第七十九話 決着、オリーブVS誠哉(中編)
光が、オリーブの体を貫こうとしたとき、目の前に巨大な木の盾が現れ、彼女の攻撃を受け止めた。
「……アリス」
「どうなろうと、一度仲間だって言ったんですから、最後の最後まで付き合いますよ。あなたももちろんついてきますよね?」
おそらく、先ほどの攻撃の影響で使っていた魔法が解除されたのかもしれない。
あれほどのことがあってもなお、アリスはオリーブのことを仲間と呼びこうして助けに入った。
「面倒なことにいいところ取られちゃったな」
アリスの横に誠哉が立った。ちょうどそれと同時に人形の横にアルドンサ本人が姿を現した。
「主。大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。あれは、偽物だから……使ったのは、相手に幻覚を見せる能力……つまり、アリスやオリーブが見ていたボクが森林結晶をはじいたのも殺されたのもただの幻想だったってわけ。これで安心した?」
誠哉の言葉を聞いて、アリスは見るからにホッとした表情を浮かべた。
本当に感情が出やすくてわかりやすいな……誠哉は、彼女の頭を軽くなでた。
「もう! 本気で心配したんですよ!」
「ごめんごめん」
二人で会話をしていたその時である。
無表情を貫いたままのアルドンサがどことなく不機嫌そうだなという印象を受ける声色で口を開いた。
「私のこと忘れて会話を進めないでくれる?」
「えっあぁそうだった……それでだ、アルドンサ・マリ・モントジョル!」
「アルドンサ・マリ・モンテジョルよ。モ・ン・テ・ジョ・ル。ここで間違えるの? というか、隙だらけのあなたたちを攻撃しなかっただけありがたく思いなさい。ついでにオリーブにも手を出してないわ。まぁそっちは、ほっとけばいいんだろうけど……」
彼女からは、あからさまに余裕と言った様子だった。
スッと右手をふるうと彼女の手元に扇子が現れる。
ウェディングドレスと扇子というあまりにも不釣り合いな恰好だ。
「これね。私が手に入れた戦利品なの……なんていう名前の道具か知らないけれど、結構気に入ってるのよ……そんなことはさておいて、私もあなたたちの相手をしている暇はないのよ。だから、3分で決着をつけましょうか……3分間で私があなたたちを皆殺しにできなかったらあなたたちの勝ちでいいわ。サービスとして今から3分間の間に死んでも、3分後に誰かが息をしていれば、今、この時点での状況で生き返らせてあげるわ。なかなか楽しい戦いだと思わない?」
アルドンサは、扇子をぱたんと閉じてそれを誠哉に向けた。
誠哉は、不敵な笑みを浮かべながら懐からナイフを取り出した。
「まったく持ってめんどくさいルールだな……とりあえず、その戦いのるよ。とりあえず死ななきゃいいんでしょ?」
「えぇ軽くいってるみたいだけど、私を敵に回して3分もったニンゲンはいなかったわ。さて、あなたたちがどんな断末魔をあげるのか楽しみね」
「そりゃどうも、だったら、お前に負けたときの感覚をおしえてあげようか?」
「あら、そんなものは教わるつもりはないわね……まぁ行きましょうか」
彼女がまとう魔力が一気に高まった。
それだけで彼女の本気度がうかがえる。
「面倒だけど、こっちから仕掛けさせてもらうよ!」
誠哉は、懐から取り出した魔道書を見ながら炎系統の魔法を発動させる。
あたり一面を炎の海が広がり、アルドンサを包み込んだ。
「あら、いきなり過激ね」
「そりゃどうも。面倒なことに直撃したうえでノーダメージだっていうお前の方がよっぽどかとんでもないと思うけどね」
「そうかしら? まぁいいわ。次こそは仕留める」
「こっちこそ、本気で攻撃させてもらうよ」
二人の攻撃が同時にはなたれ、ちょうど真ん中のところでぶつかった。




