第七十一話 オリーブの攻撃
すっかりと日は暮れて、とりあえず休憩することにした。
いつ、オリーブの攻撃が飛んでくるかわからないので警戒は怠るつもりはないが、休憩は必要だ。
誠哉は、慎重に森の木々を集めてたき火を始める。
ぱちぱちという音を立てて燃え始めた火を見ながら今日のことを振り返っていた。
なんというか、いくつか不審な点があったのだ。
オリーブがたいした動きを見せないというのもそうであるし、攻撃そのものも殺傷能力が低いものが多かった。
仮に人喰花が最初から生えているものだとすれば、彼女はこちらを殺す意思はなく、弱らせてこの世界にとどまらせる方が目的のように思えてならないのだ。
そうなると、好戦的な態度をとったことすらミスリードを狙っているのではないかと思えてならない。
「……どうしたのんかな……めんどくさい」
この考えがあっているという保証はない。
おそらく、主人公補正なるものがあるならばそれであっているのだろうが……
誠哉は、一人笑みを浮かべながら結界を張り、アリスと交互に仮眠をとりながら夜を過ごした。
*
次の日の朝。
いつの間にかアリスと二人して寝てしまった誠哉が目覚めるとあたりの状況に目を疑った。
結界は崩壊し、周りにはかなり攻撃された後があったのだ。
「こんな状態で……」
よく無事だったなと言いかけて、不審な点に気が付いた。
「どうなってる? 面倒なことに無事だっていうのは……わざとなのか? それとも……」
『あなたのそばで寝ている妖精さんのおかげね……まったく、めんどくさいことしてくれたわね』
「アリスが? いったいどういう……」
『教えるわけないでしょ。本人から聞きなさいよね。それじゃ』
「待て!」
言いたいことだけ言った彼女の気配は再び消えてしまった。
状況が良くわからないが、横のアリスを起こそうとする。その時であった。
「うわっ!」
突如、木製のやりが雨あられと降ってきたのだ。
とっさに身を隠す場所を探すがそんなところはない。
アリスをかばうような体勢で地に伏せたその時だ。
ふっと何かが陽の光を遮ったのだ。
恐る恐る上を見ると、大きな木の板が誠哉の頭上に浮いていた。
「これは?」
「主ならわかっているのでは? 私たち妖精は、自然を操り自分を守るという本能があります。なので、いくら主の戦闘力が下がっていようと、私の場合は本能的に行っているので影響は受けません。まぁそもそも術の影響があるのは主だけでしょうが……まぁこれはご都合主義にカウントされていなかったみたいですね」
嬉々としてそんなことを言っているアリスを見て、少しほほえましくなった。
このフィールドは森、アリスのホームグランドだ。いや、完全にアウェーだというツッコミは完全に排除させてもらうが……
ともかく、先日からそうであるがこの戦いではアリスがカギを握っているといっても過言ではないかもしれない。
「主。彼女はこの森自身です。実力ではこうなる以前の彼女でもかなわないでしょう……だから、もっと別の方法を考えませんか?」
「別の方法?」
「はい……っと主! 左右から来ます!」
話の途中でも相手はお構いなしで、攻撃を飛ばしてきた。
とりあえず、アリスを抱えて前の方に転がる。
「ついでにだけど、昨日は全くなかった攻撃が唐突に来てるのはどうして?」
「たぶん、巨大な術式ゆえになじませるのにかなりの時間が有するのではないかと思います。なので、あれは単なる準備期間だったとしか言いようが……今度は後ろです!」
「ったくめんどくさい!」
四方八方から休むことなく飛んでくる攻撃をよけながら、アリスは必死になってコアを探していく。
はたして、そんなものが都合よく見つかるかわからないが、それにかけるしか方法がないのだ。
こうしている間にも刻々と時間が過ぎていく。
誠哉の中の焦りは徐々に増大していった。




