さ、サキ?!」
「空間ではなく、物体による神隠し…面白い」
背景は変わり、森は綺麗な清々しい色へ変化した。あのくすんだ空気は鳥居によって起こされていたのだろうか…
「ふぅ!爽快爽快!もう二度と来んな依頼は引き受けねぇ」
「賛成だ。今回は俺が引き受けたからなにか…奢ろう」
「いいの?!じゃあ、イタリア料理!」
「イタリア料理ィ?珍しいな」
「あ、うん」
サキはこの前のよく分からない戦いで、イタリア料理を食べれなかったのを悔いていたのだ
登場人物
サキ
ハルト王子
天気:晴れのち一時雨




