第七十八話 決着、オリーブVS誠哉(前編)
オリーブが放った緑色の光は、誠哉の体を貫こうとした。
しかし、誠哉の前ではじかれ、彼の周りの地面をえぐった。
「えっどういう……」
「いやね。面倒なことに自分で自覚している能力って言うのがあるんだよね。簡単に言えば、世界中いや、異世界も含むけれど、とりあえず世界のどこかからランダムで力を得て使うことができるんだよね。それを使って、こういう風に戦うことが出来るって算段。これには、別に主人公補正と関係ないみたいだね。まぁ大規模なものだと当然ながらタイムラグが発生するのが難点だけど、そこはお互い様だろ?」
「なるほど……これで、いくつかの解明できなかった点がはっきりとしました」
オリーブは、右手をふっと前に出すと、手のひらの上に本が出てきた。
「しかしながら、これがばれた以上、見える形で限界値を引き上げることができますね」
彼女が右手を話しても本はその場に浮いたままだった。
このことから、あの本には魔法的な要素があるのだろうと推測できる。
ただ、あの本自体にどんな役割があるのかわからないが……
「それでは、本気で行かせてもらいましょうか……太陽の恵み、起。自分だけの戦い、起。森宮探索、解」
彼女は、こういった調子で次々と魔法を唱え始めた。
もしかしたら、あの本には魔力などの魔法に関する限界値を一気に引き上げる効果があるのかもしれない。
その代わりにこれまでと違って、はっきりと言葉にしないと発動しないといったところだろうか。
「どちらにしても、森林結晶の攻撃はまだまだ続いていますよ! さらに攻撃!」
「まったく……何度やられてもこれははじくよ。そんじょそこらの結界の比じゃないからね……」
誠哉は、得意げに次の魔法を発動するための術式を組み始めた。
「あたれー!」
しかし、オリーブが放った一撃が誠哉を貫いた。
大量の血で大輪の花を咲かせて誠哉は崩れ落ちていく。
「あっはっはっはっはっ結局、私の前には……私の前には立っていられないのよね! だって私は観測者なんだもの! 負けるわけがないって言ったじゃない!」
アリスは、信じられないものを見るような目で言葉を紡げずにいた。
誠哉がやられた……その現実だけが、ゆっくりとこの場を包んでいく。
「これで……これでこのくだらないゲームも終わり……だって、主人公がいないんだもの! これで、やっと!」
その瞬間、オリーブの体を一筋の光が貫いた。
「えっ?」
「まったく……沖村誠哉とかいうガキに適当に処分されるつもりが、まさか私が出る羽目になるなんてね……ついでに言うと、あなたは彼には勝ててないわ。あれが偽物だってことぐらい見抜きなさいよ……これだから、あなたは使えないわ」
攻撃をしたのは、アルドンサの戦闘用人形だった。
黒い髪に白い衣装という彼女とそっくりな容姿を持つ人形は、左手に力をためながらオリーブを見下ろしていた。
「どうっいう……ごほっがほっ」
「どういうつもりかって? 決まってるじゃない、あなたを利用させてもらったのよ……所詮、神も観測者も使い捨ての道具に過ぎない……だから、使ったらただの粗大ごみなのよ……ここまで言えばいい加減わかってきたんじゃないかしら……要するにあなたは、いらないの。だから、とっとと消えなさい。跡形もなくね……そして、死後の世界でゆっくり過ごすことをお勧めするわ」
「いや……やめて……」
人形の魔力が大きくなる。
オリーブは、避けなければならないと動こうとするが、先ほどの不意打ちによるダメージと恐怖からそれがかなわなかった。
「せいぜい、自分が犯した罪の数を数えることね。私の言えたことじゃないけれど」
放たれた白い光の光線は、オリーブに向けて一直線に飛んで行った。




